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 (娼館 高利金融業社長×娼夫 やくざ /18禁)
牡丹の咲く頃



 よく〝やくざ〟〝やくざ〟と言われるけれども、何をしている人なんだろうと言う疑問が沸いている。
 国語辞典で〝やくざ〟と検索すると、役に立たないこと、まともでないこと。つまらないこと。また、そのさま。そのようなものをもいう。博打うち、ならずもの、無頼漢。と当該の者がなんなのか逆に疑問を感じさせる答が書かれている。
 では、〝やくざ〟=〝暴力団〟かと思いと検索すると、意味は暴力あるいは暴力的脅迫によって自己の私的な目的を達しようとする反社会的集団と書かれてある。
 また、警察白書に書かれている〝暴力団〟とは、薬物の密輸・密売、ヤミ金融や違法風俗からみかじめ料の徴収によって利益を得る。最近では恐喝、窃盗なども含まれている。それ以外にも組織の実際をいんぺいし、正当な事業活動や政治活動、社会活動等を仮装しながら資金の獲得を図る状況もみられると書かれてある。
 テレビのドラマ制作のいろはの中に、〝やくざ〟と言う職業カテゴリー無い。当該のものは、総会屋、悪徳金融業、若しくは何とか興業と言う企業と表示をしなくてはいけないらしい。
 またドラマの制作過程の基本としてもう一つ言われているのは、犯罪者は必ずさばかれ、責任をとらなくてはいけないと言うことだった。
 一九九一年に暴力団対策法が施行され、現在は様々な規制を行う様になってきた。
 しかし、様々な形で〝やくざ〟と言うものは、存在を消すことはない。
 また、売春防止法と言う法律では、春を売って違法になるのは女性で、男性が躯を売っていたとしても、基本的には違法行為としては認められなかった。
 もちろん、未成年に対しての適応する法律は、別にあったけれど…。

  * * *

「あっ、あっ、いい。藤堂様、そこ…、そこ…がいい…」
 熱い息を吐き翻弄されながら、みさをは感じるままに自ら腰を揺らしている。
 貪るように藤堂は熱い息を吐きながら、みさをに熱いくさびを打ち込んだ。
「みさを…、みさを…」
 藤堂にみさをは羞恥の心などもたず、たた素直に藤堂から受ける快感を貪っていた。
 みさをは藤堂に真っ赤な布団の上で組み敷かれながら。
 藤堂は繋がっている部分を外さないように、躯を反転させる。
 みさをのまだ成長しきらない背中には、赤い墨で華やかな牡丹の花が描かれていた。
 腰を強く打ち付けたまま、藤堂はみさをの背を愛おしむように何度も唇を落とす。
「いや…、あぁ…、藤堂様…、いっちゃう…。あぁ…ん…」
「まだだめだ。みさをもっと感じるんだ…」
 藤堂はみさをの胸に手を回した。そして尖って大きくなった粒に、爪を立てたり、こねったりともっともっとみさをの体温が上がるように快感を引き出していく。

 ここは都心の真ん中なのにも関わらず、外界からいっさい遮断された場所。
 古く大きな日本家屋にはいくつも別れた部屋がある。かなりのブルジョワジーの接待に使うくらいにきちんと建築されていた。
 部屋だけではない、部屋から見える日本庭園も緑を愛でるために最高の手入れをされている。
 入り口には大きな門。家屋を囲んでいるどこかの収容所を思わせる壁を潜ると、映画に出てくるような、吉原の料亭を思わせる、そんな場所だった。
 昼間はここで働く何人もの少年達がこの店の掃除や洗濯をしている。そして夜になって部屋にあかりが灯る頃、店に出ている少年達を目当てに客が来る。
 少年達の年齢はだいたい五歳~十五、十六歳くらいまで。
 少年から青年に躯が変化すると商品価値が下がり、店にいられなくなる。
 ここで働く少年達はほとんど親が暴力団関係者に金を借り、高額の利子を含めて金額を返せなくなりその形で連れてこられた子供ばかりだった。
 江戸時代で言うなら陰間茶屋。
 陰間茶屋で稼ぐ男たちもそうだったけれど、躯を提供できるのはだいたい男の躯になるまえの時期だけ。
 それ以上年を取ると価値が無くなり、お互いの肉棒をこすりあわせて興奮する程度の相手だと言われている。
 男娼達の価値は、女性よりも低年齢で売れる時期も短いと言われていた。
 この店も江戸から伝わる陰間茶屋と似ている。
 男色とは別で、まだ男性の躯に成長する前のささやかな少年期を愛して買いに来る男達。
 人間でも短い時期を楽しもうと思う男達は、ある程度の金を持っている。
 みさをの相手の藤堂は、直接暴力団には所属していなかった。それでも業務上は暴力団との関わりが間接的にあるヤミ高利貸しの社長だった。
 店に来たのは誰かの接待で連れてきてもらった。
 その時は、少年を皿替わりに食べ物を置き、舐めたり擦ったりして少年が身悶えるのをいい年をした男達が楽しんでいたのに眉を寄せていた覚えがあると言っていた。
 しかしそんな藤堂がこの店に入れ込んだ理由は、みさをだった。
 みさをもこの店の子供達と同じように、借金の形で連れてこられた。初めて店で客を取ったのが、七歳の時だった。
 元々は両親とみさをの三人で幸せに暮らしていて、父はサラリーマン。母は近所のスーパーでパートをしていた。家は父方の祖父が残した一軒家。苦労もない、そんな絵に描いたような普通の家だった。
 何も知らないまま小学校から帰ってきたみさをを迎えたのは、目を合わせる勇気を失わさせられる数人の男達だった。
 いきなり男達に黒塗りの車に乗せられ、そのままこの料亭に連れてこられた。
 脅え泣きじゃくり、最後には逃げだそうとしたみさをに組の連中は周りの少年への制裁として、まだ成長していない背中に墨を入れさせた。
 レーザー治療が発達した現代では、比較的苦痛を感じなくなった刺青ではあった。しかしスケープゴードとして、墨を入れさせられたみさをには気が狂わんばかりの痛みの伴う彫り形を強要した。
 そして背中の彫り物への傷みが言えないまま、後蕾に玩具を入れられた。
 まだ精と言うことをしらなかった少年の後蕾を開発し、痛みが消えると同時に水揚げをさせられた。
 さすがに背中に墨を入れられ、客を取らされたて初めて、みさをは自分が立たされた位置をはっきりと自覚した。
 両親がどうなったかも、自分が家の回りの人間からはどんな風になっているかも何も聞かされていない。
 ただ扱いを見ていると戸籍などとはまったく関係なく、義務教育も受けさせて貰えない。そんな子供達ばかりだった。
 そして、ここで成長していく子供達を見ていると将来すら見えなくなる。
 運がいい者は、ここで世話になった客から引きが来てもらわれていく。もちろんその先でどんな扱いをされているかは、幸せに暮らしている者、もっと安い扱いで躯を売っている者と様々な噂がたっていた。
 けれど誰も引きが無かった場合はもっと最悪な結果になるらしかった。
 だいたいはそのまま暴力団に入って仕事をしているが、それ以外にも海外に売られ売春を続けていくもの。
 以前は臓器として売られていると言うこともあったけれど、細胞のクローンや公的に認められた臓器売買などが発達し、今では少年達を臓器にことはしなくなっていた。

「藤堂様…、お願いです、いかせて、いかせて下さい…」
 みさをは過ぎる快感に涙を流しながら、藤堂に懇願する。
 藤堂はみさをの背中に、何度も何度も唇を落とした。
「いや…、だめです…」
 みさをが耐えられずに藤堂の屹立を自分のいい場所へ打ち付ける様に、腰を何度も振る。
 初めて男に抱かれてから、八年…。
 大きい男のペニスをまだ小さかった後蕾に受けるのは、とても大変だった。
 慣れていない方がいいと最初の頃言ってくれていた客もいた。それでも早く客に楽しんでもらうようにと、みさをを連れてきた暴力団組員は、みさをに変なクスリを飲ませたりしながら、毎日かならず男根の形をした玩具を後蕾に埋めさせられた。
 後ろで快感を感じる苦痛。
 初めて男に抱かれながら射精したときは、みさをは狂ってしまったのではないかと思われた。
 しかし今も生きている。
 もうすぐ十五になろうとしているみさをは、この先どんな人生が待っているのか判らない。
 けれど一度地獄に堕ちてた経験をすると、この先何が起こっても怖いものなんて何もなかった。


「みさを…、みさを…。感じているんだね…。もっと俺を感じているんだね…」
 藤堂は、もう一度みさをの背に唇を落とした。
「だめ…。もういかせてください…」
 快感に耐えられず涙を流しながら、振り向き懇願するみさを。
「あん…、あん…。いや…。だめ…」
 必死に逃れようみさをは腰を引こうとする。けれど藤堂は、腰をしっかりと抑え、どんどんみさをの奥に自身を沈ませていく。
「暖かくて…、最高の締め付けだ…。みさを気持ちいいよ…」
 藤堂の口から出る言葉の中に熱が混ざり、うつろな表情をしながら、みさをの背に唇を落とした。
「みさを…、みさを…、君の快感の印が現れたよ…。感じてくれれているんだね、みさを…」
 藤堂はみさをの背に唇を寄せた。
 今まで紅い墨で牡丹しか描かれていなかった上気したみさをの背に、白く浮き上がるように龍が躯を巻いている観音像の絵が浮いてくる。
 白粉彫り。
 普通に墨を入れるだけでも苦痛を伴うけれど、白粉彫りは白い粉を入れる。掘るだけでも最悪の痛みを伴う。普段は表に出ないけれども、躯が上気すると浮き出ると言う彫り形。
 しかし普段は判らないため、実際にあるのかどうかも定かではないと言われている。
 藤堂は背に何度も口付けをしながら、みさをの感じる奥の奥に分身を目指していった。
「みさを…、みさを…」
 何度も愛おしい者を求めるためのうわごとの様に、その名を呼び続けた。
「藤堂様…、藤堂様…」
 みさをも気が狂いそうな快感を貪りながら、自分の上にのし掛かっている男の名を呼び続けながら頂点へ達していた。
 藤堂もみさをのいった時のきつい締め付けに満足するように、まだ小さな内壁に精を叩き付けた。

「みさを…、良かったら俺の会社を手伝わないか…」
「藤堂様?」
 最高の高みを二人で目指した後、みさをに腕枕をしながら真っ赤な布団の上で寝ころび藤堂は呟いた。
 藤堂自身もみさをが置かれた立場を知らない訳ではない。
 今年十五になったみさをの将来への不安や、自分の意志では何も出来ない状態も。
「でも…、それには莫大な金額がかなります…」
「いやか?」
 みさをは驚くように藤堂の顔を見た。
 長く伸ばされた髪が、汗で額にこびり付いている。
「いいえ…、けれど…」
「金の事なら心配しなくてもいい…。俺だってこれでも消費者金融の会社をやっている社長だ。お前一人買うくらいの金はある。それに」
「それになんですか?」
「いや…。ここだけの話だがやくざに借りを作るのは好きじゃないが、俺はお前を苦労させない自身があるんだ…」
 みさをはまだ少年じみた大きめを更に大きく開いた。
「なら、尚更いけません…」
「なんでだ?」
「私の躯は、藤堂様の予想以上に汚れています。毎晩、毎晩客を取り、藤堂様はお優しくして下さいました。けれどお客様によっては、縄で縛られたり、不思議なクスリを飲まされたり。それこそ気が狂わんばかりの思いを山ほどさせられています」
「それが? そのくらいこの世界を知っている者だったら、ある程度予測が付く。実際ここの少年達は高給取りだからまだいいほうだと思うがね。それこそやくざの借金の形で連れてこられた女達はもっと恐ろしい目にあっている子もいる…」
「藤堂様…」
 藤堂はみさをの髪に手を伸ばし、優しく撫でるように梳いた。
「みさを…。君が嫌じゃなければ俺の所に来てくれ。確かに俺もヤミ金融なんて中の仕事をしているから、まっとうな仕事じゃない。けどな、お前だけは大切にしてやる。もう躯を売らなくてもいいようにするし、勉強もさせてやる…」
「藤堂様…」
「言っていたね、ここじゃ学校にも通わせて貰えないから勉強がしたいって…」
「みさを…」
 みさをの顎に手を当てて藤堂は唇を求めた。静かに目を閉じるみさを。
 自然に重なる唇と唇。
 流れに任せるように口が開かれ、互いの舌が絡まっていく。混じり合う唾液と唾液。
 藤堂の口蓋はとても暖かかった。
 一本の細い糸を残して、唇が離れていく。
「いいね、みさを」
 みさをは静かに頷いた。
「娼館シリーズの第一作目です。」
...2006/4/20(木) [No.298]
おとの
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