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 (オリジナル・ボーイズラブ・エロ/18禁)
残酷遊戯




「K公園だ、迎えに来い」
 不機嫌そうに吐き捨てるような声でが聞こえて、返事をいう間もなく、切れてしまった携帯を、一瞬叩きつけてやりたくなった。主人気取りの光博も、その命令を聞かざるを得ない自分の立場も大嫌いだった。
 窓の外は、どんよりと曇り、絶え間ない雨が降り続けている。
 ったく、傘くらい持っていけ・・。
 そう毒づきながらも、身支度を始める。
 そもそも、わざわざと真澄を呼び出さなくても、幾らでも手段はあるのだ。それを迎えに来いと横柄に命令する光博の、半ば嫌がらせだと理解しつつも、車を飛ばしてK公園へと向った。
 公園の入り口へと車を横付けにして、真澄は公園の中へと入っていった。
 雨宿りを出来る場所には見当が付いていた。
 案の定、真澄の想像した通りの場所で、光博は一人、ぽつんと立っていた。
 「光博・・」」
 「ここだよ、遅いぞ、ここまで20分もあれば付く筈だ」
 「道が混んでたんだよ」
 「どうだか、わざと待たせて、嫌がらせのつもりだったんだろう」
 どこまでも、ひねくれた言い草にムッとしながら、光博の様子を見れば、上から下まで、びしょぬれだった。
 ほっそりと色白で、男にしてはきゃしゃな光博に、シャツが張り付いて、身体の線がはっきりと見えてしまう。白い木綿のシャツの胸元の、飾りまでが透けており、一瞬目を奪われたものの、それを振り払い、真澄は、自分の上着を乱暴に被せた。
 「おい、お前の上着なんて・・」
 「風邪をひく、そのままだと」
 「ふんっ・・」
 不満げに眉を顰めつつも、光博は、黙って、上着を羽織ったままで、傘を受け取った。
 「すっかり、身体が冷えた、風呂の用意をしろよ」
 家に帰り着いても、命令は続き、真澄は、部屋に備え付けのバスタブへと湯を張って用意した。
 「湯上りには、ワインを用意して待ってろよ」
 光博は、それだけ言い捨てて、バスルームへと消えてしまう。
 その後姿に、憤怒を滾らせながらも、真澄は無言睨みつけていた。
 あの、傲慢な男を組み伏せて、自分の思うままに振舞ってやったら、どんなに溜飲がさがるだろう。
 いつしか、真澄は、そんな夢想で、自分を慰めていた。
 「なあ・・真澄」
 バスローブ一枚の姿で、部屋のベッドに腰掛けて、光博は、ワインのグラスを傾けている。
 「何だ?」
 「ったく、犬の癖に、相変わらず生意気だな」
 誰が、犬だ!
 そう叫びたいのをぐっと堪えて無視して、部屋を出ようとした、真澄は呼び止められた。
 「来いよ、また、あの遊びをしよう」
 愉悦に満ちた声に、真澄の全身に屈辱が走る。
 あの遊びが始まったのは、数ヶ月程前だった。それは、光博の単なる思い付きだったが、真澄にとっては耐え難い屈辱を味合うゲームでしかない。
 「ほら、犬なら、犬らしくしないとな」
 「くっ・・」
 「来いよ、ここに、跪くんだ」
 逆らえないのは百も承知だったが、それでも、抵抗はある。
 真澄は、ぎりりと唇を噛み締めながらも、光博の傍へと寄り、その目の前に跪いた。
 「ほら・・舐めろよ」
 光博の形の良い足が白く手入れされた踵が目の前に差し出される。
 「くっ・・」
 小さく唸ると、真澄は、その甲へと唇を寄せた。
 「ちゃんと舐めろよ、犬なんだから・・」
 ぺろりと舌先で、甲を舐め、指先を口に含む。
 上目使いで、盗み見た光博は、残酷な支配者の様に、歪んだ愉悦の表情を浮かべていた。
 誰よりも、憎い、光博・・。
 そんな表情すらも、美しいと心の奥では思ってしまう。
 この世の誰よりも、自分を支配するその存在が疎ましく、その魅力に逆らえない。
 不意に真澄の目の中に不穏な輝きが宿る。
 足の指を含み吸い上げてから、光博の太股の上に手を這わせた。
 「おいっ・・」
 少しだけ慌てた様子を、押さえ込むように、真澄は肌蹴た腿の内側へと顔を寄せる。唇を這わせて舌で、舐め上げると、光博の身体が強張る。
 「まっ・・真澄っ・・」
 明らかに手応えはあり、光博は感じているのだ。
 真澄は、さらに大胆に、光博の奥を暴くように、バスローブを肌蹴させた。何も付けていない素肌が、男性器が目に飛び込んできた。
 躊躇することなく、真澄は、それに指を絡めて、軽く扱き上げる。
 「やっ・・止めろっ、何を、放せっ」
 「ふふっ、お前が始めた事だ」
 「あっ・・・」
 ペニスを含むと、光博がびくびくと身を震わせて声を殺している。
 その反応に満足しながら、真澄は夢中で舌を這わせて、それを吸い上げ追い詰めていった。
 「あっ・・ああっ・・」
 光博の指が真澄の髪に絡み、引き剥がそうとするかのように引っ張るが弱々しい力でかない。自分が与える快楽に戸惑いながらも、流されているのだ。
 「あっ・・ああっ・・」
 やがて、光博が肩を上下させながら、声をあげて欲望を手放した。
 飲み切れなかった、彼の精が口の端を伝い落ちていく。それを見せ付けるように拭いながら、真澄は優越感に満ちた瞳で、光博を見上げた。
 光博もまた、自分が、あっさりと手管に落ちてしまった屈辱をその頬に漲らせて睨み返している。

 このまま、どこまでも、堕ちてしまえばいい・・・。

 END
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...2007/2/5(月) [No.355]
水瀬 はるか
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