無断転載禁止 / reproduction prohibited.
 (従兄弟同士/18禁)
君のせい


「んっ、んっ……!」
 俺は変態だ。
 自慰中に友人から借りた、グラビア雑誌の中の、魅力的な女の人の裸に欲情するではなく、いつも思い浮かべるのは俺の従兄弟だった。
 志藤紫――俺の従兄弟であり、2年後の大学受験を控えている俺の勉強の面倒を見てくれる、家庭教師だ。
 従兄弟で抜くなんて申し訳ないな、という気持ちは最初のうちだけで、今では毎晩のように、従兄弟の綺麗な顔を思い浮かべて自慰に耽る日々だ。
 だって、好きなのだ。しょうがないだろう?
 俺の先走りの液と、ローションに濡れた中心を、がっしゅがっしゅと上下していると、いつもの射精感がやってくる。
「んんっ!!」
 横になっていたベッドの上で、足のつま先までピーンと伸ばす。
 熱いほとばしりが、びゅるるっと先端部から勢いよく吐き出され、俺の手のひらにおさまった。
 排泄の達成感に、全身をぶるっと震わせる。
 身体をだらりとさせ、大きなため息をひとつ吐く。
 自分の白濁で汚れた手のひらを見つめ、青臭いどろりとした液を、舌先ですくう。
「……まず」
 まずかったけれども、これは俺の恋心から生まれた産物だ。俺は手のひらの白濁を、丁寧に舐め取った。
 俺はまぎれもなく、変態だ。
 こんな不毛な恋から足を洗うべく、友人から女の子を紹介してもらった。
 彼女は可愛くて、女の子慣れしていなかった俺は、すぐに夢中になった。
 今夜は両親が外出をしていて、帰宅が遅くなるというので、俺は前々から決めていたことを実行した。
 彼女を家に呼ぶ――。
 思春期真っ盛りの16歳の少年にとっては、一大イベントだ。出来たばかりの彼女との関係が、一歩でも先に進むといいな、なんて気持ちもある。
 けれども、問題がひとつ。
 今日は従兄弟の家庭教師の日だったのだ。


「ただいまー」と玄関に入ると、綺麗に磨き上げられたローファーが、玄関のタタキにきちんと揃えてあった。瞬間、俺は眉をひそめる。足元にまで気を遣う、従兄弟の靴だった。
 母親が、従兄弟にも家の合鍵を持たせていたので、家族の留守中でも、容易に家に入ることが出来るのだ。
「ちょっと、紫くん! 今日の家庭教師は、お休みにしてって、俺、メールしたよね!?」
 どたばたと廊下を走って、リビングに入ると、従兄弟がいた。まるで我が家にでもいるような、くつろいだ雰囲気でソファに腰を下ろし、雑誌を読んでいた青年が俺を見上げる。
「よお、楓。お帰り。メール……?」
 今日も麗しい従兄弟に、俺はうっかり見惚れた。
 カバンの中に入れてあった携帯電話を、従兄弟はおもむろに取り出すと「あれ? 本当だ」などと、のんびりした口調で言った。
 俺は、紫くんの前に立つと、どんどんどん、と床を踏み鳴らした。
「んもう! いったい何のための携帯なんだよ!! いいから、さっさと帰ってよ!!」
「さっさと帰れ……だなんて、冷たいなぁ。コーヒーの一杯くらい、飲ませてくれたっていいだろう?」
 俺はうっ、と呻いて、後ずさった。
 紫くんは、赤ん坊の頃から、散々世話になってきた、兄のような人間だ。
 コーヒーの一杯くらい、飲む時間を与えてたっていいかな……と思い、ローテーブルに置かれたカップを見やる。並々と注いであった、濃い褐色の液体が、湯気を立てていた。
(来たばっかりだったのか……)
 俺はがっくりと肩を落とすと、壁にかかった丸い時計を見上げた。
 彼女との約束の時間は18時半。1時間もあれば、のんびり屋の従兄弟でも、さすがにコーヒーくらいは飲み終わるだろう。
「それ飲んだらさっさと帰ってね!」
 俺は二階にある自室に駆け上がると、急いで着替えをすませ、雑誌や衣類で散らかった部屋を、片付ける。
 開け放っていた部屋の扉が、軽くノックされた。
「何か用?」
 紫くんが廊下に立っていた。
「……何かドタバタうるさいな。お客さん?」
「そうだよ!!」
「ふぅん」
 含みのある視線を向けられ、俺はたじろいだ。
「な、何だよ?」
「――彼女?」
 驚いた俺が、身体を跳ねさせると、紫くんが薄く笑った。
「週3日の俺との勉強よりも、彼女の方が大事ってか?」
 俺は、紫くんから視線をそらした。
 ただでさえ成績がよくないのに、勉強そっちのけで、彼女の方を優先するんだから、貴重な時間を割いて、俺の家庭教師をしてくれる、従兄弟には申し訳ないと思った。
 でもさ……。
「だ、だって、父さんたちが家にいないなんて、めったにないし……」
「そうだよな。学生は金がないから、自然、自宅でのセックスが多くなる」
 紫くんのあからさまな言葉に、俺の頬が瞬時に熱くなった。
「そっ、そんなせ、セックスだなんて……。今日は両親がいないって言ったら、夕飯を作ってくれるって、彼女が……。それに、彼女とは付き合い始めたばっかりで、きっ、キスだってまだだし!!」
「へぇ~、それはよかった」
 くすくすと小馬鹿にされたように笑われ、俺は紫くんを睨んだ。
 同じ血が、身体の中を流れているはずなのに、従兄弟の顔の作りと、俺のとでは明らかに差があった。
 老若男女関係なく、紫くんは昔からモテた。
 付き合っている女の子だって、俺が記憶する限り、服を着替えるように毎回変わっている。本気で好きな人はいないの? と訊ねたことがあったけれども、穏やかな笑顔で誤魔化された。
 それからだ。従兄弟が自分の交友関係を、俺に隠すようになったのは……。
 胸がずきりと痛む。
「……もう、いいから!! 紫くんは早く帰ってよ!!」
 紫くんを部屋から追い出そうと手を伸ばすと、意外にも強い力で腕を取られた。
「なっ、何?」
 痛みに顔を歪ませ、頭ひとつ背の高い従兄弟を、俺は見上げた。
「おばさんたちの帰りが遅くなると聞いて、チャンスだと思ったんだよね」
 何のチャンス……? と訊ねる前に唇を塞がれ、俺は目を白黒させた。
「んむぅっ!?」
 それがキスだと理解するのに、ゆうに数秒はかかった。
 はっと我に返った俺は、紫くんを突き飛ばす。
「なっ、何するんだよっ!?」
「キス、だけど?」
 遊び慣れた従兄弟にとっては、たかがキスなんだろう。けれども俺は、紫くんが大好きだったから、キスをされたら嬉しい。
 今だって、どんな顔をしていいのか、わからないでいる。
「な、何で、こんなことするんだよ?」
 俺は紫くんにキスされた唇を、ごしごしと乱暴に拭った。
「うっ……」
 俺の目から涙が落っこちた。
「――楓?」
「触んないでよっ!!」
 伸ばされた手を振り払うと、俺はその場にしゃがみこんだ。
「……そんなに嫌がられるなんて、思ってもみなかったな」
 ――まさか、嫌じゃなかったから、だなんて、紫くんは思わないだろう。
 しゃがみこんだまま涙を零していると、紫くんが、俺の腕をいきなり引っ張った。そして、脱いだばかりの制服が、そのままになっているベッドに押し倒される。
 パイプベッドが軋む音を、遠くで聞いた。
「どうせ泣かれるんなら、気を遣うこともないよな」
 俺は従兄弟の顔を、見知らぬ他人を見るように見上げた。


 紫くんが、ジーンズ越しに俺の中心を揉みしだいた。
 すぐにじんわりと、下着の前が濡れるのを感じた。
「ひゃっ! 紫くん、だめぇっ! 出ちゃう!」
 ジーンズと下着が、足元まで引き下ろされた。紫くんのひんやりした指が、俺の屹立にじかに触れた。
「ひゃうっ!? やっ、ゆかりくん……っ。や、やめてぇっ……!」
「ぐっしょりだな。これなら、ローションはいらないか」
 根元から中身が搾りとられるように、上下にきつく扱かれた。
「んっ、んっ、もっ、やめてよぉ……っ」
 俺の懇願は聞き入れてもらえず、紫くんはひどく敏感になっている先端部を、指の腹でにゅるにゅると刺激し始めた。
「ふァあああッ! やあっ、そこっ!!」
「――ああ。すごく、いいんだ?」
 先端部の窪みを指先でぐりぐりとえぐられ、俺は背中をのけぞらした。
 いつも紫くんに触られることを想像しながら、自慰をしてきたけれども、リアルの紫くんの手つきは想像以上だった。
「アッ―――――」
 俺は声をあげると、あえなく達してしまった。
 ひくひくと、細かく痙攣している足を、大きく開かされる。
「やっ、やだぁあっ!!」
 紫くんの繊細な指が、俺の双丘を割って、奥深くに隠れていた後孔を指で弄り始める。俺はぞっとして、身体を震わせた。
「や、やぁ……ゆかりくん、やめ……」
 男同士の繋がり方は、知識として知っていた。
(何で? 何で、紫くん、いきなりこんなこと……!?)
 俺はわけがわからなかった。
「ああっ、イタッ!! 紫くん、もう、やだってばぁあああ!!」
 想像を絶する痛みに、俺はぼろぼろと涙を零す。
 紫くんも俺の後孔を拡げることに、無理を感じたのか動きを止めた。
 はあはあ、と息を継ぎながら、俺の上に乗っっかっている紫くんを見守る。紫くんがベッドの下から、俺が毎回自慰に使っているローションを手に取った。
「順調に減っているな」
 俺の頬が、かああっと熱くなった。
「減ってちゃ、ダメなの!? ていうか、人の物、勝手にチェックしないでよ!!」
「相手が気になるからな」
「あ、相手なんて……っ」
 俺は言葉に詰まって、紫くんから顔を背ける。
「まあ、別に、今となっては、それが誰でも俺は構わないけど」
「っ!?」
 逆上がりの途中みたいに、俺の身体を紫くんが折り返した。
 萎えた俺の中心が目の前にきて、顔にくっつきそうになったので、ぎゅっと瞳を閉じる。体操選手じゃないんだから、この体勢には無理があるよ!!
「くっ、くるしいっ! 紫くん!!」
 バンバンと手のひらでベッドを叩くと、
「少し我慢しろ」無情な言葉と共に、後孔に冷たいローションが垂らされた。
「んっ、ぅ、くっ……」
 くちゅ、くちゅっと、再び紫くんの指に窄まりを犯される。
 ローションで滑りがよくなったのか、俺の中の奥深くまで、紫くんの長い指が入って来る。
 紫くんの指が、俺の中を探るように動き、敏感な部分をかすめられると、俺の喉から悲鳴のような声があがった。
「あっ…ン、ゆかり、く……ん……」
 顔にぱたりと何かが落ちた。
 うっすらと瞳を開けると、俺の中心がすっかり勃ち上がっていて、ぱたぱたと雫を垂らしていた。
 どうしようかと思っていたら、足を下ろされた。俺の屹立を見て、紫くんがゆるく微笑んだ。
「……ふぅん。俺に尻孔を弄られて、そんなによかったんだ」
 かあっと頬が熱くなったけれども、俺は正直に頷いた。
 最初は気持ち悪かったけれど、大好きな紫くんの指だったから、きっと感じることが出来たんだ。
「そうか」
 紫くんはうっとりしそうな表情で微笑むと、俺の顔に付いた液を、熱い舌で丁寧に舐め取った。こそばゆくて身を捩ると、硬い物が俺のお腹に当たった。
「あっ、紫くんの……?」
「ああ、俺も勃った」
「っ!」
 いつのまにか、ジーンズの前をくつろげていた紫くんが、硬くなった中心を俺の中心に擦り合わせる。
「ふぁあああっ!!?」
 目が眩むような心地よい感覚に、俺は声を上げる。
「今度は、これで気持ちよくなろうな?」
「っ!?」
 俺は驚いた。
 俺の両足を脇に抱え上げた紫くんが、俺の窄まりに硬い切っ先をあてがった。
「ンンンっ!!!」
 俺は歯を食いしばる。
 指とは比べ物にならない、熱くて太い物が、俺の中にゆっくりと挿入ってきた。
(紫くんの……っ!!)
 ぶわっと涙が溢れた。
 一生の間に、紫くんと本当に繋がれる日が来るなんて、思ってもみなかった。
「――楓?」
 心配そうな表情で、紫くんが俺を見下ろしている。
「……好き」
 一生伝えられないだろうと思っていた愛の言葉が、驚くほどすんなりと口に出ていた。
「え」
 紫くんの目が丸くなった。
 俺は目一杯腕を伸ばして、紫くんに抱きついた。近くなった耳元に、はっきりと伝える。
「好きだったんだよ。紫くん。ずっと……」
「……本当か?」
 紫くんの声が、少し疑わしそうに聞こえた。
 こんなことで、ウソついてどうするのさ! 俺は紫くんの身体に巻きつけた腕を少し緩め、紫くんの綺麗な顔に唇を寄せた。
 そしたらすぐに応えてくれて、俺は嬉しくてクラクラした。

「ん、っ、ァあッ! ひあッ……っ!」
 紫くんに揺さぶられ、俺はあられもない声をあげる。
 紫くん紫くん……。何べん紫くんの名前を呼んだかわからない。時々、汗ばんだ顔や頭にキスを受けて、ああ、死にそう、と思った。
 何度も出し入れされ、俺の中が紫くんの大きさにも馴染んでくると、痛みよりも気持ちのよさが勝ってくる。紫くんの腰のリズムに合わせるように、俺は腰を揺らした。
「ひっ、アッ! あ、あ、ゆかり……っ!!」
「んっ……かえでっ」
 限界まで足を開かされ、更に奥まで紫くんが入って来た。
「ア―――ッ!!」

 ――ピンポーン……

 いきなり現実に引き戻された。
 サアアッと、熱が冷めるのを感じた。
「……あ」
(どうしよう……?)
 俺は紫くんを見上げる。
「続けるぞ」
 紫くんは構わずに腰を振るう。
「やっ、ぁっ、あっ、まっ待って。彼女に……っ!!」
「お前が好きなのは、俺だろう?」
「好き、だけど……っうあっ!?」
 ぐちっと奥まで突き立てられ、言葉を失う。
「……俺だって、楓が好き、だったんだよ。ずっと。それこそ、小さな頃から」
「――っ!?」
「たくさんの女の子と付き合って、気持ちを誤魔化しても駄目だった。だから、今やっと手に入ったお前を、誰にも渡したくはない……っ」
 玄関のチャイムが、はるか遠くの方で鳴っていた。

 パイプベッドが揺すられて、ギシギシと悲鳴を上げる。
 俺もまた、紫くんに揺さぶられ、悲鳴じみた声を上げる。
「アアッ! あっ、っ、アあアァーっ!! ひぃああっ、ゆかりくん――ッ!!!!」
 もう何度、吐精したのか覚えていない。紫くんが何度、俺の中に出したのかも覚えていない。
 互いの体液で、シーツはぐちゃぐちゃになっていた。脱いだ制服も、俺の汗ばんだ背中の下で、ぐちゃぐちゃになっていた。
 替えの制服なんて、夏服しか持っていない俺は、明日の学校は休むしかなさそうだ。
 彼女を傷付けたのは俺だけれども、制服は確実に紫くんのせいだ。
 俺は、中で再び熱を持った紫くんの背中を、爪で思いっきり引っ掻いてやった。
「甘えろ中心に書いています。」
...2010/2/20(土) [No.513]
ICHI
No. Pass
>>back

無断転載禁止 / Korea
The ban on unapproved reproduction.
著作権はそれぞれの作者に帰属します

* Rainbow's xxx v1.1201 *