看護士の巡回が終わった深夜、白木(シラキ)は直(ナオ)の病室をひそやかに訪れた。夕食後に今日は当直だと、伝えてあったので少年はちゃんと起きて白木を待っていた。
「直くん。具合はどう?」 「いい」
白木は子供の薄い胸に耳を当てる。 入院前にしていた、ザアザアとした砂嵐のような耳障りな音はもうしなかった。白木はホッとする。
「今週末にはお家に帰れそうだね」 「ほんとっ?」 「うん」白木はにっこりと頷いた。
ぱああっと顔を輝かせた直のパジャマの裾から、白木は手のひらを差し入れた。脇腹をじかに撫でると、きめの細かい少年の肌がたちまち粟立った。 白木は、真っ白な新雪で覆われた地面に、最初の靴跡を付ける感覚にとらわれる。 ベッドサイドの明かりに照らされた白い肌の中で、ぽつんと淡く色づいたふたつの小さい粒を爪でかりかりと引っかく。
「んんっ……」
片方に舌を這わせ、もう片方を指先でこねるようにする。
「あっ、ふっ。ン、せんせぇ……ぅん」
精通も訪れていない8歳の少年でも、じゅうぶんに感じているらしかった。少年の細い腰がもぞもぞと動いている。 白木は薄く笑うと、少年から身体を離した。
「――それじゃあ、直くん。先生のをいつもみたいにしようか」
直は小さく頷くとベッドから下り、裸足の足を床にぺたんと着いた。
「今日はベッドでしよう」
白木は直の脇の下に手を差し入れると、ベッドの上にぬいぐるみでも持つように引き上げる。
「?」
大きな茶色の瞳が、きょとんと白木を見た。 白木の初恋の直の母親そっくりの甘い顔立ち。入院する時に、父親の顔を一度見たけれども、少年が母親そっくりでよかった、と白木は心から思った。 ベッドに上がった白木はスラックスのジッパーを下ろすと、下着の前立てを開く。
少年の身体を腹の上に乗せ、くるりと反転させると背中を軽く押してやる。
「さあ、直くん」
こちらに小さな尻を向け、屈みこんだ少年の手が、力のない白木の性器を握った。
「んっ!」
白木は軽く身震いする。少年は何のてらいものなく、白木の先端を口内に含んだ。 白木のカリ先がかろうじて入る程度だったけれども、それだけでも十分だった。小さな舌がちろちろと動き、白木のカリ先やくびれを丹念に舐め、鈴口を抉る。
「んんん……はっ、むぅ……」
直の唾液と白木のカウパーが、白木の性器を伝う。少年は滑りがよくなった両手を、上下に動かし始めた。
「っ、んっ! 直くん、上手になったね」
言葉をかけると、白木の目の前で直の腰が揺れた。
直は可愛い。 白木の初恋の人の面影を残した少年の、はにかんだ笑顔を向けられると、何故だかいつも甘酸っぱいような気持ちにとらわれる。 白木の言うことに従順すぎて、時々(この子はお馬鹿さんなのではないか?)と心配になることもあったけれども、直の母親に訊けば、素直で従順なのは白木に対してだけらしい。 まあ、それはそうだろう。 だって、直は白木のことを自分たちから母親を奪おうとしている、悪い大人だと誤解しているのだから。 ママを取らない代わりに、直くんが代わりをしてくれる? と冗談混じりで訊ねたら、泣きそうな顔をしていた。 なのに、それ以来の関係は、1年を過ぎようとしている。
自分側に向けられた、直の揺れる小さな尻を見て、白木の中で何かが疼いた。 直の腰を顔近くまで持ち上げると、パジャマのズボンを下着ごと引き下ろす。
「ふぁあっ!? ぅ、ひゃアアアあああっ!!?」
白木は直の小さなアナルに舌を突っ込んだ。
「ああっ、ぃやぁああ、んんんっ、せんせぇえっ!!! やぁああアっ!!!」
ぬめった舌で、窄まりを舐められる感触が気持ち悪いのだろう。白木の舌から逃げようと、細い腰が必死に抵抗するが、白木は逃がさなかった。 アナルや蟻の門渡りを、ぴちゃぴちゃと音を立てながら丁寧に唾液で濡らす。
「あひぁあ、あやぁあ、やァアンっ、せんせぇっ、やぁああ!!」
下半身を白木の舌で弄ばれ、半狂乱になった直は、シーツを指で掻き、顔中を涙と唾液でぐしゃぐしゃにさせる。 白木は直を自分の腹の上からどかすと、ベッドにうつぶせにさせ腰を高くした。
「うう、ン……はぁ、はぁ……はぁ……」
直は荒い息を吐きながら、肩越しに白木へと戸惑いの視線を向けた。
「大丈夫だよ」
白木がにこりと笑ってみせると、少年のまるい頬がほっと緩んだ。 直の拙い愛撫でいきり立った性器を、直のアナル付近にぬるぬると擦り付ける。
「ふわぁあっ!?」
ひくひくと収縮を繰り返す窄まりは、白木を誘っているようにも見えた。 しかし、自分のいきり立った欲望を、精通もしていない少年の身体の中に、挿入することは難しいと思えた。 自分のしている行為は、犯罪者のそれだ。白木の痕跡を、少年の身体に残すことは出来ない。 白木はため息を吐くと、性器を直のひやりとした太ももに挟んだ。 子供の内股のつけ根部分は、ひどく具合がよかった。
「――少し、乱暴にするよ?」
白木は、腰をゆっくりと前後させた。 双丘のクレバスを深くなぞり、少年の身体の前に突き出すようにすると、直の幼い性器とぶつかった。
「んっ、っ、あっ、あっ、あっ、」
背後からぱつんぱつんと腰をぶつけられ、少年の口から断続的な声が漏れた。 真っ白なシーツが直の涙と唾液のせいで、ぐっしょりと濡れていく。
(――もっと、もっと、泣かせたい)
赤く染まった少年の顔を見て、白木はひどく凶暴な気持ちになった。 直の幼い性器を双つ袋ごと強く握りこんで、ぐいぐい揉みしだいた。
「ぁひゃぁああアあっっっ!!!!?」
下半身に激しい痛みを受け、直がもがいた。シーツに付けた細い腕が、水中で水かきをするかのように暴れた。 白木は、平たい臀部に腰を打ちつけながら、幼い性器を指先で虐め抜く。尿道口に指を突っ込み、ぐりぐりと中をえぐる。
「ひぅうっ!! やっ、せんせえっ、いやぁアアァアぁああっっっ!!!」 「ふふっ。イイ声……」
ぼろぼろと涙を零す直の表情を見て、白木は明らかに欲情していた。 ドクドクと逸る心臓。 全身の血が、性器に向かって集まってくるのを感じる。欲望は硬度を更に増し、だらだらとカウパーを涎のように垂らしていた。 少年の白い臀部が薄い紅色になるほど、勢いよく腰をピストンする。
ぱんぱんぱんぱん 「あっ、あっ、あっ、あっ」
暗い病室に腰を打ちつける音と、少年の喘ぎ声が響いた。 親子ほど年の離れた少年の身体で、欲望を満たす白木は、今や犬畜生以下に成り下がった自分をあざ笑っていた。
――本当に、悪い大人だ。
「あっ、やっ、やめぇっ、せんせえっ!! あンんんっ、で、ちゃううぅっ!!!!!!」
子供が悲鳴を上げ、全身をがくがくがくっと震わせた。
「………………えっ?」
直の尿道口を苛めていた白木の手が、じょろ、と生温かいものに濡れた。 放水の音と共に、たちこめるアンモニア臭に、白木はしばし放心する。
「あ、ァア……っ、あふ……」
少年はため息のような息を吐くと、くたりと全身から力を抜いた。
「……………ははっ」
シーツに広がった液体を見て、白木は笑った。 急に酔いから醒めたような気分だった。
「……お漏らし、しちゃったね……」
びくーっと少年の背中が強張った。その背中を、白木は綺麗な方の手のひらで、優しく擦る。
「お着替えをする前に、先生、終わらせちゃうね。気持ちが悪いだろうけど、少し我慢して」
白木は自分のものを手早く処理すると、ナースセンターにコールした。 看護士は、白木が直の病室にいたことに驚いていた。 室内の備え付けの洗面所で手を洗い、直の母親が置いていった着替えを棚の中から取り出す。 直に替えの下着とパジャマのズボンを穿かせていると、シーツを替えるために、看護士が入って来た。直を抱き上げ、看護士がシーツを替えるのを見守る。
「どうしたの?」
抱き上げた直が、しょぼんとしている。
「……先生。俺のこと嫌いになった?」 「どうして?」
目の前の茶色の瞳がじわりと潤んだ。
「……俺が、赤ちゃんみたいに、お漏らししたから……」
白木はまさか、と言って笑った。
「お漏らしなんて、大人だってするんだよ?」 「そう、なの?」
頷きながら、ふと気が付いた。 尿が気持ちがよくても、出てしまうものでもあることに……。
「――もしかして……直くん、先生に痛くされて、気持ちがよかったの?」
訊ねると、少年がこっくり頷いた。
(これはまずい方向に目覚めさせてしまいそうだ……)
白木は目の前をくらくらとさせた。
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