『キスしたい』 そぅ言われた直後 理解する前に唇に触れられた
あれ…なんでこんなことになったんだっけ? 確か夏休みの計画を俺の家で立ててたんだよな…?
「なぁ?どうするよ~この一ヶ月半もの休み何して過ごすよ」
俺は俯せになりながら脚をぱたぱたと動かして親友の颯に聞いた
『ん?勉強して課題終わらせて寝るを繰り返す』 「はぁ?一ヶ月半毎日かよ」 思いもしなかった答えに思わず動きを止め起き上がってしまった
『ぅん。郁はどうするつもしだったの?夏休みの間』 「そりゃぁもちろん。遊んで遊んで遊びまくる♪」
俺はにかにかしながら答えた だって長期の休みなんだ♪もぅ遊ぶしかないだろ? 『…宿題は?』 「もちちゃんとやるよ!!」 『呆れた。。絶対嘘だね。毎度のパターンで僕の写すことになるよ?泣きながら助けてーって言って』 「泣いてなんかいないだろ?それに大丈夫だって♪俺も高校生になったんだぜー宿題くらいちゃんとやれるって♪」 『中学に上がった時も同じ事言ってたよ。覚えてないの?』
颯とは幼稚園からの付き合いで 近所に住んでていつもつるんでた。
中学に上がって難しくなった勉強を サボっては颯に教えてもらったり 時には丸写しまでさせてもらった。
確かに夏休みや冬休みと言った長い休みになる度に言っていた気がする
あげくの果てに31日になっても 終わっていない宿題に慌て 泣きながら… いや正確には泣いていないが 颯に助けを求めてたのも事実だ
「んー颯は厳しいなぁ~。。じゃぁ俺と遊んだりしないのか?」 『っ…んな事は言ってないだろ?お互いある程度終われば気兼ね無く遊べるだろ?』
何故か言葉に戸惑っていた気がするけど気にせずあることを提案した
「ある程度かー。。じゃぁ今からやろうよ」 『!!?郁…頭打った?』 「違うよ!!なんでそぅ思うのさっ」
やっぱりさっきのは気のせいだな それに嫌な勉強も一緒になら頑張れると思ったし 何より早く颯と遊びたくてたまらなかった よくよく考えれば早く終わった分だけ長く遊べるって訳なんだよなー
『いつもの郁なら絶対言わない台詞だからびっくりしたんだよ!でもやる気があるならやろうか』 「おう!!」
元々やれば出来る子な俺 この学校だってちょっと無理したけど 颯と10年以上も一緒にいるのに 高校になって離れるなんて考えられなかった。 なにより颯が隣にいないなんて嫌だったんだ だから授業もサボりがちだったけど 颯や担任に聞いたりして勉強した 並な成績が3学期のはじめごろには 20番くらい上がって結構頑張ったんじゃないかと思う まぁ颯は常にトップ5には入っていたから差は明らかだったけど 試験はとりあえず書いた 空白はないようにした
何より颯が教えてくれたとこが的中したから すらすらと問題も解けた
合格発表の日 緊張しているなんて言ってた颯は涼しい顔してた 俺は手に汗がでるくらいにガチガチだったのは言うまでもなかった
んで自分の番号見つけたときはすごい嬉しかった
だって颯と離れなくて良くなったんだ 嬉しくない訳がない まぁ顔にはださなかったけど 颯と顔見合わせたらニコって笑ってて 思わずドキってしちまった
男相手にどきって何だって思って わからなくなれば颯に聞いたり教科書や辞書をみたりして少しずつ問題を解いていった 時々ふざけたりもしたけど どちらが何を言うでも無くまた宿題に戻る
(ぐぅぅぅ~) 何やら聞いたことのある音がなり響く 『何…今の音』 「……」 『ぷっ。もしかして…郁のお腹の音?』 「!!なんだよ。颯は腹減ってないのか?」
笑われたせいもありなんだかぶっきらぼうに答えてしまった。
『いや…今の郁のお腹の音でそぅいえばって感じ』 時計を見れば午後2時過ぎを知らせていた。 「なぁ~腹減った」 『知ってるよ!さっきの盛大な音で』 「ん~~」 『わぁったって。もぅ3時だしちょっと遅いけどご飯にしよ』 「ぅん♪俺ウインナーが入ったチャーハンがいい♪♪」 『……。あのさ。お前の家だし。お前もそれくらい作れるだろ?』
確かにある程度の家庭料理であれば 俺でも作れる だけどどぅしたって颯が作ってくれる料理には味も見た目も敵わない
「だって。颯の飯うまいんだも~ん。絶対お前が女なら嫁にもらうのにー」 『!!嫁…か。。。』 「ん?何か言ったか?」
小さく呟いた颯の言葉は郁の耳には届かなかったようだ
『いや。何も。それより早く行こう。』 「ぅん♪はぁ~楽しみだぁ♪♪」 『あほか。お前も手伝うんだよ』 「いてっ。わかったよー」
ぼかっと頭を殴られ手伝うよう諭された まぁ元々手伝う気ではあったけどね
それから二人で飯を作って食べて 5時過ぎにはもぅ宿題をし始めていた
けど飯を食った後で頭が廻る訳がない さっきとは違い俺は教科書や宿題をベットに移し俯せになりながらやっていた。
『郁…絶対寝るから机にきなって』 「大丈夫だってー!さっきもやれてたんだから俺も大人になったんだって!」 『そんな事言ってペン動かしてないじゃんか』 「んー考えてるの。だから動かしてないだけだって」 『そっ。じゃぁそぅぃぅ事にしとく。……もし寝たらキスして起こしてやるよ』 「ふっ。俺はなんだ赤ずきんか?」 『それをゆうなら白雪姫だよ。』
そんな会話をしていながらも俺は首を一定の場所に止めていることが出来ず かくかくと揺れていた
何度か颯の話しもシカトしていたと思う 瞬きをしてはまた瞼が閉じていく そのうち颯の声も気にしなくなり とうとう完全に瞼を閉じてしまった
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