眠れない・・・ どうしてこんなに寝つけないんだ。蒸し暑いわけじゃない。 ただまどろみかけても寝返りをうってしまう自分がどうにもツライ。 窓から射し込む月明かりが妙に魅惑に幻想的で・・・ 瞼がゆっくりと重さを増した・・・
コトリ・・・
耳の奥で微かに響いた物音
廊下の奥の扉のむこうにあるはずのない人の気配が する
―――先輩・・・ 閉じかけた瞳にまた光が宿る
―――真田先輩・・・ 声が聞こえた 囁くように
誰かが俺を呼んでいる?
長く感じた廊下を歩いて重い扉を開ければ
――先輩 いれて・・・
深みのある青い光を発した眼差しで俺を射る様に見つめた君 赤い口元が妙になまめかしく印象的
俺は何も言えぬまま黙って彼を中へ通す 彼は真っ直ぐ静かに歩みを進めベッドへと迷わず腰掛けた
どうしてこんな時間に?
と問い掛けようと開いた俺の唇へ 彼はそっと人差し指を押し当てて
―――俺と したいって・・・言ったじゃないですか
誘うようなやさしい笑顔を見つめれば彼が嬉しそうに 唇を押し当ててきた
もたれかかってきた君の体を しっかりと抱きしめて そしてそのまま俺は彼を組み敷く 君の青々とした匂いが初夏の風にのって鼻をくすぐる
かわいい笑顔を向けながらそんなにまっすぐに見つめないでくれ
それをこの手でめちゃくちゃにしたくなるようなひどい暴虐を 俺はしてしまうだろう あの妖艶な声音を聞きたくて いつもはすましている表情を俺だけの為に乱れさせてみたくて・・・
男の僕が君にそんな不埒な考えでいっぱいだったなんて それをみとめるのは怖い 考えたくないんだ 君にばれてしまうのが嫌なんだ
重ねた唇から悩ましげな吐息
歯列を割って舌をいれれば 彼もそれに答えるように自分の震える舌を絡めてきた
俺は彼のシャツのボタンに手をかける
熱い口付けを交わしながらお互いがまさぐるように服を脱がしていく その肌に触れたい はやくさわりたい 全てがみたい 君の・・・「悠也」の熱を感じたい
あられもない姿になったお互いに 悠也がそっと体の位置を交代する
俺の胸の上に体を預けると悠也が首筋に吸いつくようなキス そのまま舌は胸を這い、さらに下方へとたどっていく
俺のもっとも大事な部分を捕らえると悠也は丹念にそれを舐め そして口の中へと咥えこんだ
だめだ そんなことしたら 俺は・・・!
深く 喉の奥まで 強く 舌を丹念に使われて
熱すぎるその衝撃に俺はあっというまに自身の放出を迎える
悠也の口元に溢れた白濁した液体を 悠也は自分の腕でぬぐうようにして飲み干した その恍惚の表情に 月明かりに照らされた 悠也の白すぎる妖艶なしぐさに 俺は眩暈とともに さらなる感情の高ぶりを覚えた
悠也が俺の萎えることのない屹立した牡を自分の秘部めがけてあてがうと そのままゆっくりと腰を落としていく
―――ああっっツ・・・・
薄白い月明かりの中にはっきりと映し出される俺の上の悠也がのけぞるその姿を 俺はこの目に焼き付ける
汗にぬれた光る肉体が 大人になりきれていないながらもたくましいその体が 愛しさを増して しっかりと収まった彼の体内のへばりつくような快感に身をまかせながら 腰を使う悠也の下半身を両手で掴み 行っては駄目だと イってはいけないと お互いいたずらな視線が交わる
伸ばした手に悠也が同じように指を絡めてきた かたく、祈りを捧げるようなしぐさに このまま、時間がとまればいいのに・・・とツキリと痛む胸の奥
―――よ・・うじ・・・・せん・・ぱ・・いっ・・・・
俺の名を呼んでくれたね・・・ いままで味わったことのない快感にお互いが 果て 尽きる
君の姿を忘れない 絶対に 絶対に 永遠に・・・ 忘れない
遠くで、けたたましいアラームの音が、早く止めてといわんばかりに悲痛な叫びをあげている。 思考のついていかない頭で体をむくりと起こしてはねきった髪の毛を片手でぐしゃりとなでつけ ふうっっと溜息を漏らす。
小鳥のさえずりと眩しい太陽の光。
えっと、学校行かないと・・・。
ぼりぼりと腹をさすった。
あれ・・・ あれ・・?? 悠也は?
見渡した自分のまわり。 いつもと何ら変わりのない汚れた部屋。
ただ、ただ、自分の下半身がどうにも気持ち悪い。
え? げっ!! なんだよ、畜生!
俺は焦りまくってシャワー室へ駆け込む。
久しぶりの・・・勝手な放出の後が・・・
誰もいないが真っ赤になってるのが自分でもわかってしまう。 勘弁してくれ、俺をそんなに虐めるな、雨堂! まさか、まさか。 自分が男のおまえに欲情の念を抱くなんて。 やつあたりだろうがどうしようもない。これはあいつにも責任が!・・・ない。 もうッ!!
急がないと学校に遅れてしまう。
俺は焦りまくって急いでシャワーをあびた。
今日の朝食はぬきだな。こりゃ・・・
鏡の前でシャツを羽織ったとき、おや?と気づく。 首、虫でも刺されたか?
鏡に近寄ってまじまじと見つめて、これって・・・。 ?あれ?え~~っ??? どういうこと? や、わかんない。
半分パニクった頭で着替えを済ませ、大急ぎで部屋をでていこうとして、また焦る。
何で鍵が開いてるんだよっ!
俺は一体どうしちまったんだ~!! 寮内を猛ダッシュする一人の少年。
しんと静まり返った寮内にたった一人の足音が随分はっきり最後まで 響きわたっていたそうな。
少年。そんなに焦るな。今日は、言いづらいが、その・・・ 言ってもいいか?
日曜日だ・・・・。
<終>
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