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 (年下攻め 無理矢理 18禁/18禁)
かくも避け難い熱を


 放課後掃除をしていると、同じクラスの高橋が飲み会の誘いをしてきた。
 今日は金曜日で、明日は学校休み。
 女も来るって話しだし、なじみの仲間ばっかりのメンツ。
 場所は都内のマンション。708号室。
 その部屋は誰の部屋だって聞くと、高橋は。
『俺の友達。そいつも混ざるけど、いいだろ?』
 所詮俺たちは高校生だし。
 飲み屋に行っても最近は厳しくって飲ませてくれないもんだから。
 部屋提供者は大歓迎だ。
 勿論快く了承して、7時に行くと約束して別れた。
 ああ、あの時なんで高橋が俺と目を合わせなかったのか。
 深く問い詰めればよかったのに。
 俺は酒と女ってキーワードに浮かれて、自ら罠にかかってしまっていた。


「ここ、か」
 家に置いてあったビールやらツマミを持って言われた部屋の前に立ったのは7時少し過ぎ。もう高橋たちは来ているだろうか。
 久々の乱交パーティー。
 今日は思う存分楽しむぜって、チャイムを鳴らした、次の瞬間。
―――バンッ!!
「え?」
 勢いよくドアが開けられて。
 そこに立っていた男を見て、俺は蒼白になった。
 持っていた酒やらツマミやらの袋が落ちなかったのは、俺が拳を強く握り締めていたからだろう。
「なっ…なっ……」
 ドアを開けて俺の方をじっと見てくるそいつに、俺はただただ、驚いていた。
「何で……」
 そいつは小柄な俺よりもずっとでかくて、彫りの深い顔とか結構女にも人気あって。
 年は俺より一つ下で。
 去年までは結構仲良くつるんでて。
「何で、お前が……」
 でもある日。
 あんな酷いことを俺にしやがったから。
 俺はこいつと縁を切った。
 携帯番も変えて、話し掛けられても完全に無視して。
 学校ですれ違っても目もあわさず。
 そいつの全てを拒否した。
「何でお前がここにいるんだ!!!」
 東尾タツマ。
 去年、俺を犯した男だ。
「先輩っ………!」
 俺は勢いよく、部屋の中に引きずり込まれた。


「来てくれたんだ、先輩」
 がっしりと俺に抱きつき、東尾は感極まったように言った。
 俺は持っていた袋であいつの体を思いっきり殴り、その手から逃れる。
「痛いよ、先輩」
「黙れっ! お前、ここっ、高橋の友達の家だろ!? なんでいるんだよ!」
 東尾から逃げるように玄関の戸に背をぴたりと貼り付け、俺は怒鳴った。
 一年間、顔も見なかった。
 こいつの顔を見るたびに、あの日の痛みと。
 感じたくもない快感に、身体が熱くなるのが、許せない。
 たった一年で、とても成長したように見える東尾は、口元に苦笑いを浮かべた。
「俺も、高橋先輩のオトモダチ、ですよ」
「ハッ……言ってろ。おい、高橋は……」
 そこでようやく、動転していた俺は気がついた。
 高橋にはめられたって事に。
 女も、飲み会の話も、全部嘘だったって事に。
「…………ここ、お前の家、かよ?」
「そうですよ。教えてませんでしたっけ? ああ、あの頃は僕が一方的に先輩の家に行っていたっけ」
 それで、俺の部屋で、こいつは、俺に……。
 俺は東尾を睨みつけると、玄関の戸を開けようとした。
 もう、一秒だってこいつといたくなかった。
 けれど。
「高橋先輩、俺に貸しがあるから」
 東尾はすぐさま俺の手を掴み、捻りあげた。
「っ、離せっ!」
「快く先輩と引き合わせてくれましたよ」
「離せって言ってるだろ!」
 ギリッと捻られ、手からビニール袋が落ちた。
 派手な音をたててビールの缶が玄関に打ち付けられる。
「一年ぶりだ。先輩に触れるの」
 耳の奥に、まだ金属音が残っている。
 それに被せるように東尾は呟き、背後から俺の首筋に口を寄せてきた。
「やめろっ! 気持ち悪い!」
「先輩の匂いだ。懐かしいな」
 首筋を嗅ぎ、唇で吸われ。
「やめろ……やめっ」
 あの日のことを思い出す。
 この男に犯された時の、痛みと熱を、思い出す。
「ねぇ、先輩。俺だってね、怒るんですよ」
 玄関のドアに押し付けたまま、東尾が呟く。
 首筋を舐めていた口は、頬を伝って耳に行き、強く耳を噛んだ。
「いっ……痛いっ」
「あんなに無視されて。そりゃあ、強姦したけれど。ずっと好きだって言ってたでしょ」
 好きだ好きだと。
 冗談のように言っていたあの言葉なんか、誰が信じるか。
「離せっ、いい加減にしないと、殺すぞ?」
「ハハッ。殺す? この、細い腕で?」
 凄んじゃって、と笑いながら、東尾は俺の尻に自分の股間を当てた。
「ひっ」
 ズボン越しでも分かるそれの怒張に、思わず悲鳴がもれ。
 それがまた東尾を喜ばせたようだった。
「さぁ、先輩。風呂へ行きましょう。久し振り、だからね」


「あっ……あああっ」
 身体の激しい震えと一緒に出た泣き声は、浴室の壁を反響して消えた。
「早いね、先輩。指入れただけで、いっちゃったんだ」
 シャワーのノルズを引っ掛ける部分に、両手を固定され。
 吊るされるようにされ、東尾の攻めは始まった。
『罰だよ』と言われて、毛を全部剃られた時から。冷たい剃刀の刃が敏感な肌を撫でた時から。身体はどこもかしこも反応していた。
 全裸にされて。
 片一方の足を浴槽の淵に引っ掛けられ。
 大股開きした状態は滑稽で屈辱的で。
 恥ずかしくて。
 何度『止めてくれ』と叫んだところで、その行為が終わるはずもなく。
 リンスでトロトロになった指を挿入されただけで、俺は泣きながら、腹を濡らしていた。
「うっ……ああ、あっ」
「いい声だよね、本当に。最初だってちゃんと喘げたものね」
 内側で指がぐるりと回され。
「いっ、ひぃっ」
 残っていた液体がぱっくり開いた尿道から溢れた。
「うっ……もう、やめっ」
「まだそんな事言って。奥の。イイ所も触ってもらいたいでしょ?」
「嫌だっ……たのむ…も、」
 もう、と言おうとした言葉は、挿し込まれた二本目によって、奪われた。
「奥の。ここが気持ちよくって、初めてなのに声が出たんだよね」
 カリカリっと擦るように、壁の一点を擦られ、涙が溢れた。
「うあああ、あっ、あああ」
「ハハッ。先輩、ダラダラ零しまくりだよ」
 言いながら、空いたほうの手で自身を掴まれる。
 その部分を擦られただけで、トコロテン式に漏れる精液を、自分で止めることは不可能だった。
「はっ、は、いっ……ひっ……うぅっ」
「こんなに気持ちいいくせに、どうして俺を避けたんですか?」
 親指で尿道から溢れる精液を拭うようにしながら、東尾は尋ねる。
 けれど、今の俺の口から漏れるのは、言葉にならない息だけで。
 東尾は「困ったなぁ」と呟きながら、指を引き抜いた。
「ほら、これで、喋れるでしょう?」
「うっ、離しっ……」
 根元を抑え、ヒリヒリするくらい尿道ばかり弄るその手の動きが嫌で、泣きながら訴えると、
「そんな事は聞いてないですよ。ほら、答えて」
 冷たく促された。
「どうして、俺を避けたんですか?」
―――そんなのっ……。
「俺はずっと好きだって言ってたのに」
―――冗談にしか……聞こえなかった。
「うっ……ンァァ」
 頭の奥が、熱に侵される。
「先輩に無視されるのが、どんなに悲しかったか」
―――無視する俺の身にも、なれ。
「東、尾……やめっ」
 東尾のそれが、ゆっくりと奥に入ってくる。
「先輩は、謝らせてくれる機会も、くれなかったっ」
―――顔を見たら、言葉を交わしたら、思い出すから。
「ひっ……いあぁァァ」
 深く押し込まれ、苦しくて。痛くて。
「っ………ごめんなさい……先輩……」
―――あの時の痛みを、思い出すから。
「っ……あっ」
―――避けていたのは。
―――無視していたのは。
「ああっ……あっ、東、尾っ」
―――苦しくて。痛くて。熱くて。
―――あの時の痛みを思い出すから。
―――あの時の、熱を、思い出すから。
「東尾っ」
―――思い出したらもう、離れられなくなるから。


 離れられなくなると知っていたから、避けていたのに。
「………先輩?」
 俺はゆっくりと、東尾にキスをせがんだ。
「風呂場でHです。情事前も情事後も便利です(何がだ)」
...2002/12/24(火) [No.25]
砂流雪耶
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