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 (ごつめゲイ襲い受/わんこ年下攻/縛/酒/18禁)
THE EVENT


event :
1 出来事;行事;催事,イベント;重要な事件,大事件
2 《the ~》成り行き,結果,結末;もしもの場合
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いくつの頃だっけ。確か中学卒業する少し前だ。

ずっとつるんでた男友達と高校にあがるときに別れなきゃなんないって思って、卒業までの毎日そいつを思い出すたび泣けてきた自分に違和感を感じた。
卒業を迎えるまで、泣いて毎日を過ごすなんて「友達」としてフツーなのか?って。


勿論「フツー」じゃない。

高校に上がった俺は、同じサッカー部の先輩に初めてキスされた。

キスした後言った先輩の言葉。


「何?お前もそうじゃなかったの?」

そう言われて、涙が出た。

違うと思いたかったけど、やっぱりそうなのか。

そう思って涙が出た。


その先輩とは先輩が卒業するまでの一年間、ずっと付き合ってた。で、その後何人かと中途半端な関係を繰り返して、26になった今。

もう誰とも真剣につきあう気がなくなった。


煙草に火をつけ、ガードレールに座る。

「さぶ~」

携帯で呼び出されて、ほぼ「やる」だけのために相手の家に通ってた。デートなんてものした覚えが無い。ただセックスするだけ。セックスが終われば「お前もう帰れば?」

それに対して不平を言えば相手の返事は決まって同じ。「男同士の恋愛なんて、イコールセックス。女みたいなこと言うなよ。」

その言葉は俺とそいつとの「別れ」を決まってダメ押しする。



「・・・・」
まあ、いいんだけど。俺だって、そんなにそいつのことを好きだったのかと言われれば「?」なわけだし。二十まんなかのいい年した男が何を甘いことを。とも思わないでもないし。



「倉田さーん。何一人でたそがれてるんですかぁ~次カラオケですって~。」
会社の中で、一番可愛い秋山ちゃん。でも、男に抱かれる方がイイ俺としては眼中になかったけど。

でもまあ。この子と惰性でつきあうのもそれはそれでいいかもしれない。
タタナイわけじゃないんだし。

俺の腕をひっぱり、すかさず胸を押し付けてくる女という生き物の大胆さに思わず声を立てて笑った。

「秋山ちゃんはかわいいね。」
煙草を携帯灰皿におしつけて、自分のとびきりの笑顔でそう声をかける。
俺より大分と背の低い秋山ちゃんは、俺から見れば意識せずとも上目遣いになる。顔を少し赤くして笑いかえす秋山ちゃんの細い肩を抱いて歩き出した。

その先には会社の同僚。みんなあらかたできあがっていて、「カラオケ、カラオケ」とそろって大声を上げている。

「おい!倉田!秋山ちゃんに手だしてんじゃねえぞ!」

「ばれちゃってたみたい。」
秋山ちゃんは俺の言葉を聞いて、また嬉しそうに笑った。
俺も機嫌を良くして、苦手だけどカラオケもいいかなと一人つぶやく。秋山ちゃんはいつのまにか人だかりの方にひっぱられていった。



「女に宗旨変えか?」
その声を聞いた途端、ふわふわといい具合だった俺の酔いは一気にひいた。

「・・・・」
意識して、きつい目線で声の方を見る。やっぱりこいつか。

「関係ないだろ。俺が女に手出そうが。」

「お前、女今更抱けるのかよ。そんな成りしてネコなんだもんなあ。」

会社の奴に手なんか出すんじゃなかった。

目の前の男(名前なんか口に出したくも無い)は、俺以外にも男女構わず手を出していた。それに気づいた俺は、勿論こいつをさっさと切り捨てたわけだけど。

「なあ。またやらせろよ。お前、今までの男で一番相性良かったんだよなあ。」
小声で俺に話し掛けてくる男に鳥肌。

「・・・・言ったよな。俺に今後一切仕事の話以外で話し掛けるなって。また顔殴ってやろうか。」
「おま・・・」
「俺がホモだって言いふらすなら、どうぞ。俺は実家にひっこんで親父の会社手伝ってもいい。けど、言いふらしたら、俺もお前が相手だって言いふらす。いいのか。お前、この会社だってコネで入ったんだろ?行く当てでも?」

俺が言って笑えば、瞬間、男が俺の顔を殴った。


そう来るとは思わなかった。
見れば男の顔は、酒のせいでなく真っ赤だった。

「どうしたんだよ!お前ら!」
俺が殴られたのを見ていたのか、先を歩いていた何人かが振り返った。

「山下さん、酔っ払ってふらふらしてたんで、手貸そうとしたら・・・・ひで~山下さん、酒乱ですか?」
男は信じられないといった体で俺を見る。
「早く、行けよ。俺は帰るって言っておけよ。」

有無を言わさず、男に同僚たちの元に行くように促す。男は、俺を一度振り返った後、わざとらしいような明るい声で「カラオケいくぞ~!!」と同僚の背中を叩いた。


その後姿を見て、自己嫌悪。なんだってああいうのと俺はつきあってたんだろうか。
最悪。



そのまま、駅まで一人歩く。
俺の気持ちとは全く逆の明るいネオン。喧騒。



どうしよう。
新宿までいって適当な相手に抱いてもらおうか。

「・・・・」
また、さっきみたいなのを増やすだけだ。





ふと顔を上げれば、雰囲気の小綺麗な居酒屋が目に入った。
近頃、チェーン店ばっかのこの界隈じゃ珍しい。


今夜は呑もうかな。
明日休みだし。酒呑んでさっぱり忘れたい。




中に入れば、結構広い。客も結構入ってる。

いい雰囲気。今度の新年会ここでもいいな。

「何名様ですか?」
「あ~一人です。」
言えば、割烹着を着たその女の子は少し笑って「カウンターでもよろしいですか?」と向こうを指差す。

バーカウンターのようになっているらしい。俺は頷いて案内された席に座った。
「ご注文は?」
「あ~えっと。ソルティドッグと・・・・」
一人で呑むのはあんまり好きじゃない。だけど、好きでもない男と面倒になるよりマシだ。
半ば言い聞かせるようにして、出されたオシボリで手を拭く。
「生ハムとたまねぎのサラダ」

「かしこまりました。」

その声に顔上げて、ぎょっとした。

「ソルティードッグと、生ハムとたまねぎのサラダですね。」

やばい。
やや痩せ気味で、犬みたいな甘ったれな感じの顔。

白いシャツに紺色のエプロンを腰に巻いたその男はまさに俺の好みで。


「・・・。」
やばい。なんだってああいう男好きの集まる場には滅多にいないくせに、こういう気を張ってない場で好みの男がいるんだ。

余計、がっかりするじゃんか。


「ソルティードッグです。」

「どーも。」

くそー。今日は呑んで呑んで呑みまくってやる。





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「康成さ・・・!康成さん!」

「・・・ん・・・んん・・・!」

ん・・・・?

「あ・・・あれ?」

どこだ。ここ。

「康成さん?」

「・・・・・え・・・あれ・・・」

見下ろせば、あの男前のバーテンが不思議そうに俺を見上げていた。


「康成さん、・・・・こ、これ外してください・・・俺、嫌がってないでしょ。」
バーテンはそう言って、両手を前に出す。
目の前のソレを見た瞬間、頭をハンマーで殴られたみたく、グァンと揺らいだ。

バーテンの両手は、白いコードでぐるぐる巻きにされている。

俺の体中から、汗がどっと噴出して頭の中はパニック。

見れば俺は、真っ裸。しかも・・・・完全に、男に乗っかって、その上男のを・・・間違いなく突っ込んでいた。つまりは騎乗位。


「お、俺・・・・」

最悪だ。何してんだ俺。

これ、俺がレイプしてんだよな。

最悪。こんなにまで呑んだのか?

思い出そうにも、頭の中は、五杯くらい飲んだあたりしか記憶が無い。

腕時計を見れば、AM 2:23

「康成さん?これ・・・」

目の前が涙で滲む。自分で自分を殺したい。

何やってんだ。俺。俺がしたいのはこんなんじゃねえだろ。


「・・・・」
男の手首をとって、恐らく俺が巻きつけたコードを解いていく。

部屋を見渡せば、たぶん男の部屋。


「わ~、跡ついてるじゃないですか。」
「ご、ごめん・・・・なさい。」

赤くなった、男のほそっこい手首を見て、さらに落ち込む。

「・・・・まーいーですけど。いったん抜いてもいい?」

「・・・え・・・」

瞬間、男が俺の腰を掴んで自分のを一気に引き抜いた。
「あ!!」
予想外のことに、俺の背筋に痺れが走る。視界が反転して、男が俺にのしかかった。


なんだこれ。こいつ。
見上げれば、男がギラギラした目で俺を見下ろしていた。

「俺、男とやんのはじめてなんだけど、いいのかな。女と同じようにしても。」
「・・・な、」
 
俺の言葉を聞く余裕も無いのか、男の手が俺の足首を乱暴にひっぱり、足を腹につくくらいまで押し曲げられた。

「うわ、体やわらかいんだ。」
「ちょ、ちょ。」

ぐっと男のソレが押し当てられる。
思わず、男に手を伸ばした途端、噛み付くようにキスをされた。
熱くてぬるぬるした舌で口の中がいっぱい。こんなキス。

ズズっとさっき出たのとは反対に、男のがゆっくり入ってくる。
「は・・・・キモチいい。康成さん。」
わざとなのか、ゆっくり過ぎるその所作に息が苦しい。ダメだと思っても、無意識に腰を振って、自分の中に促していた。
「ん・・・・あ・・・・」
「どこだったっけ。さっき教えてもらったとこ。」

「ん・・・・あ!!」
ぐりぐりと「ソコ」に先端が擦りつけられて、たまらず男の肩に顔を摺り寄せる。
「わ、当たった。」
満足そうに笑う。やばい。ただでさえ顔も好みなのに。

「はっ・・・・はっ・・・男ってこんななんだ。スゲー。」
「あ・・・・も、出そう・・・」
「イって。」
男の手が俺のを掴んで擦り上げた。

「あ!ああ!!」
瞬間、頭の中がバチバチを音を立てたみたいに痺れて。


「ふ・・・」


自分の腹や、男の体に飛び散ったソレを見てたまらず、涙が出る。

「はー。はー。」


一方通行の恋愛なんて嫌なのに、なんで自分からこんなこと。

俺の思ってることなんか全く気づきもしないのだろう。男は、俺の腰を自分のほうにまた引き寄せ、
「・・・・う~なんか、もういいや。」
俺の顔をしばらくじっと見たあとそう呟いた。
「あ!」

抜くと思っていた男のが中で再び大きくなる。
ぎゅうと広げられる感触に手足が痙攣したように震えた。

「ま、待って」

「冗談。俺まだイってないのに。」
瞬間、また快感が俺の頭をかきまわす。たまらず、腰を揺らし、男の背中にしがみついた。
「や、あ!あ!」

涙が目から、ぼろぼろと零れる。ベッドがギシギシと音を立てて目の前の視界が揺れた。


男のが的を得たように俺の奥を擦る。

「康成さんも、・・・・勃ってんじゃん。キモチーの?」
何度も頷く。だってキモチいい。こんなの。

「俺も、超いい!」
黒目の多いキラキラした目をぎゅっとさせて、鼻筋に犬みたいに皺を寄せたその顔を見て、俺は認めざるを得なくなった。

この男のことを好きになったこと。





「はぁはぁ。」
男が俺の上にのっかったまま、息を吐く。
俺はというと、その重さに抗う体力さえ残ってなくて、ただじっとしていた。

「ごめん。やりすぎた。大丈夫?女の子の時はこんなんじゃないんだけど。」

「・・・・男だから、別に遠慮する必要もないって?」

途端、男がガバっと顔を上げる。

「ちげーよ!キモチよすぎたってこと!」
言って、ちゅっと俺の鼻にキスをする。ありえない期待が胸を一瞬よぎったけど、頭を振って、息を吐いてソレを追い出す。
「・・・・・俺、こそごめん。無理やり・・だよな?」

「そうそう」と言いながら男が俺の上から俺の横に移動して寝っ転がる。
「康成さん、べろべろに酔っぱらっちゃってさ。まあ、俺が「おいしい、おいしい」って言ってくれる康成さんに調子乗っていろんなの薦めたわけだけど。で、責任は俺だろって、店長命令で俺んちに連れて来たんだけど、部屋に上がった途端、俺のこと押し倒すんだもん。」

「最悪。・・・ほんとごめん。謝ってどうなるわけじゃないけど、ちょっと嫌なことがあって・・・」
「いいよ。別に俺がつっこまれたんじゃないし。康成さん、俺よりごついのに、やる時きもいと思わなかったし。」

「あー。」
やっとわかった。たぶん、こいつは、珍しいセックスをした程度にしか思ってないんだろう。
それに気づいて。


胸がずんと重くなった。


さっさと帰ろう。

「タクシー呼んで貰っていい?俺ここどこかわかんないし。」
「え、帰るの?もう遅いし、泊まってっていいよ。」

「いい。帰る。」

「・・・・・そっか。じゃあ電話してくる。」

男が部屋を出て行った途端、涙がぶわっと溢れた。

「う・・・・う~」
自分の着ていた服を口元に押し付けて、声を殺す。

普通に好きな人が出来て、両思いになって、セックスじゃなく、もっと違うところでくっつきたいのに。いつも、うまくいかない。

「う・・・最悪だ。」

涙が、止まんない。まだ酔っているんだろうか。涙腺のしめかたがわかんない。


「・・・・なんで泣いてんの。」

振り返れば、男がコードレスの電話を片手に、俺の後ろに立っていた。


「俺が、康成さんが「もうやめろ」っていったのにやめなかったから?」
声を出したら、情けないものしか出そうになくて、無言で首を振る。

「痛い?」
「違う」とまた首を振る。

「・・・・もしかして、俺のこと好きになった・・・・とか?」
首を振らなきゃ、そう思ったけど俺の全身はその言葉に固まったように動かなくなった。


「俺さ、女の子しか興味ないんだけど。」

「もう、言わなくていい。タクシー外で待つから。」
俺がズボンをはくため立ち上がろうとしたら、男が俺の肩を押さえて、「そのまま」と言った。

「覚えてないの?」
「え?」

「康成さん、俺のこと押し倒して、俺の手にコード巻きながら、「俺のこと好きになって」って何回も大声で言うんだもん。あれ、いつも使ってる手だったりして。」

「・・・・」


「好きになったかもしんないよ。じゃなきゃ、男なんか一回で十分でしょ。フツー。」

そう言って、男は俺の唇を軽く噛みながら、俺の手を握った。


「帰らないでよ。俺セックスした後、いちゃいちゃしたい派だし。」

「セックスフレンド?」
「康成さんはそれがいいの?俺そういうの嫌いだけど、ちゃんとつきあうのはうざいとか?」

「ちゃんと、付き合いたい・・」
俺の言葉を聞いて「じゃあ、康成さん俺を本気にさせなきゃ。」と笑った。




「あと、三回「俺のこと好きになって」って言って。そしたら俺もきっと好きになるよ。」




三回目の「好きになって」の後にもう一回ヤッて、腹をくくって、男の名前を聞いたかどうかを言ってみたら、男改め、高坂心は「ひで~やっぱ覚えてなかった」と笑った。

聞いてみればハタチになったばっかの大学生。「今度は忘れないでよ」そう言いながら笑うシンの顔は、やっぱやばいくらいにかわいい。
「ドッグシリーズとして読みきりをたまに更新中です」
...2006/2/14(火) [No.278]
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