※ご注意
①この短編小説は、先に投稿しました「出会い系をやってみたわけだが」の攻め視点バージョンです。
勿論、単体でもお楽しみいただけますが、両方ご覧になられるとさらにお楽しみいただけると思います。
②このお話の主人公は暗黒面に堕ちています。非常に外道でブラックな性格をしていますので、女たらし人間に嫌悪感のある肩は服用をお避け下さい。
一応、その筋の人に取材を行ってかいてありますので、鬼畜な野郎共の生態と心理を把握するにはいいと思います(←ちょっwww)
祐希◇◇◇◇◇◇
「つよしくん、イイッ」
ここは渋谷の漫画喫茶。
それにしても、ウゼェな、声出すなよ、こんなところで。
カップルシートとはいえ、ばれるだろ、馬鹿。
たかが男と女のレスリングをしてるぐらいでそんなに興奮するな。
大体、俺は『つよし』じゃない。
祐希だ。
ま、俺が嘘ついて、他人の名前をかたってるだけだから、可哀想なのはこの女なんだけど。
この子はこの子で幸せそうだし、どうでもいいか。
所詮はHしたくてついてきたわけだし。
ナンパって言うのは、生き物みたいなもので中々面白い。
相手は毎回変化するし、その反応も様々。
俺の実績や経験じゃナンパ師なんて呼ばれるには恐れ多いけど、それなりに撃墜してるし、ま、清らかに生きる女の敵である事は間違いない。
今日はハンズの前で声かけ→速攻で漫画喫茶に連れ出し→現在の流れ。
その間わずか40分と25秒。
ひょっとしたら最短攻略時間更新かも。
それにしても、会って一時間も経ってない相手に股を開くなよ。
俺はゴムしてるから良いとして、他の鬼畜なナンパ師だったらどうすんだよ?
忠告することはないけどさ、俺もやることはやってるし。
「ねぇ、名前呼んで?」
いや、だからここはホテルじゃねぇの、漫画喫茶なの。
お前なんかにホテルなんか使うか、場をわきまえろ、ボケが。
あれ?大体、こいつの名前なんだっけ?
乳輪が大きめだから、乳輪子(ちわこ)いいか、でもそんなこと言ったら怒るだろうし。
めんどいから、そろそろフィニッシュするか。
「つよしくん、イくっ」
・・・いや、だから俺は祐希だって。
それにHの間も俺に媚びるような嘘を言わなくてもいいよ?
俺、別に女の子を行かせたくてこんなことをしてる訳じゃないから。
そんなこんなで騙しながらの行為は終了、一時間だけの料金を女の子に払ってもらって漫画喫茶を出る。
早漏ってわけじゃないけど、漫画喫茶じゃ狭すぎて楽しめないし、たまに覗きみたいな奴もいるから早めに切り上げるのがいい。
「ねぇ、メール絶対してよ?
浮気しちゃ駄目だからね?」
さっきまでヤっていた女の子が甘えた声でそんなことを言うけど、俺の視線はもう次の女の子に移ってる。
大体、『浮気しちゃ駄目』って付き合ってもいないじゃん、俺ら。
さっきいきなり会って、体の相性を確かめようとか口説かれただけで軽く一回しただけでしょ?
俺の携帯の番号とか教えなくてよかったかもな。
こういう風にナンパから恋愛に持っていこうとする女を俺達は地雷って呼ぶ。
たまに依存心の強い人とかにひっかかると、こうなるケースが多くて非常に困る。
最初は毎日、毎晩、電話して、メールしての攻撃、無視すると、いきなり学校に会いに来たり、挙句の果てにはリストカット未遂してまで気を引こうとする。
いいか、これだけは重要な教訓だ、耳の穴かっぽじってよく聞きたまえ。
街を歩いているときに声をかけてくる男は100%ヤルかヤラナイかしか考えてないんだから、それで傷つくならついてくるな。
言うなりゃ、俺達みたいなクズ人間は女の子のことを『気持ち良くしてくれる穴のついた生き物』だとしか思ってない。
悪魔なのは分かってるし、そうじゃない誠実な男が稀に生息してるのも知ってるけど。
えてしてストリートで女の前に現れるのは俺みたいな鬼畜だけだよ。
『愛してる』とか『好き』だとかはセックスする前にしか聞くことが出来ないでしょ。
純愛ブームとか言って浮かれてられるのは、それだけ純愛なるものが世間には存在しなくなっていることを意味しているだけ。
だからその幻想に皆ひっかかるっていう寸法。
俺はその後、マクドナルドにとりあえず移動。
店にたむろするギャルちゃんに声をかけてもいいけど、奴らは強すぎるので今日はパス。
まだまだガキなんで、俺一人対女三人とかいうトークはまだ無理。
大体、俺のスタイルは一匹狼タイプなんでグループ系の女を落とすのは難しいだろう。
マックシェイクが今日は100円なのでとりあえずそれと、無駄に熱いホットアップルパイを頼む。
この熱さと冷たさのコラボレーションに敵うものはいないと思うけど、友達は全員それを否定する。
何でその美味さがわからないの?
カフェとか行くとアップルパイにアイスクリームかかってるのあるじゃん?
要はあれと同じなのに。
若干違うのは否めないけど・・・、まぁ固いこと言うなよ。
それにしても今日は学校に行かなきゃいけなかったからせっかくの土曜日が台無し。
制服着たままじゃナンパしにくいって。
俺のターゲットは同い年か年上だから、制服受けはあんまり良くない。
やっぱ顔が顔だけに幼く見えるのも問題かな。
そんなんなら私服持って来れば良かった。
俺が通ってるのは、私立の大学付属の高校で、周りは幼稚園からずっと一緒だったりする所。
今日もその制服着てるけど、一目で親が金持ちとか分かるから正直やりにくい。
でも今日は夕方からバイオリンのレッスンがあるし、暇が潰せればいいか。
「ここ、座ってもいいかな?」
俺がマックシェイクの残りをぼんやりと飲んでいると、目の前に座ってきたのは180cmぐらいの大柄な男。
スーツ着てるところから言って、サラリーマンか。
茶髪で髪長いのがちょっと痛い。
それに日本人の肌質でそんなに日焼けすると、シミとかシワができて後々大変なことになりますよと忠告したい。
そう言えば店内も大分混んできたようで、さすがは土曜日を感じさせる。
合い席ぐらいしてやってもいいぞ。
「・・どうぞ」
などと、とりあえずは社交辞令でトレイを引く。
俺は脳内でどんなに邪悪な事を考えていても、それを実行に移すときはきちんとした対応を取るようにしている。
相手が男だろうが、女だろうが、お構い無し。
いうなればいつだってナンパの練習をしているというわけ。
そんなことを思っていると、目の前のサラリーマンが恥ずかしそうに口を開く。
「・・・君って、可愛い顔してるって言われない?
男の人に興味ないかな」
あー、そっちの系統の人間かよ、ウゼェ。
さっきの前言は撤回だ。
かかる火の粉は払わねばならぬ。
「消えろ、ホモ野郎」
男には一切興味が無い俺はにっこりと微笑んでそう伝える。
こういう場をわきまえない礼儀知らずな奴は速攻消えてなくなれ。
我ながら天使の笑顔でこういうことを言うことの効果はよく分かってる。
向こう側はすごすご退散するほか無い。
目の前でビックマックを食べようとしていた男の人はがっくりして席を立ち、あまりのショックに食べかけも全てゴミ箱に入れて去っていった。
他人に不快な思いをさせた罪だから、自業自得だろう。
高校に入って身長が伸びたからよかったものの、未だに男から声がかかるのはどうしたもんだ。
道行く金持ちそうなおっさんに「月に100万円あげるから愛人にならない?」とか言われるのは素で引くだろ。
てめぇみたいなクソチビデブハゲ親父に俺の貴重な尻の穴を献上するなら死んだほうがマシだ。
それに俺の小遣いはそんなに多くないけど、金には困ってないから。
大抵の場合、ナンパした女の子が払ってくれるし、服だって買ってくれたりするし。
あ、今度は沙耶さんにラフシモンズのシャツを買ってもらう約束してたんだ・・・。
そんなわけで、俺は一切、男には興味が無い。
俺の外見は確かにソッチの方面に受けがいいとか言うのは知ってる。
全体的に色素が薄いし、ヒゲとか生えないし、結構細いし、顔小さいし・・・。
でもまぁ、これって女の子のターゲットでもあるわけで、女受けが悪いわけが無い。
ホモ男と女は実はかっこいい男を求めているという点においては競合関係にあるわけだな。
そうなる俺が男を選ぶなんてことはありえない。
筋肉とかヒゲとか筋ばった体とか、低い声とか、まず無理。
しかも、大方の場合、俺が掘られるんだから、ありえないだろ、そりゃ。
・・・ん、待てよ?
んじゃ、俺が男を食うってのはありなのかな?
う~ん、これは考えたことがなかったな。
いつも俺に声をかけてくるのは、俺にわっしょいわっしょいしたいとか思ってる輩で、必然的に俺を女みたいなもんだと思ってる。
でも、ひょっとしたら世の中には俺が掘れるほど、もとい、俺が惚れるほど可愛い男がいるかもしれない。
・・・それはないと思うけど、わかんないな。
男なんて注意してみることなかったし。
女でヒゲが生えてる奴もいるぐらいだし、男ですげぇ可愛いのがいるかもしれない。
それはそれで結構、興味深い話題だな。
でも、問題はそういった男を見つける方法だ。
いつもやってるみたいにセンター街とかで声かけしてみるか?
それは微妙。
危険が大きすぎる。
友達の間じゃ鬼畜ってことで通っているけど、さすがに男相手も始めましたってのは狂ってるだろ。
となると、やっぱり出会い系か・・・。
この間、俺の友達が教えてくれたサイトで探してみよう。
そいつは進学校の頭だけは凄くいい奴なんだけど、出会い系なんて使って情けない奴だな。
俺は女と付き合うために出会い系なんかはしない。
だって、目の前に可愛い子はいっぱい歩いているじゃん。
シカトされても頑張って盛り上げれば、楽しい結果が得られるってのに。
高校一年のときにちょっとだけやったけど、あまりのメンテナンスのめんどくささに速攻止めた。
顔も乳もわからねぇ相手に盛り上がってられる想像力は俺にはない。
俺は基本的にナンパしたその日のうちに最後まで持っていく最低のクズ人間だから、こういう駆け引き系のゲームをするのは嫌いだ。
でも今回の話は別。
性別女にして書き込もう。
そうじゃなきゃ男なんて釣れないだろうし。
ま、本当に釣れるかどうかわかんないけど、やってみる価値はありそう。
それに、写真とかみるだけでどんなもんか分かるだろうし。
『名前:ゆうき 年齢:18歳 住所:渋谷区
当方、男ですけど、それでもOKって人友達になりまし』
名前は本名でいいか、平仮名だし。
メールもサブアドレスにして、転送設定にしてあるから問題ないはず。
さぁ、あんまり期待してないけど、送って来いや、ホモ野郎。
・・・・
来るわ来るわ。
登校後10分でなんと新着メール68件、もっと増えそうな勢いだな。
てか、携帯の電池大丈夫か。
俺はとりあえず今まで届いた野郎共のメールをチェック。
『名前:斉藤 年齢:40歳 住所:港区
今から遊ぶ?お金ならあるけど』
あー、はいはい、そっちの系統ね。
却下、却下。
それにおっさんは無理。
俺が相手できるのは±5歳以内までだ、異論は許さない。
『名前:よしの 年齢:18歳 住所:横浜市
大学生のよしのです。写真つけてみたのでよかったら見てね』
ごめん、写真で却下。
お前、その面で俺様にメールするなんて100年はえんだよ、このクソガキ。
ラクダみたいな顔しやがって。
テメェなんかに乗ると想像しただけで虫唾が走るわ。
『名前:tuyosi 年齢:20歳 住所:新宿区
ホスト。とりあえず写真見て、OKなら返信して』
う~ん、写真は結構可愛い系か・・、可食っちゃあ可食。
身長が同じぐらいなりゃ行けるかも。
でも髪型がちょっとな・・・。
ま、ホストってこんなもんだろうけど、俺は黒髪が好きだし、色白の方がいいし。
それに名前がtuyosiなのが痛すぎる。
さっきの俺の偽名と同じじゃん。
大体、ツヨシのローマ字表記はtsuyoshiだろ?
なんか頭が悪そうなのでパス。
その後、俺の下に届いたメールは100件以上。
しかしこんな感じで禄なのがいやがらねぇ。
殆ど人間のカスか社会のゴミだ。
ま、俺も余裕でその部類の人間なんだけど、その容姿に騙される人が多いから仕方ないよな。
とりあえず携帯の簡易充電器をさくら屋で購入。
しかし、うぜぇ、まだ来てやがる。
もういいや、とりあえず一旦全部消去するか。
ついでに転送メールも解除しよう・・・。
やっぱり可愛い男なんかと早々出会えるわけがないか。
それに男なんてやったことないし、本番でどうすりゃいいかなんてわからないだろ。
俺は一旦、受信ボックスを全部削除する。
新着メール196件ってどんだけだよ、お前ら全員この世から消えろ、速攻消えろ。
しかし、削除した瞬間に、また新着メール一件。
もういいよ、俺は今からバイオリンの教室に行くんだからさ。
ママンがうるさいから、今日はも暇があんまりなさげだし。
『名前:えいやぁとぉ 年齢:20歳 住所:渋谷区
こんちは、俺も渋谷の高校通ってるよ。
よかったら話すで』
おー、高校生か。
こういうのは返信は無かったな。
しかも渋谷の高校なんて結構限られるぞ。
何かまともっぽいし、面白そうだからちょっとメールしてみるか。
クソ野郎なら速攻切ればいいし、いい感じなら会ってみてもいい。
さっき女としたばっかりだし、別に溜まってる訳じゃないからガツガツせずにどんな奴が来るのかだけ見てみるのも面白いかもな。
『メールありがと☆一番、まともそうだから返してみました。
僕も渋谷で高校生してるよ?
てか、今も渋谷にいる?』
う~ん、なんか好青年な感じだな。
さすが俺、天才。
向こうの奴は返信が来たって狂喜乱舞してるんじゃないの?
まるで神様にでもなった気分だな。
『だいおう?
いるいるいます、いるいます。
今はPBCでGROOVE読んでるけど』
おー、早い早い。
やっぱ気合入ってる様子だな。
こいつの読んでる音楽雑誌になんか興味ないけど、PBCなら遠くは無い。
今から行ってやるか。
暇って言うのは思わぬ行動力を人にもたらすな。
遠目でGroove読んでる奴を見て、下らない奴なら速攻帰るってもありだな。
そんでそいつはずっと待ちぼうけとか考えるだけで笑ってしまうな。
どうせまぁ、クソみたいなのが来るんだろうけど。
大体、だいおうって何だよ?大王か?
そんなに自分が偉いとか言いたいのか、このガキは?
『あはは、だいおうって何?
なんか面白そうな人だね。
んじゃ、今からパルコ行きます。
至って普通のネコ型ロボットなんでがっかりしないで下さいね』
顔が猫っぽいっていうのはよく言われるので、とりあえず書いてみた。
まぁ、下らないけど、あんまりガチガチに緊張させとくのは意味が無いし。
『あー、了解。
俺は全然、面黒くない人なんでそちらこそがっかりしないでな。
いや、まじで普通ですってば。
着いたら教えてくだry』
面黒くないってのは色白だってことか?
それは余裕でアリだな。
コイツ、自分のことを普通とか言うけど、どうせ『ちょっとかっこいい』ぐらいに思ってるんだろ?
大方そういう奴に限って普通以下だったりするんだが・・・。
おっと、その前にフリスク買って行くか。
Sharpens me upしないと。
それにバイオリンは夜9時に変更してもらおう。
坂を上ってPBCに行くと、土曜日なだけあって人が多い。
そいつは本当にGroove読んでるのか分からないけど、とりあえず俺から連絡する前に見てみようか。
もしも190以上とかのどう見ても高校生に見えないデカ野郎だったら帰ろう。
少なくとも俺よりも小さいぐらいじゃないと話にならんぞ。
俺の女のベスト身長はミュール履いて170前後かな。
よく考えると、俺が騙される可能性だってあるよな。
向こうの反応はやたらと良かったし・・・。
俺が釣られているんならそれはそれでいいか・・・、ムカつくけど。
その鬱憤はナンパで晴らせばいい。
・・・っていねぇよ。
やっぱ騙されたのかな?
クソガキが。
あ~、くそムカつく。
こっちから連絡するのめんどくさいっていうか、緊張してるのかな、俺。
ま、いいや。
そういえば今度模試があるから参考書でも見てくるかな。
ひょっとしたら向こうが待ちわびてもう一度メールしてくるかもしれないし。
小悪魔的なテクニックを使って無作為の作為状態なわけだけど、その後は何の連絡も無し。
あ~あ仕方ない。
このクソ野郎のガチホモにメールしといてやるか?
一応、人情ってやつだな。
『着いたんだけど・・・。
参考書売り場のところで制服着てる奴です。
気に食わなかったら帰ってよし』
てか、余裕で帰ってよしなんですけど。
ま、いいか、適当に参考書でも見とくか。
(前編終了です。後編に続きます!)
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