企業や店舗事務所向けに観葉植物や芸術品のレンタルを行うという事は、 別段珍しいことではありません。 見方を変えればタレントやモデルさんだって、一種の人材派遣・・・ いわゆるひとつの『レンタル』と言えるでしょう。
今回のお話の舞台となっているのは、そんな業者さんのお仕事場です・・・・
『株式会社 ヒューマンアレンジメントジャパン』という、 異様にさわやかな名前を冠したこの会社は東京と香港に支社を持った中堅企業でした。
オフィス向けレンタル業者の例に漏れず、一般向けに貸し出していたものは観葉植物に彫刻絵画、 時にはペットなどといった当り障りのないものばかりだったのですが、 この会社にはもうひとつ、限られたお得意様だけにレンタルしていたものがありました。
『観賞用人材派遣事業部』という、なんだかマルチ商法の営業みたいな名前の部署のみで 扱われる品物でしたが、なぜか一般消費者向けのパンフレットには、 そんな部署が存在することすら記載されてはいませんでした。
それもそのはずで、そこは主に『観賞用生命玩具』と呼ばれる品々・・・・ 早い話が世界中に散らばる栄誉ある変態たちの性欲を満足させるために用意された人間を 貸し出していた危ない部署だったからです。 レンタルされる人材も少女少年、そして青年、壮年に至るまで様々で、 まさしくお客様のニーズに合わせた人材を取り揃えていますといった具合でしたから、 ものによっては年間10億円など、時給880円で1日7時間、週休2日で働いたとしても 借りるのに2705年ほどかかってしまう程の価格設定だったのです。
よって顧客の方も必然的に大財閥の総裁とか外国の王侯貴族など、 どう考えても普通ではない人々が主で、中にはレンタルといわず、 某国のチリ人女性が貢がせた公金よりも多額のお金を払ってもいいから 是非買い取りたいと願い出る真性の変態も居たほどでした。
これだけなら『なんだ、銀座あたりにある高級風俗店と変わらないじゃないか・・・・』 と見限られてしまいそうですが、間違えてはならないのがこの会社はあくまでも 『観賞用』の人間をレンタルしている、ということです。 それが一体どういう意味を持つのか、この会社に勤務するある男の仕事ぶりを見ていれば おのずとわかることでしょう・・・・
・・・・・・・・・ この日も物好きな客が『青年』の観賞用生命玩具を20年間レンタルしようと、 株式会社ヒューマンアレンジメントの本社8階にある接客室において 契約を結ばんとしいてるところでした。
しかし、『観賞用生命玩具』・・・などというけったいなもののレンタルを希望してくる客の方も、 それこそ一癖も二癖もあるような連中ばかりであるということは、先にご紹介したとおりです。 今回の客もそれに違わず、中途半端に伸びた髪、水分と脂肪で膨らんだ腹、 白癬菌でじゅくじゅくになった両足・・・・ 正直言って、あまり家から出てきて欲しくはないような風貌の中年男性でしたが、 それでも金と時間と性欲だけは有り余っていると見え、 溶けたバターのようににやけた顔を押し殺しながら人材派遣事業部の接客室に 迎えられていたのでした。
「本条様、20年間のレンタルのご契約を受理いたしました。 それでは、こちらに実印を頂戴いたします」 観賞用人材派遣事業部の責任者でもあり、この危ない会社を経営する社長の甥でもあった 神宮タカオキ(28)は、クリアファイルに挟んであった極秘扱いの契約書を、 恭しい手つきで水虫持ちの男に差し出しました。
「・・・・・済まないが、もう一度実物を見せてくれないかね。 何しろ途中解約には10億という違約金に加え、残りの年数分のレンタル料がかかるのだろう。 よく確認しておかないとね」
印鑑を押す部分を指で指し示された水虫男は実印を取り出そうとせず、 汗胞だらけの親指をぺろりと舐めてからそう言ったのです。 それを受けた神宮は少しばかり目を閉じて考えるフリをした後、 通信カラオケに出てくるエキストラみたいに不自然な笑顔を作って応えました。 「かしこまりました。少々お待ちください」
神宮タカオキは契約書をファイルに挟んでソファーから立ち上がると、 事務所の壁に取り付けられていたロッカーに足を運びました。 ロッカーと言っても、開錠には本人の網膜パターンの認証を必要とするものです。 観賞用生命玩具として貸し出す人間をストックしてある管理室に入る際には、 この事業部の社員であることを証明するためのIDカードが必要とされており、 ここがいかに徹底した秘密主義と確固たるセキュリティを堅持しているかを窺わせるものでした。
「お待たせいたしました。こちらへどうぞ」 彼はIDカードを手にすると、一糸の乱れもない歩き方で水虫男のところに戻ってきました。 その完璧な身のこなしといい言葉遣いといい、まるで3Dソフト『Shade』で作られた コンピューターグラフィックのようです。
専用エレベーターを使って地下7階まで降下し、再び網膜パターンを認証するゲートを潜り抜けると、 乾いた椎茸みたいに味のないコンピューター音声にIDカードの提示を求められました。
「声帯パターンを認証します。お名前とIDカードをどうぞ」 「観賞用人材派遣事業部002の37、神宮タカオキ」
神宮は自動販売機みたいな声で負けじとそう言いつつ、 慣れた手つきでカードをセンサーに通しました。 すると、電子レンジの出来上がりにそっくりな『ピーッ』という電子音がしたと同時に、 幽霊でも通れないんじゃないか、と思わせるほど強固に閉じていた扉が両側に開いたのです。
興奮した面持ちで中を覗き込もうとしている水虫男に深々と頭を下げた神宮は、 すぐさまIDカードを部屋の壁に触れさせました。 赤外線センサーでも設置されているのでしょう。よく見ると部屋全体が光源になっているらしく、 パーティーションで区切られた天井と壁が、羅刹海市に漂う夜光虫のように淡い光を放っています。
「どうぞ商品のご確認を」 「おお・・・・」
そこは、数々の医療機器に溢れた無機質な空間でした。 普段あまり見かけないようなコンピューターやモニターつきの機械、 黄色い液体が入った栄養剤のバッグなどが整然とした様子で並んでいたのです。 コンピューターが与えられた仕事を正常に処理している事を示す電子音が数秒おきに繰り返され、 そこから伸びるケーブルに接続されている各種の医療機器が定期的に動作するたびに、 低くて鈍い機械音が鳴りました。
「本条様ご予約のレンタル品はそちら、番号20145の装置の中にございます」 「うむ・・・・」 部屋の中央にはストレッチャーがあり、その上には人ひとりがゆったりと横たわれる大きさの ガラスケースが置かれていました。 その全面に真っ白なアンギオシートが被せられていた為、 内部の様子を窺い知る事はできませんでしたが、コンピューターとその周辺機器から伸びている 様々な色をしたケーブルはみな、その箱の中へと通じているところを見ると、 おそらく生命維持装置か何かなのでしょう。ストレッチャーの上部には、 『製造番号20145 男』という短い言葉が、不気味な太ゴシック体で印字されていました。
「・・・・・ふふ」 それを確認した水虫男はケースにかけられていた白いシートをはぎ取ると、 淫猥かつ肉欲に満ちた声を漏らしたのです。
強化ガラスで覆われた生命維持装置の中には、白い百合の花のような肌をした 青年が横たわっていました。 『青年』とは言ったものの、上腕筋や腹筋、大殿筋などが全く発達していないため、 全裸でなければその性別を判断することは困難だったことでしょう。 年の頃は20歳前後と思われますが、日に当たっていないせいか肌に異様なほどの透明感があり、 まるでプレゼントを包装するための透明セロハンを身にまとっているようですらありました。
ケースの内側には無数の空気孔が開いており、新鮮な酸素を常に供給しつづけていましたし、 内部は無菌状態に保たれていたので、全くもって清潔そのものであったのです。 褥瘡を防止するため、身体の下には特殊繊維でできたクッションが敷かれていました。
月に数回ある『検品日』以外に、このケースが開けられることはありません。 その時ですら点滴から規定量以上の睡眠薬を流し込み、彼が完全に意識を失ってから行うという 徹底ぶりです。 おそらく、外界の刺激を認識させないためなのでしょう。 この観賞用生命玩具は、局部に与えられる刺激以外は全く知らないというところが売りなのですから、 『疲れた』だの『遊びたい』だのと、余計なことを覚えてもらっては困るのです。
その為彼の鼻腔には流動食を流し込むためのチューブが繋がれ、 両腕にも、定期的に栄養剤とホルモン剤、そして睡眠薬を注入するための点滴が挿入されていました。
ここいらで『全く休息をとらないのでは衰弱して死んでしまうのでは・・・』 と心配してしまいそうなものですが、そこのところは実に巧くやったもので、 毎晩夜10時になるとこの点滴管から薬剤を送り込み、青年を朝まで眠らせていたのです。 逆に言えば、彼の細い身体を拘束し、そして苛み続ける器具の刺激から逃れられるのは 眠っている数時間のみでした。
ほとんど空気に触れたことがないのではないかと思わせるほどくすみのない乳首には 微弱な電流を通してある金属製のローターが埋め込まれ、彼の性感帯を絶えず揺さぶっていました。 そのうち細胞の結びつきが弱くなってほどけてしまうのではないかと思われるほどの刺激を、 24時間365日、それこそコンビニ並みに休むことなく与え続けていたのです。
さらに、性器のまわりには一時も休むことなく快感を与えるように設計された バイブレーターが嵌めこまれており、ペニスの先にはカテーテルが尿道に挿入されていました。 肛門には排泄物をケース外に設置された汚物処理装置へと排出するためのパイプが つなげられていたのです。
これらのものはすべて、青年の体内に外科手術で埋め込まれたり、 極細の吸収性縫合糸を使って皮下に縫い付けられたものでした。 ・・・・・・・すなわち、死ぬまで外すことができないということです。 電源の供給が1秒でも止まるとすぐに自家発電装置が働くため、たとえ外界が停電であっても 彼の身体に繋げられた生命維持装置やローター、バイブレーターの類は全く止まることが ありませんでした。薬で眠らされている間でさえ、これらの器具は停止されないのです。
この青年に名前はありません。名前どころか記憶も、意思も、肉親も、友達もありません。 彼は生まれてから死ぬまでをこの生命維持装置の中で過ごすように運命付けられているのです。
微妙にいやらしいリズムで振動と挿入をくりかえすバイブレーターに応じるように、 彼は呼気を荒くし、生まれたときから自分を拘束しつづけているベルトから逃れようと 少しだけ身を捩りました。そもそも今までに一体何度射精したのかは知りませんが、 男性が一生に排出する精液の量は大体17000cc程度とも言われているので、 あまり出し過ぎないように器具の方も調節されているのかもしれません。
そんなケースに閉じ込められた中、青年は水を求める魚のように口をパクパクと動かしていましたが、 どうやら与えられ続ける刺激に対して反応しているようです。 その様子を見ていた神宮は近くにあったイヤホンを手にとり、水虫男に差し出しました。
「どうぞ。これで番号20145の声が聞けます」 「うむ・・・」 イヤホンを受け取った水虫男は垢だらけの耳孔にそれを押し込み、そこから漏れてくる 湿った声をひとつひとつ拾い集めようと、鼓膜に全神経を集中させました。
『・・・・・・ああ、・・あっ・・・・・・・・んんっ』 今にも折れて粉々に砕けてしまいそうなほど繊細なその声に、 両脚に棲みついた白癬菌までもが反応し出したのでしょうか、 水虫男は靴の中で指先だけを動かして、なんとか痒みを押さえていたようです。
しかし、この青年が何のために、どういった目的でこんなことを強制させられているのかを 窺い知ることはできません。 また彼自身も、この生命維持装置の外には別の世界があり、そこに生きるすべての人間は 己の自由意思に基づいて行動しているのだという事実など、もはや想像することすら できなかったのです。 最も、青年が自分以外のもの・・・・すなわち『対象』というものを認識できているのかどうかは わかりませんでしたが・・・。
「本条様・・・・この青年は生まれてから一度足りとも、このケースの中から出したことが ありません。言葉も、文字も、数字も、外の世界というものも、何も知りません。 いや、そんなものがあるということすら知らないでしょう。 ただ、このようにして身を捩り、快感に咽ぶ声をあげることしか知らないのです。 それが、この青年にとっての世界なのです・・・」
この危ない会社、『株式会社 ヒューマンアレンジメント』が一体どこからこんな人間を 調達してきているのかは、社長と神宮以外誰も知りませんでした。 勿論、本条に買われてゆくこの青年のみならず、隣の部屋にはまた別の観賞用生命玩具が 用意されているのです。 貧困のあまり生まれてすぐに捨てられ、戸籍にも登録されなかった子供を 安値で買い取っているだとか、色々な噂がありましたが真相は結局のところ闇鍋の中でした。 おそらく、社長と神宮が死ぬその日まで明かされることはないのでしょう・・・・。
「少し安くならないか?」 水虫男は冗談交じりにそう言って見ましたが、神宮はあまり蛋白質の感じられない表情で微笑むと、 生命維持装置の中で悶える青年を見下ろしました。
「フフン、ご冗談を。某技研の造った二足歩行ロボットのレンタル料だって、 その当時で年間2000万円はしたのですよ・・・。 生きた人間が悶え、喘いでいるところを鑑賞するための料金として、 少なくとも年間1億はお見積もりいただかないと割に合いません。 この青年が成長する度に生命維持装置を買い替え、カロリー計算された食事を与え・・・・。 局部に刺激を与え続けるセックスマシンを20年間動かし続けた電気代だけでも 何千万を超えるほどです。 もちろんレンタル中における、生命維持に必要な栄養剤や各種マシンのメンテナンス代は 含まれております」
この青年は、恋人として誰かに愛されるわけでもM奴隷になるわけでも、 ペットとして飼われるわけでもありません。 ただ部屋の片隅に『設置』され、数々の性的玩具に弄ばれている哀れな姿を晒すだけなのです。 まさしくレンタル用の観葉植物、信楽焼のタヌキそのものといった具合でした。
『ああっ・・・はぁ・・・・。くふっ・・・・』 おそらくこの青年、装置の中から出したらその瞬間に死んでしまうのかもしれません。 水虫男はイヤホンを取り外し、先程取り払ったアンギオシートを生命維持装置の上に再び被せると、 満足そうな表情を浮かべて神宮の肩を叩きました。
「わかった。では、契約書に判を押そう。20年レンタルということで・・・」 「かしこまりました。それでは参りましょう。中途解約及びお買い上げに関しましては、 別途説明させていただきます」
強固なセキュリティが掛けられた扉が再び閉じられ、明かりが消えると 部屋の中は再び電子音と、青年の喘ぎ声が支配する空間に戻りました。
『・・・あっ・・・・ああ!・・ふ・・・っ』 少なくともレンタル期間である20年、青年は狭くて暗い生命維持装置の中に閉じ込められたまま 過ごすことになったわけですが、それは彼にとって、全く変わることのない『日常』に 過ぎませんでした。
自分は一体何であるのか、そしてどこから来てどこへ行くのか・・・ そんな青春映画のラストみたいなことを考える必要すらなく、ただ身を捩って喘ぎ続けることだけが 彼に課せられた使命だったのです。
・・・・・・・・ 上の階に戻って実印を貰った後、社長室に契約書を届けに行った神宮は、彼の叔父でもある社長 神宮サトミヤにこう尋ねました。 「社長、もしレンタル期間中にお客さまが生命維持装置を開け、 観賞用生命玩具に自我を持たせてしまったらどうなるのですか?」
・・・・・実のところ神宮タカオキは今回レンタルされるあの青年をはじめ、 観賞用生命玩具として一生を過ごすレンタル品たちをある意味、妬ましく思っていた節がありました。 なぜなら彼らは、人間が生きていく過程で体験しなくてはならない様々な悲しみや痛みを 一切知覚することがなかったからです。 それどころか、怒りや憎しみといった負の感情すら知りません。
そして何より、彼らは人間にとって最大の恐怖でもある『肉体の死』を 認識することがありませんでした。 ただただ、生命維持に必要なありとあらゆる条件を完璧に満たされた装置の中で、 肉体に絶えず与えられる快楽のみを受け取って生きているだけなのです。
『それはどんなに楽なことだろうか・・・・。何も考えなくていいなんて。ひょっとしたら、 毎日悩んだり苦しんだりして生きているオレなんかより、 あいつらの方がずっと幸せなんじゃないか?』
神宮はよせばいいのに余計なことを考えてしまった挙句、そう思い悩むことが多々ありました。 大学院の西洋哲学研究科を卒業しているせいもあるのでしょう。 両者は生物学的には全く同じ生き物であるにも関わらず、片方は『人間』として扱われず、 一商品として貸し出される運命にあるわけで、 その一生を生命維持装置の中で過ごすであろう彼らにとって世界とは何なのか、 人間とは何なのか・・・安価な哲学者・神宮タカオキはそれを知りたくて仕方がなかったのです。
観賞用生命玩具として弄ばれているレンタル品たちより、自分の方が劣っているのではないか・・・・ 自由であるが故に、苦しみや悲しみ、憎しみといった感情を知覚しなければならなくなった我々は、 あいつらより不幸な存在なのではないか?
神宮は先程受領した契約書を穴が開くほど見つめながら、そんなことばかりを考えていました。
するとしばらくして、サトミヤ社長は振り向きもせず彼にこう答えたのです。 「買い取りしてもらえばいい。しかし、あれはあくまでも観賞用。 自我など持ってもらっては困るのだ。だから装置の蓋には電子ロックが掛かっている。 観賞用人材派遣事業部の社員と、メンテナンスを委託した業者だけしか開けられないのだ」 「・・・・・・。そうですか。それならば・・・よろしいのですが・・・」
おどおどした声で相槌を打った神宮を見た社長は舌打ちをし、 彼が手にしていた契約書を奪い取りました。 白目を剥き出しにした三白眼と、相手に有無を言わせない迫力のある体躯のサトミヤ社長の姿を 直視すると、神宮はなぜか眩暈がするような感覚を覚えるのでした。
「お前はまだ悩んでいるのか。あいつらはレンタル品だそ。所詮はモノに過ぎん・・・。 生まれたときから自我も自由も奪われた連中なんだ。もう人間だとは思わんことだな。 お前は人間だがあいつらはモノなんだ。それを思っていればやっていけるだろう」 「はい」
社長の言を受けた神宮はこの時ようやく、一切の苦を知覚しない代わりに精神的・肉体的な 自由を奪われた者たちと、苦界に生きれども確固たる自由意思を持った者とでは、 明らかに後者の方が高尚であるということを再確認できたのです。 彼は社長に深々と礼をしたのち、自分の所属する部署へと戻っていきました。
・・・・そうなんだ。何も気にすることはないんだ。 あいつらは元々人間じゃなくてモノなのだから。 給料だっていいし、これからもこの仕事を続けよう。
そう心に誓った彼は事業部の扉を勢いよく開けると、 観賞用生命玩具のレンタルを希望する顧客へのアポイントメントを取り始めたのでした。
・・・・・しかし、1ヶ月に1回はこんなふうにして思い悩んだ挙句、 社長に諭されて部署に帰るということを繰り返していた神宮タカオキは、 ある意味非常に人間臭いと言えなくもない・・・かもしれません。
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