(とうとう明後日か…) 明後日、つまり2月14日の事を考えると俺はため息が際限なく出てしまう。 俺は女じゃないけど、一応慎吾とは付き合ってるんだし、バレンタインには何かするもんだよなぁ…。 うー、とりあえずチョコでも用意するか…。 でも…恥ずかしいよなぁ。 更に買いに行くったってアイツ同室だし。 バレないように行かなきゃ意味ねーもんな。 …まぁ、何とかなるだろう。うん。
って訳で、バレンタインまであと1日となった。 その日は慎吾が用事があるといって俺にひとりで帰るように言ったから、丁度いいと思って街へ出てチョコを買った。 絶対店員に笑われてたよな…。 ちくしょー、何で俺ばっかり…まぁ好きだからしょうがないんだろうけど…。
で、バレンタイン当日。 周りの奴らは目に見えてソワソワしてる。 だけどここ男クラなんだから…そんな期待したって今もらえるわけじゃないだろうに…。 ふと視線を感じて振り向くと慎吾が意味深な表情でこっちを見ていた。 俺と目が合うとニッと笑った。 …はっきり言ってコワイ。 何考えてやんだあのヤロー。 あの微笑みは絶対なんか良くないこと考えてる顔だ…。
そして放課後。 いつものように慎吾の方から声をかけてきた。 「翼ー、一緒に帰ろうぜ」 「うん」 何か慎吾にも変化があるかと思って楽しみにしてたのに…フツウじゃん。つまんねーの。 俺たちは他愛のない話をしながら寮に向かった。
部屋に入るとどうしても机の中に忍ばせてるモノが気になってしまう…。 どうやって切り出そう… 「しっ、慎吾。ちょっと目瞑っててくれる?」 「?いいけど…」 俺の言ったとおりに目を瞑ってくれた慎吾に俺は何だかとても愛しさを感じてしまって。 気を抜いたらずっと見つめていそうだったので慌てて机に近寄った。 で、問題のチョコを取り出したんだけど…。 うー、どうしよう…。 ここはバレンタインだし何かサービスすべきかなぁ。 …年に一度の大サービス。きっともう二度とできないだろうけど… 「慎吾、Happy Valentine」 そう囁きながらチョコを押し付け、唇にチュッとキスしてやった。 途端に慎吾は驚いたような顔をしたけど、すぐに俺の腰を抱いて深いキスをしかけてきた。 「ん…っ、ふ…」 思う存分貪り合った後、慎吾は軽く触れるだけのキスをした。 「サンキュ…。まさかチョコ貰えるとは思わなかった…」 「だっ、だって年に一度のバレンタインだしさ。これぐらいはすべきかなぁって…」 俺の言葉に慎吾は凄く嬉しそうな顔をしてくれた。 「じゃあ、僕もお返ししなきゃね」 そう囁いた慎吾の顔を見た俺はいっきに引いてしまった。 「何で逃げるの?」 ふふふ、と笑う慎吾の顔は絶対何か企んでる顔だ。 ヘタなこと言うと何されるかわかったもんじゃない。 というわけで、俺は丁重に辞退させてもらう道を選んだ。 「ほっ、ほらバレンタインのお返しって言ったらホワイトデーって相場が決まってるだろっ?」 「そんなに遠慮しなくても良いよ…。もちろんホワイトデーにもお返しするけどね…」 そう言って慎吾はまたふふふと笑う。 だからそれがコワイんだってば。 「ほら、バレンタインって恋人たちの為の日だろ?だから僕たちも…ね」 慎吾のセリフに硬直してしまった俺にそれとも要らないの…? なんて切なそうに言うもんだから。 俺は思わず慎吾を思いっきり抱きしめてしまって。 ふと正気に帰った時にはもう遅かった…。 なんでって…すっかり臨戦状態の慎吾が俺のお腹に当たっていたから…ι 慎吾もそれが分かっていたようで(当然か?)俺と目が合うとニッコリ笑ってこう言った。 「一緒にお風呂に入ろうね」 と。 もちろん俺に拒否権はあるはずもない…。
ここは私立だから一部屋に一つずつバスルームがある。 その特権を利用して今まで慎吾にされてきた事の数々…。 何度思い出しても恥ずかしいっι って俺も思い出さなきゃいいんだけど…。 慎吾は何かを考えているようで(どーせ俺にとってはろくでもない事だろうけど…)俺に先にバスルームに入ってるように言った。 言われたとおりに入って待ってると慎吾は片手にカップを持って入ってきた。 「お待たせ」 そうニッコリ笑う慎吾の顔がコワイ…(何度目だろうこのセリフ…ι) 「とりあえず先にカラダ洗おうか」 と言ってさっさと俺のカラダを洗い出す。 これも恒例のことなので俺はさして気にしていなかった。 でも今日はいつもの悪戯が一つも無かったことに俺は気づいてしまった。 …絶対いつもの倍以上の悪戯を考えてるに違いない…(泣) 「ほら、頭からお湯かけるから目、瞑って…」 ぎゅっと目を瞑ると温かいお湯がカラダを流れてゆく。 「そのまま目瞑ってて」 いつもと違うセリフにおかしいなと思いつつ、俺は目を閉じていた。 が。 「ひゃっ、何!?」 何か液体が俺のカラダの上を流れてゆく。 それもお湯じゃなくて甘ったるい香りのする…。 何だか嫌な予感がして慌てて目を開けると…やっぱり。 俺のカラダはココアまみれになっていた(泣) そして何というタイミングの悪さか今まさに慎吾が俺のカラダを舐めようとしているところで…。 「ひゃっ」 感じやすい首もとを舐められて俺は変な声をあげてしまう。 「そんなにカラダ強張らせないで…」 クスッと笑いながら慎吾が言う。 くそー、誰のせいだよ! ココアが流れてゆくのと同じようなペースで慎吾の舌も下の方に下がってゆく。 もちろん慎吾お気に入りの感じやすい胸の突起も念入りに…。 「あっ…んぅっ…」 その度に俺の口からはココアと同じくらい甘ったるい喘ぎ声があがってしまう。 そこはもう気が済んだのかまた慎吾の舌が下がってゆく。 そして慎吾の舌が俺自身の先っぽを軽く舐めた。 「ゃっ…」 それだけでもう俺はビンビンに感じてしまうのに、慎吾はクスッと笑って根元に指を巻きつける。 「やだっ…外せよっ」 「だめだよ…。もっと楽しんでからね…」 俺が必死で頼んでいるのに、慎吾はキチクそうに笑う。 激しい奔流が出口を求めて俺の中を駆け巡る。 「ヤダっ…おかしくなるっ」 「いいよ…おかしくなって…。もっと乱れた翼が見てみたい」 「ぁっ…」 根元を締め付けたまま慎吾は俺に舌を絡める。 「もっ、マジやばいってぇ…」 感じすぎて悲しくもないのに涙が出てくる。 慎吾は俺の涙を唇で掬い取ってくれながらさり気なく指を後孔にくいこませてきた。 「ひゃっ…そこヤだぁ…」 更に泣きの入る俺に優しくキスをしながら慎吾はなおも指を進める。 「ココ柔らかくしないと翼とひとつになれないだろう…?」 なんてセリフを囁きながら… 暫く俺に羽根のようなキスを繰り返しながらソコをほぐしていた慎吾だったけど、もうそろそろ限界みたいで切羽詰った声で俺にいい? と聞いてきた。 もちろん俺が拒否するわけもなく… 頷くと同時に慎吾が中へ入ってきた。 「ぁっ…、はぁっ…」 「くっ…やっぱり狭いね、翼の中は…。でも最高だよ…」 「もうっ…はなせってぇ…」 「いいよ…一緒にイこう…」 慎吾の甘い睦言も半分意識の飛んでる俺にはあまり届いていない。 でも慎吾を愛しいと思う気持ちだけは強くて… 「慎吾ぉ…もっとぉ」 なんて凄いセリフを言ったりなんかして… 慎吾は俺の要求どおり激しく腰を使ってきて、同時に俺自身も優しくしごいてくれた。 その途端俺の目の前はまっしろになって… 慎吾の熱い迸りを奥の壁に感じながら俺は気持ちよく意識を飛ばしたのだった。
次に目が覚めたのはベッドの上。 目を開けると心配そうな慎吾と目が合った。 「ゴメン…ちょっとやりすぎた…。大丈夫?」 「大丈夫…まぁ一年に一回くらいこういうことがあっても良いんじゃないかな」 「…チョコも凄く美味しかったよ。ありがとう。だからもうオヤスミ…」 「うん…」 慎吾の声が俺には子守唄のように聞こえて… 俺はもう一度深い眠りのふちに沈んでいったのだった。
- End -
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