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 (少し無理矢理 親友  動揺 高校生/15禁)
Fireplace(前編)


 知らなかったよな。あいつ、あんなに意地悪になるんだ。
 だってあいつはいつもおれには優しくって、おれのわがままも聞いてくれて。確かに甘えすぎてるって気もしていたけれど、それがおれ達のやり方で、それで安心してていいはずだって思ってた。
 やっぱり不満もあったのかななんて、ちょっと軽く反省してみたりして。
 でも、困ったことに、あんなあいつも嫌いじゃねえ。
 惚れてるんだろうな、結局。ちっくしょう。
  
 うちの学校はかなり変わっていると思う。寮制の私立男子校なのに、学費がめちゃくちゃ安い。多分それは、裏の仕事のせいだ。
 各方面に顕著な才能のある生徒を集め、それを他の学校に貸し出ししている。成果をあげられれば、その見返りを貰うというわけだ。
 おれは無芸多才らしく(あれ?違ったっけ?まあいいや)多方面に貸し出しされるが、扱いにくいとよく文句を言われる。だって審判の判定とかに不満があったら、暴れるのなんて普通だよな? 違うか?
 そのため、監視役をいつのまにか付けられた。それが1つ上の部活の先輩で、おれの恋人だったのはラッキーと言えばラッキーだった。学校に言わせれば、こいつくらいしかおれをまともに扱えないらしい。そんなことねーと思うんだけど。

 まあ、それはそれとして。

 それは、新潟におれ達が出張して仕事を終え、宿泊費を浮かすため、おれの家の別荘で2人で過ごすことになった夜。
 別荘と言えば聞こえはいいけど、おれの感覚ではほとんど廃墟だ。実家でもここで過ごす夏休みの何日かは『サバイバル体験ツアー』と呼んでたくらいだし。
 それがよりによって冬のこの雪の深い時期に来るなんて、自殺行為みたいなもんだ。だって電気も水道もないんだぜ。信じらんねーよな。
 あいつは『立派な建物だ』とか感心していたけれど、それは見た目だけの事。暖房だって暖炉だし、煮炊きもそこでしなきゃなんねーし不便この上ない。唯一の救いは、トイレと風呂だけは雨水を溜めた水が使えるって事だ。あとは、外の井戸から汲んで来るしかない。
 だけど火を焚くのは好きだし、あいつと2人きりなのも悪くないと思った。
 半径50メートルくらいは人家もないし、人はまず通らない。通ったとしたって、広い前庭のため、まず中の音は中に聞こえないはずだ。いや…別に聞こえちゃいけないような事をやるわけじゃ…ない…と思うけど。
「おまえんちって…ナニ?」
 呆れた口調であたりを見回すあいつに、普通のサラリーマンだけどとかいう説明をしたけど、どうも一般的にはうちは普通じゃないらしい。おれには関係ないことだけどな。
 別荘の管理をしてくれてるおばさんの心づくしの夕飯を食い終わって、ちょっとアルコールも入ってやる事もなくなるとおれは…その…なんていうか、はっきり言って欲情してきちまった。だってさ、当たり前だよな。好きなやつと2人っきりで、暖炉の火が燃えてて、おまけに外は雪で、ほろ酔いでさ。この状況でヤルなって方が無理だろ。
 おれは毛布を体に巻きつけたままごそごそとあいつの隣に移動し、体をぴったり密着させて耳元で
「なー、ミネ」
と言った。
「なんだよ」
 あいつの返事は味も色気も素っ気もなかった。おれはそれでもめげずにできるだけ可愛く
「してよ」
と言った。一世一代の大サービスだったのに、あいつは
「えっ!?本気かよっ!?」
と言いやがった。うそだろ、全然その気なかったのかよ。
「おまえ、疲れてないのか?あんな暴れておいて」
 確かに昼間バスケの試合5本やっつけたばっかりだったけど。でもって得点王取って、最優秀選手賞取って、助っ人だってのに目立ち過ぎだって文句言われたんだった。
「疲れるところ別だし」
「信じらんねえ」
 あいつはまるで化け物でも見るような目でおれを見た。
 こっちこそ信じらんねーよ。2人っきりだっていうのにさ。
「ムッかつくー。ミネこそおかしーんじゃねーの?こんな美味しいシチュエーションで、おれの事抱きたくならねーなんて」
 後で思えば煽り過ぎたかもしれない。
「馬鹿か。明日起きられなくなるぞ、寝ろ」
 あっさりとそう言ってあいつは水割りのグラスを口に運んだ。
「こっち向けよっ! 」
 こうなったら意地でもその気にさせてやる。
 あいつの手からグラスを取り上げて、無理矢理舌を捻じ込むようにキスをした。ウイスキーの味がしたけど、それはそれでスパイスってもんだ。
「…ね? 」
 弾む息を抑えて至近距離で目を覗き込むと、ふっと目の色が柔らかくなった。やった…と思う間もなく、間髪を入れず今度はなんだかにやにやした表情になった。ちょっとヤバイか? と思ったのもつかの間、腕をぐいと掴まれた。
「そうか、それも悪くねえか」
「な?」
「じゃ、おれの好きなやり方でやっていいか? 」
「へっ!? 」
「いいよな」
「え? えええっ? ちょ……ちょっと待てよ」
 抵抗する間も与えられないで、暖炉の前のムートンの敷物の上に押し倒されてしまう。
「こ……ここですんの? 」
「嫌か? 」
 いや、嫌も何ももう服脱がされかけてるし。今、早く寝ろって言ったやつと同じとはとても思えない素早さだ。
「や……やだよ。ここ明るいじゃん」
「良く見えるよな。隅から隅まで」
 いつの間にかシャツは捲りあげられ、胸に音を立てて吸い付かれた。
「や……ちょっと待て、ミネっ! ヤルならちゃんと脱ぎてえ……」
「そっか? こういうのもいいだろ、たまには」
 嫌なんだよ中途半端に服着たままなのって。すっげえがっついてる感じがするし、じゃなきゃ強姦されてるみてえじゃん。ちゃんとお互い服脱いで、ベッドかせめてソファで…ってここ床だし、下は敷物一枚だし、こういうのすっごく嫌…知ってるはずなのに。泣くぞっ、泣いてやるっ。しかしその間もなく体をあいつの手と唇が這い回る。
 あいつがまだにやにやした顔のまま言った。
「おまえさ、いっつもあれやだ、これやだ言うだろ」
「だってやだし。……あ……あ、だからちょっと待てって……」
 自分で服を脱ぎ捨てようとしたら、両手首を捕まれた。
「ダメ。そのまま」
「なんで」
「半分脱げかけたところが、そそられる」
 そういうヤツだったのかぁ。その気持ちは分からないでもないけれど、だからこそ嫌なんだってば。必要以上にそそらなくていいし、そそられたくもねーし。おれはただふつーにキスしてふつーに抱き合えば十分なのに。
「脱ぎたいか? 」
 一応そう聞いてはくれたが
「うん」
と答えると
「おまえ、見られたいのか、見られたくないのかどっちなんだよ。分かりにくいな」
と言われた。なんなんだよ!
「だって見られたくねーところは、どうせもう見えてんじゃねーかよっ! 」
「ちょっと待て」
 あいつはおれの言葉には答えず、おれに馬乗りになったまま手だけ伸ばした。傍にあったバッグを引っ掻き回し、少し考えてバスケットシューズの紐を手早く抜き取った。
「じゃ、これで……と」
「これで……っとじゃねえよっ! 何考えてんだよ」
「だっておまえ放っておくと脱いじゃうだろ」
 わけの分からない事を言いながらおれの両手首に紐を巻きつけた。
 変だ。絶対変だって!
「ちょ…ちょっと峰岡さん? 」
「なんですか? 」
「何してんの? いや分かってるけど、なんで? 」
「言ったろ。そそられるって」
 そこまでして半脱ぎのおれが見たいかよ。
 多分……絶対……本当はそれほどでもないんだ。
 この際ちょっとやってみたいと思ったことを、まとめてクリアしようとしてるような気がする。おれを嫌がらせたいだけだ、おそらくは。そしたら、いつもおれが嫌だっていっているあんな事とかこんな事とかも……? そして悲しい事にその勘は当たっちまった。
「んー。かっわいいおミズ」
 そう言って今度は耳にキスされた。耳の中に舌を入れられると、背筋をゾクッと何かが走っていった。
「おまえ……へん……だ……ってえ」
 必死に顔を背けようとしても
「いいよ、変でも」
と言いながら、耳の後ろから首筋を唇が通っていった。
「……や……ああ、ん、ミネぇ」
 ああ、もう毎度ながらどこからこんな声が出るのかと思っちまう。きっとおれの中にはこういう時対応のICレコーダみたいなものが仕掛けられていて、あいつがどこかのスイッチを押すと、おれの意思とは関係なく発声するようになっているんだ。うん、そうだ。そうに違いない。じゃなかったら、このおれが『やあだあ』とか『ああん』とか言うわけねーもんな。
 知り尽くされたおれの躰にあいつの舌が這い回る。目を固く閉じたまま想像しただけでも、気が遠くなりそうなのに
「こっち見ろよ」
と促された。
「や……やだ……無理」
「ふうん」
 あああ。いつの間にか下半身剥かれてるし。っていうか、ずり下ろされたジーンズが片方だけ膝辺りに引っかかってる。誰かを捕まえて聞きたい気分だ。すみません、そこ歩いてる人。聞きたいんですけど、こういうのって本当にセクシーとかなんでしょうか? すっごく趣味的にマニアックなんじゃないでしょうか?それより、なんかみっともなくね? 違う? 違うの? 違うんだ……ううう。そういう事は気にしちゃいけないわけ? じゃ、おれがわがまま言ってるって事かよ。そうなるのか?
 足をばたつかせて膝から邪魔な服を振り払おうとしてたら、片腕で押さえ込まれた。口惜しいけど力はあいつの方がずっと強い。仕方ないので大人しくなると、あいつは体をずらし、おれに唇を重ねてきた。しばらくの間慣れた感触に酔っていると、もう片方の手がおれの胸辺りを彷徨い、突起に触れた。
「……ん……あ……ぅ……や……」
「やじゃねーじゃん。いつの間にかこんな真っ赤にしといて」
 今度言葉攻めかよ。
 おれが何か反論しようとしたら、あいつはとんでもない事を言い出した。
「なあ、ここだけで達けるか、試してみる? 」
 冗談じゃねえっつのっ! 無理だって、絶対。無理、無理、無理。それはもう、日本の有人衛星が土星に着陸するより無理っ! おれの反対を待たずに、あいつは両方の突起を口と指の両方で捏ね繰り回し始めた。
「やだって……無……理……だって……ば……ああ……ぁ。も……う……楽しいかよ」
「当たり前だろ。こんな可愛い声聞けて可愛い顔見られるのに」
「あ……ん……喋んな、バカ」
「おまえが聞いたんだろ」
「……あ……あ……んん……んっ。やだ……もう……やだぁ……」
 体の熱は一点に集まっていき、でも爆発するまでには至らない。頂点に達しようとすると、潮が引くように引いていってしまい、あとにはもどかしさだけが残る。そこからまた熱が集まっては引いていき、何度も繰り返されるうちに、発散されない快感が気が狂ったように体の中を駆け巡った。その内に飽きるかと思ったが、あいつはそんなおれの様子を嬉しそうに眺めているばかりで、一向に肝心の場所に触れてくれない。そのくせ目線だけはそこに送って
「おミズ、やらしい。すっごい雫が滲んでポタポタ垂れてる」
とか、言いやがる。くっそお、やらしいのはどっちだよ。
「火に照らされて、光ってる。ほら、見てみ」
 そんなもん見られるか。いい加減飽きろよ、そんなとこばっか弄りやがって。おまえは出荷に追われる乳絞りの酪農家かっ!?
 でもそんな言葉を言う余裕はおれにはなかった。両手でまだ胸元を弄られたまま、足の付け根辺りに落ちた雫をぺろっと舌で舐め上げられたら、もう我慢の限界だった。 
「ミ……ネぇ。触って、そこ……」
 懇願するようにおれが言うと、あいつは自分の顔の傍にある『そこ』とおれが言ったモノに視線を向けた。
「これ? 」
 おれがコクコクと何度も頷くと、
「口でいい? 」
と言いやがった。
 ……くっそお、そう来たかよ。確かにおれはそれもいつも『嫌だ』って逃げる。だって、やなもんはやだ。自分がするのは別に嫌じゃねえけど、されるのは嫌だ。特にあいつには。だって……その……あいつにそんな事されたら……考えただけでどうにかなりそうなのに。
「嫌だって……手で……」
「手は忙しいんだよ。口しか空いてねえ。どうする? 」
 そう言って両方の指先に力を込めた。痛みと快感が全身を走り、今まで入っていなかったどっかのスイッチがまた入ったらしくおれは
「いやあああああっ」
と大声で叫んじまった。あいつが、くっと笑って
「良かったな、近所に家がなくて」
と言った。正直おれもそう思ったけど。
「どうする? このまま、達くまでここだけ可愛がられてるか、それともこっちも口で可愛がってもらってさっさと終わらせるか」
 というか、とてもそれで終わるようには思えないし、……おれもそれだけだとまだ物足りない。でもその先の事なんて考えられない。今はとにかくこの体の中で暴れまわる熱をどうにかして欲しい。
「……口で……いい……」
 半泣きになりながらおれがそう言うと、あいつは勝ち誇ったように
「最初っから素直にそう言えばいいのに」
と言って、『そこ』に音を立ててキスをした。
 おまけに固く目を閉じるおれに
「ちゃんと見てろよ」
と強制する。
「……や……やだ……」
「見てないとしてやらない」
「……ミネ……サド……」
「なんとでも言え」
 薄く開いた視界の中で、おれの体の一部ががあいつの口の中に吸い込まれていくのをほとんど泣きそうになりながら見た。生暖かい口内に包まれて、すぐにでも弾けそうなその部分にあいつの舌が絡まる。ぴちゃといういやらしい音に耳を塞ぎたくなりながらも、おれはその感触に陶酔していった。
 ……っていうか、あのやろう、なんで上手いんだよ。どこで練習してきたんだ。おかしいって。誰の咥えたんだ一体。でもそんな事で責めると、誰と比べているんだとおれの方が問い詰められそうで言い出せない。口惜しいったらありゃしねえ。
暖炉の火に照らされて赤く浮かんでいるあいつの顔を見ながら、頭にそんな事が浮かんだけど、おれのぎりぎりまで追い詰められていた体はそれどころじゃなく、すぐにも開放されたがった。
「……あ……あああっ……んんっ。ちょ……待ってストップ、止めろ、出るからっ! 」
「いいよ」
 おれの足の間で揺れているあいつの頭の方から答が聞こえた……けど……いいよってなんだよよくねえよ。やだ……もうやだってば。やだ……やだ、マジで限界。この、鬼畜やろうっ!
「よくねえっ……あっ。あっ……んあああぁ」
 おれは目を閉じるのも忘れ、あいつの喉がこくんと上下するのを、信じられない気持ちで見ていた。 信じられねえ、飲むかよ初めてで。やっぱ、どっかで経験が……ってちょっと待て、なんで離さねえ。
「ミネっ、もう離せってば」
 あいつは、さっき忙しいといった両手をいつのまにかおれの腰にがっちりと回して、押さえ込みながら一回口を離し、言った。
「いやだね、ちゃんともっと味あわねえと。おまえ今度いつやらせてくれるかわかんねーじゃん」
 うわあああ。何言ってるんだ、こいつ。理性の部分で赤面するが、再度あいつの口に含まれておれの体は早速またも反応し出す。情けない。
「ミネぇ、もう……それやだって……」
「え? あ、こっちも触って欲しいんだ」
 あいつは勝手に解釈しておれの腰を高く上げさせ、後腔に指を忍ばせた。おれの可愛らしい恥じらいとは別に、その部分はすんなりとあいつの指を受け入れた。
「あ……ふ……う……ん。い……言ってねえ……って」
 もう何が何だかわからない。
「嘘吐け。自分で呑み込んでってるくせに」
 またそういう事言いやがる。すっげえ意地が悪い。
 下半身の2箇所に同時に与えられた刺激はあまりに強すぎて、手首を縛った紐が食い込むのさえ快感に感じられるみたいだった。そりゃこんな事をされること自体は経験がないわけじゃない。……ほかのヤツに。でもあいつにされるのは全然違う。例えれば蚊に刺されるのとスズメ蜂に刺されるのくらいの差だ。ほとんど気が遠くなりそうになりながら
「やだ……やだ……やだ……」
とうわ言のように繰り返すと、あいつは今度は
「あ、こっちの方がいいんだ? 」
と手と舌の位置を代えやがった。馬鹿やろーっ! ちがうっつうのー。
 あっけなく2回目の頂点を迎え、ぐったりしたおれにあいつは追い討ちをかけるように聞いてきた。
「後ろからしてみていいか? 」
「いつもワガママばかり言っている『おれ』が、いつもは優しい『あいつ』に責めまくられるお話です。」
...2006/11/3(金) [No.335]
葵 兎巳
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