割と悲惨な展開になっています。 ※輪姦、無情の苦手な方は注意して下さい。
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頼られることは嫌いじゃない、 とトート・マグランは自覚していた。 「助けて下さい」 下を向き声を震わせ、 庇護を求めて来たクラスメイトの頭部。 教室は午後の日を浴びている。 放課後の呼び出し。 素知らぬ男達が頭を下げて来た。 「面倒くせぇ」 きっぱりと言ってやる。 「御願いします」 食い下がる向こう。 「何の筋合いがあるんだよ」 「すいません、すいません、 トートさんだけが頼りなんです、 御願いします」 「・・・」 相手の必死さに気分を良くし、話を聞く。 男達は涙ながら、地域に纏わる対立で起こった喧嘩のことを話した。 ヴェレノの地は荒れているが発展しており、 フィオーレの地は豊かだがすべてが古くさく遅れていた。 互いにプライドの高い地域であったため、 どちらが勝るかと話し始めれば、自然と対立するのである。 「あいつらヴェレノを汚ぇって・・・!」 「それでかっとなって殴っちまったんです」 「そうしたら奴等ジェキンス族に泣きついて・・・」 「俺達は必ず報復されます・・・!」 「要はフィオーレと揉めたってことだろ、 説明ぐらい短くまとめて来いよ、うぜぇな」 「すいません」 「つか先に手ぇ出したのはてめぇらかよ」 「・・・すいません」 「最悪だな」 「すいません」 「何頼って来てんだよ」 「すいません」 「俺がヴェレノ出身だからって味方するとでも思ったのか?」 「・・・すいません」 「しょうもねぇ」 「すいません」 「すいませんしか言えねぇのか」 「すいません」 「帰れ」 うんざりと命じれば素直に背を向ける。 ぞろぞろと項垂れて教室を出て行く。 戸が閉まると小さく泣き声が聞こえた。 「・・・」 泣く子には勝てなかった。
* 「おまえはどんどん逞しくなるね」 「利用されてんだよ」 「都合の良い人間は好かれるよ」 「・・・ヤな理屈だな」 「トート」 名を呼ぶのは催促。 「ん・・・っ」 暗い部屋、白い男、少しの痛み。 「イッ」 「だからゆっくりと降ろしなさいと、 いつも言っていただろう、大丈夫か?」 「う・・・」 騎乗位に定まったのはいつごろからか。 「ハ・・・ぐ・・・ぅ」 「もう少し色気を出せないのか」 「うるさ・・・っ」 「あぁ、涙はそそるな」 「んっ」 まるで父のように、 日常の報告を聞いてくれる大人を、 手放したくなかった。 それだけの理由では、 まずいので名を呼ぶ。 「グイドっ」 「いつも辛そうだな」 「別に・・・っ」 「ならいいが」 こちらの名を呼び返すこともなく、腰を掴む大人。 「はっ・・・!待っ」 回数をこなし、切れることはなくなったが、 息苦しさや圧迫は健在で、慣れるまでに時間が必要だと、 言い出せぬままにいつも終わる。 「ひっ・・・、あ、アはっ・・・ぅアッ」 嬌声とも取れる呻きを上げ行為に耐え、 次の会話の時を支えに、額から滝のように、溢れる汗に目を瞑る。 「それで喧嘩は引き受けたのか?」 「泣き落とされたんだよ」 「・・・おまえは優しすぎる」 ぐったりと布の上、動き出せるまでに時間の掛かるこちらのため、 どこかへ消えずにいるグイドの存在が眩しい。 優しいという言葉を、迷いなく褒め言葉と取り喜んでいる自分。 愚かだが幸福で、普段の悲しみの相殺に使う。 「向こう、ジェキンス族だっつーから」 「ゴドー候補の寮生か」 「ハンク・ジェキンスと、 マルクス・フィオーレ・・・、や、 マルクス・ジェキンス? フィオーレからジェキンスに下ったっつー話で・・・」 「おまえはアウレリウスだろう」 「だから頼られた」 「そろそろ規制を入れるべきだろうに、 フィオーレはどうも考えが古い・・・、 力を持った人間が、その力を正しく使うとは限らん」 「だよなぁ、俺とか俺とか俺とか」 「自覚はあるのか」 「完全俺ルール・・・、 自己判断で裁いてる」 「それは酷い話だな、 殴った人間の数だけ殴った正義があるだろう、 おまえは優しいがまだ未熟だ、 その自覚を持って反省する必要がある」 「・・・弱ぇ奴が悪いんだよ、 庇護欲を煽る奴、 殴られても殴り返せねぇ奴、 俺は・・・」 「悪くない?」 「悪くねぇな」 「嫌な奴だ」 「・・・」 笑み。黙ったトートに向けれられた微笑。 グイドの白く儚げな顔に、それが乗ると美をつくる。 会話の進みを止めて黙ったのは、見惚れたためだった。 胸を騒がされるのはいつもこちらばかりで、 不安は色濃く具体化されて来る。 トートの面は整ってはいたが、圧倒する力がない。 一方でグイドの意地の悪い微笑は、 悪魔的な色香を持ち人を酔わせる。 惹きつけ勝負は毎度、向こうに分をつけ終わる。 「では、また呼ぶよ、トート」 「・・・」 別れ際の一言、それに安心をもらうしかない立場。 決して崩したくない関係の危うさに、 出そうになった溜息を飲み込み、口端を上げる。 「来ねぇかもな」 せめてもの反逆に心地よさと後悔を覚えながら退室する、 まったく心の揺らいだ様子のないグイドの笑みが、 最後に見えたことを記憶から消したかった。
* 朝。 「うわぁ、めんどくさい」 問題のジェキンス族、 二人組みの元に足を運び、 思い切り顔を顰められた。 「王様のおでましか」 陰口が飛び出す。久しぶりに罵倒され口端を上げる。 「身に余る呼び名だな?」 「気に入ってるみたいだが」 トートの顔を見てすぐ、回れ右をして去ろうとした優男、 恐らくハンク・ジェキンスだろう泣き黒子の男の、 腕を掴み挑戦的な笑みを浮かべたのはマルクス・フィオーレか。 噂を頼りにあたりをつけて行く。 もやの残る森は冷えており、 人の通りが少ない。 「どうせ暴君だって言いてぇんだろ」 「まぁ、・・・絶対王政ではあるな」 「恐怖政治?」 「わからん、俺は割とおまえを評価していたからな」 「お前等が怖くてしょうがねぇって奴等が、 俺のとこに来たんだよ、観念しろ」 「安請け合いばっかしてると身がもたないよ」 「ご心配どうも」 「二対一でいいの?」 「一対一にしてくれんのか?」 「ゴドー舐めないでくれる?」 「王様だしな」 きっかけは被差別者。 気まぐれに助け、噂が広まる。 弱者は常に味方を探していた。 「俺が先に行こう」 「おい、まじでおまえら一人ずつ来んのか?!」 「だから・・・ゴドーを舐めるな」 「舐めちゃいねぇけどよ・・・」 向こうの足の浮き上がりを、見逃さず深く沈み、 その足首を掴む。 「っ・・・!!」 浮きかけた身体が、重力に任せて落ちる前に、 胸にできるだけの衝撃の掛かるよう、蹴りを入れ、飛ばす。 吹っ飛んだものの、起き上がるところが玄人だった。 「げほっ・・・う゛っ・・・」 ふらついて咽る。だが睨みを利かせて来る。 この不思議な感覚に少しの高揚を覚えた。 「ぉ・・・!戦闘!」 感銘を受け呟く。 「マルクス・フィオーレ!君の死は無駄にしない!」 そこでふざけた掛け声と共に、 マルクスの攻撃よりいくらか鋭い、 ハンクの肘の攻撃が首元に迫った。 ぎりぎりで避け髪を掴む。 そのまま地に向かい降ろす。 「っ・・・!」 我ながら容赦がない。加減の余裕がなかった。 その事実に鳥肌が立った。 「おまえら、強っ・・・」 「・・・」 「・・・」 痛みを堪えた顔が、白々しくこちらを向く。 「暗殺されてしまえ」 「革命起きればいいのに」 「おまえらなら起せるんじゃねぇか?」 「・・・」 「・・・」 グイドへの興味の他、 自分に向く関心に応える程度であった心が、 初めて高鳴る。 「おまえら、クラスどこだよ?」 「教えるわけがない」 「屋上からちょっと飛んだトコらへんだよ」 「・・・」 どうも嫌われたらしい。 ハンクの遠まわしな罵倒に顔を顰める。 好かれたい人間に、どうすれば好かれるのか。 「あ、なんつーか、おまえら、 泣けば条件同じになるから、 もう酷ぇことしねぇけど」 「・・・」 「・・・」 「これ以上、争うの、嫌だと思って」 「・・・」 ハンクの笑顔が消え、マルクスの目が据わる。 怒らせたらしい。 「王よ」 「・・・あ?」 「・・・俺はおまえを買いかぶっていたようだな」 「・・・」 「人を侮辱して楽しむ趣味を持つ男が、 まともに人と付き合って行けると思うな、 おまえは一生誰にも愛されず死ねばいい」 「酷ぇ!」 咄嗟に、軽く応えたが浮かべた笑みは硬かった。 「行くぞ」 「・・・はーい」 「あ、おい・・・!」 クラスを。 教えてくれとはもう言えない。 二人の反感は寂しかった。
* 「グイド!」 純粋に、言葉が欲しかったため、 呼ばれてもいない日に、 顔を出した過ち。 「誰だ?」 「あ?!」 本の溢れる、部屋に押しかけて鉢合わせたのは、 フィオーレの次期当主となるらしい小さな客だった。 時折グイドの元を、尋ねに来るフィオーレの当主に着いてやって来て、 今では一人で顔を出す。ルカス・フィオーレ。思い出した名をすぐに忘れたくなった。 何よりも消し去りたい事実は、眠ったグイドをトートは初めて見たということ。 ルカスはそのグイドの膝に乗り、驚いた顔をしている。 「ヴェレノ・・・!来た、人だ、おまえを呼んで・・・っ」 椅子に座ったまま、安心をしきった表情のグイドへ、 声を掛ける客をぼんやりと見つめる。 全身が悟り、叫ぶ敗北感が痛む。 「降りろよ」 頼むように呟くと、ルカスはきょとんとした。 「何だ、よく聞こえなかった、もう一度言ってくれ」 「その人から、離れて欲しいんだよ」 「・・・それは、できない」 怒りというよりは恐怖で、ゆっくりと近づき、 客の腕をつかむ。 「力づくか?」 「・・・っ」 的確な言葉に、力が抜ける。 急激に押し寄せた自己嫌悪が立ち眩みを起し、 トートを地にへばらせる。 「私は怪しい人間ではない、 君の主人の膝に居るのは、 これは、この人の許しを得てのことだ、 降りないのは私の我侭だ、 許して欲しい」 「・・・」 ルカスへの、謝罪を理性が、罵倒を感情が望み、 迷っているうちに冷たい声が降った。 「酷い殺気だったな」 何時の間にか目を覚ました、グイドの目が怒りを宿し、 トートを見下ろしていた。 「呼んだ覚えがない」 「会いたかった」 「・・・迷惑だ」 グイドは吐き捨てると、ゆっくりとルカスを降ろし、 トートの肩に手を置いた。 力が込められ、立ち上がることを促される。 本能的に唇が震えた。 いつも行為をする、その一つ前の部屋に連れられ、 叩かれる。 「妬いていたのか」 「・・・」 「相手は子どもだぞ」 「殺す気なんかなかったし、 乱暴も・・・しなかった」 「だがしそうだった」 「・・・」 「私を独占したいのか」 「・・・したい」 「迷惑だ」 「俺は、あんたが好きだ」 「私にとっておまえは玩具だ」 「・・・」 「気持ちが悪いだろう、 物に執着をされたら」 「・・・」 「困るだろう、そういう、感情を向けられたら」 「・・・」 「おまえは見栄えはいいが可愛げも色気もない、 少し鍛え直されて来てくれないか」 「鍛え・・・」 「最初は見ていてやる」 手を繋がれまた移動。 本に埋もれたルカスの元に戻り、グイドは何事か囁くと微笑み、 その場を通り過ぎる。 こんな事態の中、繋いだ手の感触に喜んでいる己は心底間抜けだった。 階を下り階を下り、静かな白い廊下を進む。地下に居るらしい。 何時の間にかグイドの横を、兵士が二人歩いている。危険な場なのだ。 着いた部屋の中は雑然としており、死体の一つでもあるだろう山が、 いくつも積み上がり妙な臭いをさせていた。 「喚起」 グイドの指示に、部屋に居た人間の一人がばたばたと動く。 「好きにしろ」 放られた瞬間に悟ったのは力の限界。 グイドの瞳はトートの、抵抗を望んでいなかったのだ。 力はあるが、使うことができない。 その場に居たうち、四人が興味半分に、 トートを押さえつけ顔を覗き込んでくる。 「いけるな」 「俺も」 「いけるいける」 「いんすか?」 グイドに伺いを立てながら、 散らかった場を少し片付ける。 人を転がすことのできる程。 「っ」 手が出たのは仕方がない。 確かな手ごたえがしたのに、気絶させることができなかった。 動揺していたため、力の込め方が悪かったのだろう。 「放せっ・・・」 「トート!」 「・・・っ」 切れ良く耳に届いた、グイドの叱るような声に驚いて動きを止める。 「痛っ?!」 「何だ何使った?」 トートの身を案じてではなく、薬品が惜しくて、 トートを押さえつけていた一人が問う。 「筋肉弛緩系の・・・安いのだ安いの」 「何だ」 ただでさえ四方から、押さえ込まれ身動きのできない身体は、 すでにシャツの内側に、忍び込んだ手を払えなくなっている。 効き目が早いのか、それとも元から、そこまで、 自分に力がなかったのか。 「んっ・・・ん・・・」 「はは、すげ、こいつ玄人」 部屋に居た数人は初めこそ黙っていたが、 トートを押さえつけ、下半身を剥き、その場所を弄り出して興奮して来たらしい。 荒い息遣いは純粋に恐怖だった。 「グイ・・・ド・・・っ」 呼んでみたが返事はない、後ろから弄られている胸の飾りが、 トートに快楽を運んで来ていた。 「う・・・ぁっ・・・あは・・・ぅ、んっ」 行為に慣れた身体は、恐らく獲物を甚振り慣れているのだろう男達の、 愛撫に喜んでいた。 「イッ・・・はぁっ・・・やぁ、アッ」 泣き叫びたかったが、それはあまりに無様だった。 「やめっ・・・やめろ・・・や」 小さく出る悲鳴には、何の破壊力もなく、 潤滑油にぬるついた秘部は勢い良く、男のいちもつを食らった。 「っふ、・・・ぅ・・・う」 涙が溢れ、それが色気を生んだのか、 髪をつかまれもう一つ、口に咥え込まされ、 それを吐き出そうと舌を動かした瞬間、 体内に挿し込まれていたものが動き出す。 「ん・・・っ、ぐ・・・んんっ・・・ん」 快楽で意識が白むたびに、己が玩具として育ってしまうような気がして、 グイドという人間から、ますます離れられなくなるのだろうと恐怖した。 「玄人すぎてつまんねぇんだけど」 「こう淡々とこなされるとな」 男達の会話に、行為の終わりを察知し喜ぶ。 「ぅあっ・・・あっ・・・ああ・・・あ」 獣のような体勢で、突かれて只管鳴きわめきながら、 何を間違えたのかを考えたが、答えは見つからなかった。 グイドの存在を確かめる余裕がない。 「グイド・・・」 呼んでみて、やはり答えがないので視線をやる。いなかった。 「なぁ、おまえ、悪いことは言わねぇよ、 さっさと姿消しとけ、 せっかくあの人の興味が移ったんだ」 「っんぁ!」 姿を消せと言って、何度目かの挿入をして来た男を睨む。 「や、俺等が出し終わってからの話な」 「ふざ・・・あぁっ」 「せっかく色気出て来たってのにな、見てりゃ楽しかったろうによ」 「撮っとくか?」 「・・・め、やぁっ・・・ぁう・・・はぁ」 「あ?何だよ言いたいことあんならはっきり言え」 「ああ・・・っ、あ・・・」 口を利きながら、男はトートの内部に射精し、 トートの返事を封じる。 「・・・殺、して、・・・やるっ」 「冗談だ冗談」 「ッは、・・・、笑、えねぇ・・・あ」 「笑ってんじゃねぇか」 決して楽しくはない。身体は感覚がおかしく、 心は痛みがありすぎて、混乱している。 「んっん・・・!ぁぁ、んっ・・・」 再び吐き出されてそれが最後、やっと終わったものの、 後には片付けが待っている。 すぐに掻き出さなければ、明日、欠席することになる。
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「・・・」 「げっ」 前後で揃っている、マルクスとハンクの席。 ふらふらとはしていたが、幸い行為に慣れた身体は、 歩くだけの力をトートに残していた。疲れによる熱だけを乗り越えればどうにかなる。 考えて登校したのが運の尽きだった。体調は悪化し、保健室行きとなり、 さらに、熱は誰がどう考えてもおかしな行動を、今、トートに取らせていた。 「マルクス・フィオーレ、ハンク・ジェキンス・・・」 保健室に行く途中の、授業中の教室に、その姿を見つけただけ。 クラスを確認し、通り過ぎれば良いものを、 二人の元へふらふらと、近づいて行った馬鹿殿を、誰が止められようか。 「王よ、授業中の訪問はご遠慮願いたい」 マルクスの冗談にクラス内が放心した状態からやっと、 くすくすと笑い出すレベルへと解れた。 「っ」 失った、大きなものの存在が、 ここに来てやっと感じられた不思議。 グイド一つだけの世界に、小さな、マルクスとハンクという穴ができた。 この穴に今は、縋るしかなかった。 「っふ、ぅ・・・」 「おい・・・?」 二人の下に行き着き、ぼんやりと、 泣き出したトートに一番に困った上、 慌てたのはマルクスだった。 「うわぁ、マルクスの男泣かせ!」 ハンクは我関せずとコメントをし、 にこにこと事態を見守る姿勢を取った。 「おい、王よ、ここではまずい、 おまえの名誉のためにも!」 「っ・・・」 鼻を啜り上げた顔が、 間抜けだったのかマルクスは笑った。 「何だその顔は!真っ赤だな?」 「う・・・」 慌てて下を向き、ふらつく。 「まったく、今更恥じても遅いぞ、 情けのない奴め、男が涙を・・・」 マルクスの言葉を遮るよう、 膝をつくとさすがにマルクスは事態を悟った。 「何だ、おまえ・・・具合が悪いのか?!」 「・・・悪い」 「っ、なっ・・・、なら保健室だろう、 おい、立て、しっかりしろ」 「おまえらのクラス、Dだったのか・・・」 「うわ、ばれた!」 「ハンク、手伝え」 「はいはい」 「・・・おまえらが、好きだ」 朦朧とした告白。 「聞こえんな」 「うん、聞こえない」 正直な、気持ちだったというのに流される。 「あ、ちょっと・・・?」 「彼を保健室に運んできます」 「うん・・・」 教師は取り敢えず成り行きに任せようと結論を出し、 マルクスとハンクがトートを運ぶため出てゆくのを許した。 翌日から、王の敗北の噂が広まったが、 トートの体調の回復と共に取り消され、 マルクスとハンクが大臣の陰口を叩かれ始めた頃、 トートの元にはグイドからまた呼び出しが掛かった。
終
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