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 (やや鬼畜。少年もの/18禁)
プリン・アラモードへの道


ぼくは、四つんばいになった。
排水用の、鉄でできた格子のフタ。網状になっているやつだ。
それに両手をかけて、尻をつきあげて「うーん」とうなった。
大きな声。少年だとわかる声色。困ったようすもふくめて。
駅前通りが近いだけあった。すぐに誰かがやってきた。
「どうかしたのかい?」
心配そうな声。うかがおうと傾げる首。メガネのおくの優しい瞳。
ぼくが、プリンとさし上げた、柔らかい尻に触れもしない。
………こいつは、善人だ。
そう思い、ぼくはせいいっぱいの泣き顔をつくった。
「電車賃が………」
「ああ、用水路の中に、お金を落としたんだね。
蓋は重いだろう。今代わって、開けてあげるから」
ぼくが場所をうつると、その青年、おそらく大学生だろう、はフタをつかんだ。
うすぐらくて、よく見えないのか、メガネのおくで何度もまたたいている。
二、三度引いて、びくともしないフタに、青年は汗をぬぐい、四つんばいの体勢になった。
………たしかに、その格好が、一番力が入りやすいからね。
荒い息をはく青年をてつだいもせず、ぼくはそっと背後にまわった。
排水溝の状態は、闇のなかでも熟知していた。青年の靴ひもを、ほどいて格子に結ぶ。
何度めかの挑戦で、青年は結んだひもに足をとられ、つんのめりかけた。
ぼくは、それを見逃しやしない。体勢がくずれたところで、青年の腕をとった。
背後でねじって、ポケットから出したロープで拘束した。
「………な、っ?」
絶句する青年がふりかえる前に、ぼくは膝の裏がわを突き、青年をフタに這いつくばらせた。
まともに顎をうちつけ、メガネがずれる音がしたが、ぼくは気にせず脱がせる。
青年のジーンズを下着ごとずりおろし、闇にとろけそうな白い尻を浮かばせた。
やわらかそうで、思わずさわりたくなるくらい、フワフワしている。
ミルクの甘そうなかおりが浮かび、冷蔵庫から出したてのようにプルプル震えるそれは、あるものを想像させた。
ぼくは、まるだしの下半身、その後孔に指を一本吸いこませた。
「………っ!」
ビクンと身体がはね、痛みをかみころす短い悲鳴が聞こえたが、ぼくは気にせず指を進めた。
根元まではいると、こんどは指の腹と爪をつかって、中のひだを押しつぶした。
生き物のように温かい内壁に、ねばりつく液状のものが生じるまで、ぼくはつづける。
「や、め………っ………ッッ、アッ」
苦悶の表情。流れる脂汗、身をよじって逃れようとする弱弱しい抵抗。
………演技じゃないって、分かってるけどさ。
だけど、ぼくは二本目の指を押し入れた。
大きくすぼまりが開かれ、悲鳴がピタとやんだ。苦痛があまりにも激しかったためだろう。
目を限界まで見ひらき、瀕死のキンギョのように口をパクパクさせている。
かまわずぼくは、根元までいれた指を、ぐるんぐるんとかきまぜた。
「ひ………ッ、ァッ」
一度はじけた悲鳴が、小さく縮こまった。体内をかきまわされるような痛みのためだろう。
こらえようと目を閉じ、唇をむすび、肩をすぼめている。
それを見ても、ぼくは乱暴にまぜる指をとめず、それどころかスピードをあげてやった。
青年の口からもれるのは、こがらしに似た、ひゅーひゅー細い呼吸めいたものになる。
ぼくは三本目の指をつけたした。
筋肉がげんかいまで押し開かれる音がしたけど、それでもすぼまりは受けいれた。
身体がはねるのも、最初の時ほどの勢いはない。ぼくは知っていた。
青年の息に熱がこもっていることを。肩が荒く上下し、腰が小刻みに揺れているのを。
ぼくはわざと揺れるタイミングとずらして、三本の指を前後にうごかした。
「ぃ………い、ぁ………っぅ!」
まちがいなく声はあえぎだった。身体の震えは、ただ悶えているだけだった。
動かす指は、しだいに水っぽいものをまとうようになっていた。
ジュ、ジュプといやらしい音を立て、まもなく青年の呼吸は吐息に変化した。
ぼくは無造作に指をひきぬいた。月の光のせいか、銀色にぬめったものでぬれている。
「………っ………ふぁ、っ………」
安堵の声をもらし、全身がガクガクと脱力しかける青年が、かんぜんに崩れる前に、ぼくはそれを挿れた。
ファスナーをおろし、たぎりかけたそれを。
ひくひくとうごめき、液状のものをわずかにこぼしている後孔へ、あやまたず。
ぼくの「とっておき」を咥えて、青年ははしたない声をあげた。
「………っ、く………ァアアアアッッ!」
指三本とはくらべものにならない、厚みと深さをうけいれ、青年の顔はこわばった。
ときたま痙攣のように、ビクン、ビクンと大きな震えがやってくる。
逃れようとする身じろぎもふくめて、ぼくはぜんぶを楽しんでいた。
自分の好きかってに腰を押しすすめ、飛びだす呻き声なんて気にしなかった。
ギリギリに張った内壁を、破るかのように大きくなるそれを味わい………げんかいまで達した時、ぼくは笑いながら欲望を吐きだした。

うなだれ、たおれふしている青年の上着から、ぼくは財布をとりだす。
「んじゃ、電車賃として、一万円でいいや」
「なっ………!?」
疲れきっていた青年が、驚きと怒りで、目に光をともらせた。
ぼくは微笑んで、やりすごす。
「だれも、用水路に小銭をおとした、なんて言ってないよ。
ぼくはここで、獲物をまっていただけ。
身体目当ての好色ジジイでも、おにーさんのような善人さんでもね。
あ、言っておくけど、警察に訴えてもムダだよ。『れいぷ』でも強盗の件でもおんなじ。
ぼくのような少年が、乱暴されたのはこっちだと泣いて訴えれば………警察はどちらを信じるか………考えるまでもないもんね」
財布をもとにもどし、後ろ手の拘束をといた。
腕がしびれて動けないのは計算すみ。靴ひもは自分でほどくだろう。
ぼくは手に入れた一万円札を、ひらひらとたなびかせながら立ち去る。
「………なんで、俺がこんなめに………」
心底くやしそうに青年がつぶやく言葉は、もうぼくの耳にはいらなかった。

ただ、ファミレスで食べるプリン・アラモードのかろやかな甘味を思いうかべ、駅への道をひたはしるだけだった。

「お読みくださり、ありがとうございました。」
...2006/12/4(月) [No.344]
紫堂あい
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