何時からか僕は自分の体がお金になることをしった。
眠らない街と言われる
ここが僕の仕事場。
「ねえ、僕を買わない」
今日適当に声をかけた男はまだ30代前後
失敗だ・・・若い人との行為は嫌いじゃないけど、安いんだよな
僕は高級男娼だから一晩で最低でも30万は稼ぐ僕は安い金では売らない。
一度自分を安売りすると次が大変なことになる。
絶対に安売りしない。
「ふーん。男娼か?いくらだ?」
僕の顔をジロジロと遠慮なく見てくる男は整った顔をしている
「いくらだと思う?」
「はっ、面白い事言うな客に自分の値を聞くか……なかなかイイ手を使うな」
感心したように言って来る男の様子だと結構慣れているようだ。
まあ、これだけ整った顔をしているんだから周りが放っておかないだろう
「5払おう」
「5?50000」
「まさか、桁がちがうよ。5億だ」
その桁を聞いた僕は目を丸くするばかりだ
今までどんなに払いのいい客でも一千万が最高だったのに
「あんた頭オカシイの?」
「まさか、正常だよ」
この男は何者なんだ?
まあどうせ、一夜限りの相手だし何でも良いか。
「契約成立でいいかな」
「うん」
僕は見ず知らずの男とホテルに向かった
男に案内されたのはホテルの最上階
「初めてだこんな大きなホテル」
「へぇーいつもどこで?」
「ラブホ」
「ふーん」
男は興味ないと言うかのように適当に言い放った。
「5億くれるんだよな」
「ああ」
そっけない返事。
こんないい男なら金くれなくてもいいけどね。
素直にそう思えるほど男はカッコイイ。
僕は筋金入りのゲイらしい。
幼いころから、男にしか興味が無かったから。
「ところでお前の名前は?」
「・・・・はる・・・いや・・弘樹」
「弘樹か・・・俺は春彦」
ハルヒコ・・・さんか。
僕は男娼:はるか と名乗ろうとしたが本名を名乗った。
何となくこの人には本名を知ってもらいたかった
「弘樹・・・・」
春彦さんは僕を優しく抱きしめた。
ふんわり香る甘い香水の香り。
魅惑の香りに俺は酔わされながら春彦さんに抱かれた。
彼の抱き方はとても丁寧で何度イかされたかなんて分からないくらいだ。
「好きだよ、弘樹」
彼が僕を抱きながらそう囁く言葉が本心からの言葉であればいいのに
そんなことを思いながら僕は彼に抱かれた。
まるで彼の毒を僕の中にゆっくり染み込ませていくように
まるで麻薬
一度味を覚えたらも抜け出せない。
朝が来たと同時に僕は暖かいベットを出た。
まだお金を貰ってないけど・・・
彼が起きるまでここにいたらきっと僕は彼にはまってしまう。
きっと抜け出せなる。
春彦さんに抱かれて以来僕はSEXに満足できなくなった。
どんなに激しい行為でも
この渇きを潤すことは出来ない。
どんなテクニシャンの男に抱かれても女を抱いても満足できない。
彼じゃないとダメだ。
「最悪・・・・」
別に働かなくても当分は生活に支障は無い。
むしろ質素な生活なら十分生きていける。
生きていくために体を売っていたはずなのに・・・・
春彦さんに抱かれてから、この僕が貪り食うように快感を求めている。
彼の指、彼の唇、彼の声、彼の髪の匂い、すべてが僕を刺激する。
彼以外、僕を満足させることなんて出来ない。
この餓えた体如何したらいいのだろう・・・・
もう、潤されることは無いのだろうか。
もう会うことの無い彼を思い虚しくはかない行為を続けていくのだろうか。
そんな事するぐらいなら死んだほうがましだ。
貴方にもう一度抱かれたい。
その声で僕の名前を呼んで?
嘘でもいいから『愛してると』耳元で囁いて。
まるで貴方は麻薬。
一度してしまえばもう離れられない。
この体を甘く疼く。
「春彦さん・・・・貴方に会いたい」
僕は、彼に初めて会った場所に向かった。
もしかしたら神様がこの哀れな僕に同情して彼に会わせてくれるかもしれない。
そんな些細な気持ちを胸に僕は彼とあった同じ格好をしてガードレールに 腰を下ろした。
もし奇跡が起こるなら、もう一度彼に合わせてください。
「ねえ、君俺に飼われないか?」
ココに居ればいやでも声がかかる。
僕が会いたいのは春彦さんだけだ。
それ以外誰も要らない、だから最後の我侭だから彼に合わせてよ
「弘樹・・・さがしたよ。何故逃げたんだい?お前は俺のものだろ」
「え?!」
今彼の声が・・・・幻聴?
「もう、忘れたのか?飼い主の顔を」
「春彦さん?」
顔を上げたそこには俺がずっと会いたかった彼が居た。
ああ、もう幻覚でもいい。
「あいたかったです・・・・」
幻覚でも抱きしめることが出来るんだ・・・それに暖かい。
「何で俺の元から逃げたんだ?プチ家出か?まったく・・・」
「家出?」
「だってお前は俺に5億で飼われたんだぜ?」
「うん、ごめんなさい」
「いいよ、お前が戻ってきてくれたなら、お帰り俺の弘樹」
「ただいま、もう離れてあげない」
「ああ」
力強く抱きしめてくれてくれる逞しい腕
ああ、すべてが潤される。
僕が求めていたのはこの快楽だ。
彼が居るだけですべて満たされる・・・・
「春彦さんはまるで麻薬だ。一度貴方にあったらもう離れられない」
「今後、俺から離れるようなことがあったら鎖でつないでやるからな」
言葉とは裏腹に優しいキスを何度も降り注いでくる彼の不器用な優しさ。
「好きです、春彦さん」
「あたりまえだろ」
彼の自信ありげな声に僕はすべてを任す覚悟を固めた
おわり
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