SIDE.A 帯刀
俺と真野砂鉄は親友だ。 それは子供の頃からの付き合いで、ガキの頃はかわいらしいイタズラをしたものだった。
まだ幼稚園生だった俺達は黄色い帽子を被りながら、手を繋いで公園の中を走り回った。 「サテツ、あれ!」 俺がそう言うとそれだけでサテツは俺のしたい事を理解する。 「よし!いくぞ、タテワキ!」 俺達は手を繋いだまま走り、OLらしき女のスカートを捲った。 そんな俺たちに怒りで赤くなる女を、俺達は笑いながらは、まいて走り回っていた。
他にもいろんな遊びをした。 カエルの解剖やトンボに爆竹をつけてふっとばすなど、それはもうかわいらしいイタズラばかりだった。 小学校の時にはサテツと一緒に火遊びをした。 サテツが家からライターを持って来たんだ。 それで俺達は新聞紙に火をつけて探検ごっこをした。 すると探検場所だった休日の工場に何故か火が燃え移った。 サテツはその炎にえらく目を見開いていた。 「すっげーーー!花火より格好良いよ!!」 そう言うサテツを見ながら俺は思った。 「工場って燃えやすいんだなー」 結局あの火事が俺達のせいで起こった事はバレなかった。 今、大人になった俺は心底思う。 昔は良かったなーーー。セキュリティとかめっちゃ甘かった。ヌルヌル。 今じゃこんなコトできないだろうなーーーと。
俺は今現在は気ままな高校生活を送っている。
学校でサテツに会うと俺はその肩に腕を廻す。 「よーサテツちゃん。かわいい彼女出来た?」 その言葉にサテツはニッコリ笑顔で言う。 「ああ、タテワキよりかわいい子には中々会えなくてね。僕も苦労してるよ」 その言葉に俺も笑顔で言う。 「やや、同感だよ。サテツ君。俺もお前ほどの美人を見慣れると中々恋も出来ない」 そんな俺達の会話を聞いて女子達が笑う。 「やだ、二人とも相変わらずラブラブvv」 その言葉に俺達は笑う。 「そーだよなー、な、サテツ!」 「おうよ、タテワキ」 俺達はそう言うとキスをした。 ああ、もちろん唇ね。こんなのは俺達にとっては挨拶みたいなもんだ。 たぶんファーストキスもなんやらもすべてサテツが最初だったと思う。
俺は放課後サテツの家に行った。 バカデカイ団地に俺達は住んでいる。 こいつが1階で俺が5階。まあ、団地と言えば一つ屋根の下だ。
俺はサテツの部屋でサテツのモノを口にして必死で奉仕していた。 こういう事をするのは初めてではない。俺達は何でもありの友達だった。 「あ、イク・・・・・・・」 サテツはそう言うと俺の口の中に放った。 俺はそれを飲み込みながら口元を拭う。サテツがイク時の顔は色っぽくて結構クル。 「へへ・・・・・俺、上手くなったんじゃない?」 そう言うとサテツはニコリと微笑んで俺の顎を持ち上げる。 「どこで練習してきたんだよ?」 そう言いながらこいつは俺の唇にキスをする。 俺はそのキスに応えながらサテツを押し倒した。 「バーカ、お前以外とこんな遊びはしないよ!」 そしてそのままサテツの中に指を入れようとしてグーで腹を殴られた。 「イッテーーー!!何すんだよ?」 俺が言うとサテツは微笑む。 「何って、当然だろう?お前が下なんだよ」 その言葉に俺は頬をふくらませる。 「何だよ、それ?俺絶対にヤられる方はイヤだよ」 そう言っているのにサテツが俺に覆いかぶさってくる。
「僕がお前を抱くからお前は大人しくしろよ」 その言葉に俺はピキっときた。そしてサテツの自慢の顔をグーで殴る。
「イッテーー。お前、よくも僕の自慢の顔を・・・・・」 そう言うサテツに俺は微笑む。 「お前が俺を組みしこうなんて100年早いんだよ!」
俺達はそのままじゃれあった。 キスをして、触れて、抜きあって、サテツと俺はいろんな遊びをした。 子供の頃のイタズラも、今のこの悪ふざけも、俺はサテツとしかしない。 本気で一線を越える気があるのか、ないのか、それは俺にはよくわかんない。 俺はどっちでもイイんだけどね、まあ男だから抱かれるより抱く方が良い。それだけ。
今が楽しければイイ。それが俺達だ。 居心地の良い世界。 サテツも俺も悪フザケと遊びで生きている、構成されている。 人生は遊びだ。シリアスなんてどこにもない。 なんて人生は単調で平凡なのだろう。 だから俺達は刺激を求めてバカな遊びを繰り返す。 俺達の男同士のセックスだって遊びだ。 遊び、遊び、遊び、遊び。
けれどそう、一つだけ判っている。 俺にはサテツがいるから、遊び相手あっての遊びだ。 ちゃんとその事は理解してるよ。
俺は微笑んでサテツの顔をみつめる。 「砂鉄、愛してるよ」 「僕もだよ。帯刀」
俺達は微笑みながらキスを交わした。 「アイシテル」という遊びのキスを。
SIDE.B 砂鉄
僕と長島帯刀は親友だ。 それは子供の頃からの付き合いで、僕はその頃からそれはもう真剣に人生を歩んでいた。
まだ幼稚園生だった頃、僕はタテワキと一緒に公園に行った。 けれど、それは偶然でも何でもない。計画だった。 僕達は黄色い帽子を被りながら、手を繋いで公園の中を走り回った。 それは無邪気な子供達に見えた事だろう。 「サテツ、あれ!」 思った通り、タテワキがイタズラを思いつく。僕はそれに従うフリでその女のスカートを捲ってみる。 「よし!いくぞ、タテワキ!」 僕はそう言いながら微笑んで逃げた。予め仕組んであった通りに。 女は僕の顔に気付くと追いかけてきた。 けれど女は途中で消える。 それはそう、偶然だよ。彼女が開いていたマンホールに落ちたなんて。 そのままどうなったかなんて僕達の知った事じゃない。 彼女が僕の父親の愛人だったなんて僕は知りもしない。
僕達は他にもいろんな遊びをした。 ハトを捕まえて首を切ったり、それをタテワキを苛めたヤツの家にこっそり放り込んだり。 それはもうかわいらしいイタズラばかりだった。
小学校の時にはタテワキと一緒に火遊びをした。 僕が家からライターを持っていったんだ。 それで僕達は新聞紙に火をつけて探検ごっこをした。 場所は初めから決めてた。僕の父親の会社だった。 工場長だった父は栄転が決まっていた。すると僕達は引っ越すコトになる。 そうすると僕はタテワキと離れないといけない。それは困るんだ。 僕はタテワキとだけは離れたくなかったから。
工場はよく燃えた。見事なくらいにキレイな炎だった。 「すっげーーー!花火より格好良いよ!!」 僕は興奮してそう叫んでいた。 僕は仕事をやり終えた満足感に浸っていた。 「工場って燃えやすいんだなー」 そう言ったタテワキも楽しそうだった。
今、大人になった僕は心底思う。 タテワキは本当にバカだなーと。彼は何もわかちゃいない。 何一つ、真実を知らない。 でも僕はそんなタテワキが好きで仕方ない。バカな子ほどかわいいというあれだろうか?
僕は今、大人になる為の執行猶予のような高校生活を送っている。
僕が学校の廊下を歩いているとタテワキがやってきて僕の肩に腕をまわす。 「よーサテツちゃん。かわいい彼女出来た?」 その言葉に僕はニッコリ笑顔で言う。 「ああ、タテワキよりかわいい子には中々会えなくてね。僕も苦労してるよ」 その言葉にタテワキが笑顔で言う。 「やや、同感だよ。サテツ君。俺もお前ほどの美人を見慣れると中々恋も出来ない」 実際僕達に恋人はいない。 タテワキは相変わらずバカだから僕があいつの恋人候補を潰していってるコトには気付いていない。
僕達はそのヘンの女子と軽口を交わしながら遊びのようにキスをした。 タテワキはまったく判っていないと思うが、こいつをこういう性格に育てたのは僕だ。 倫理観、貞操観の喪失。 僕は上手くタテワキに触れる手段を手に入れている。
タテワキは放課後、僕の家にやってきた。 今日はあいつが僕のモノを口にして奉仕している。 これはいつも気まぐれでする。 お互いに扱きあったり、どちらかをオカズにしたり。 でもまだ本番はしてない。 流石のタテワキ君もまだちょっと常識が残っているらしい。 けど、僕のモノを口にしてるタテワキは扇情的でなかなかにイイ。
「あ、イク・・・・・・・」 僕はそう言うとタテワキの口の中に放った。 タテワキはそれを飲み込みながら口元を拭う。 「へへ・・・・・俺、上手くなったんじゃない?」 そう言うタテワキはイタズラする子供の目だ。 こいつはいつまでたっても遊びと本気の区別がつけられない。 僕はニコリと微笑んでタテワキの顎を持ち上げる。
「どこで練習してきたんだよ?」 もちろんこいつが他の男にこんな事はしない事は知っている。 僕は微笑みながらタテワキの唇にキスをした。 するとタテワキは僕のキスに積極的に応えてくる。そして体重をかけると僕をベッドに押し倒した。 「バーカ、お前以外とこんな遊びはしないよ!」 そう言いながらタテワキが僕の尻に指を入れようとしたので流石の僕も慌てる。 ついグーでタテワキの引き締まった腹を殴ってしまった。 「イッテーーー!!何すんだよ?」 タテワキが本気で痛いみたいに言うから僕はおかしくて微笑む。 「何って、当然だろう?お前が下なんだよ」 その言葉にタテワキは頬をふくらませる。チキショー、何だよそれ。マジかわいいんだよ。 そう思っている僕に怒ったようにタテワキが言う。
「何だよ、それ?俺絶対にヤられる方はイヤだよ」 僕は笑い出したかった。 こんなバカなくせに僕を抱きたいだ?生意気すぎなんだよ!! 僕はタテワキに覆いかぶさった。こいつは僕が遊びだと思っている。 犯されるとか、強姦されるとか考えてもいないのだろう。 でも、僕はいつだって本気だ。 「僕がお前を抱くからお前は大人しくしろよ」 僕はこのまま犯すつもりでそう言った。 だが次の瞬間グーで顔を殴られた。 自慢じゃないが僕はめちゃくちゃ美形だ。そんな僕の顔を殴るなんで・・・・・
「イッテーー。お前、よくも僕の自慢の顔を・・・・・」 僕がそう言うとタテワキは微笑んだ。 「お前が俺を組しこうなんて100年早いんだよ!」
なんて生意気な発言だろう?バカなくせに。 ああ、でもこれがかわいくて仕方ないんだから僕もバカだ。 僕達はキスをして、触れて、抜きあって、いろんな事をした。 タテワキはこれを遊びだと思っている。
遊び? バカだな、本当に。 僕達の間には今まで、ただの1度も遊びなどなかった。いつだって真剣だった。 人生は1度きり。遊んでいる暇なんか一切ない。 子供の頃のイタズラも、今のこの悪ふざけも、僕にとっては全部計算された計画だった。 邪魔者を排除して潰していく。 でないと居心地がいい世界なんか作れはしない。 タテワキが居心地が良いと感じている世界は、この僕の計算で出来上がった世界なんだ。
僕は本気で一線を越える気でいる。 僕は抱かれるなんてイヤだからね、いずれタテワキを強姦するかもしれない。 こいつはバカだからその事にも気付いていないのだろう。
今を楽しむためには努力をしなければければいけない。 僕は努力を惜しまない。 いつだって僕は人生に本気だ。遊びなんてどこにもない。 なんて人生はスリリングでサスペンスに満ちているのだろう。 犯罪とは隣り合わせ。イヤイヤ、犯罪なんてバレなきゃどーってことない。 だから僕は癒しを求めるようにタテワキを求める。
本気、本気、本気、本気。 何もかも本気。放火も傷害も虐待も。居心地良い僕の世界のため。
けれどそう、一つだけ判っている。 僕はタテワキを中心にまわっている。 ちゃんとその事は理解してるよ。
僕は微笑んでタテワキの顔を見つめる。 いつか、今にも、強姦してしまいそうな僕の愛しい人。 「砂鉄、愛してるよ」 「僕もだよ。帯刀」
僕達は微笑みながらキスを交わした。 僕は思う。 「アイシテル」いつかその言葉を本気で言わせてやるよ。
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