「美しい月は可愛い子がお好き」
だいたい、陸人の家に行くときは電話とか連絡ってしないのな。
まあ、アイツが連絡手段、つまりケータイも持ってなければ、固定電話も
アパートにない。っていうのもあるんだけどさ。
たまたま、前日に電話したときに「明日、そっち行ってもいい?」とか
聞くけど、大抵は「聞かないで行く場合が多い」のな。
やっぱり自然にそうなっちゃうだろ?
オレは加納広海。つい最近、同級生でもある水無月陸人と、そう 「コイビト」になったばかりだ。 オレはバレーボール部に所属していて、そのセンパイ、 部長の桜井センパイと、マネージャーかつ鬼コーチでもある 在原美月センパイが、オレにずっと片思いをしていたという陸人の 応援をしてくれて、今があるわけなんだけど。
でさ、この間の日曜日も、オレは陸人のアパートに行ったわけ。
そうしたら運良く、アパートから出てきたところの陸人にバッタリ会えてさ、
「これから出掛けんの?」
「あの・・・美月さんに呼ばれて。これから美月さんのマンションに
行くんです」
「在原センパイ~!?今日、バイトじゃないだろ。どうして?」
「おいで。としか言われていないので・・・昨日、練習の後にぼくの家に
寄ってくれてそう言われたんです」
「練習がなけりゃ、オレが陸と一緒なの知ってて邪魔したいのか?」
「美月さんは、そういうヒトじゃないですよ」
クスクスと陸人が笑う。
ここに陸人とオレの在原センパイを巡る大きな意見の食い違いが
あるのだが、陸人にとってプラスにはなっても(多分)、全く持って
害はないのだから、オレは渋々と、
「じゃあ、オレも行く。いいだろ?」
「ええ。美月さんが喜びます」
絶対にそんなことはないはずだ。と思いつつも、オレも頷いた。
陸のアパートで待っているという手段もあったけど、それがバレたら
明日、どんな報復とイヤミが待っているかわからなかった。からな。
「オレ、今日、「あの日」なんだけど」
「えっ」
横に並んで歩き出してから、オレはさりげなく言った。「あの日」という
のは「甘えたいぞ」という、オレと陸人が生み出した言葉だ。
陸人は立ち止まり、ちょっと迷っているようだった。
「別になんかあったわけじゃないぜ。ただ「あの日」なだけ」
「でも・・・それなら・・・」
「在原センパイの家から、早く帰ってくる。っていうアイディアはどう?」
「・・・ええ」
陸人が、そっとオレのシャツの袖口を掴んだ。嬉しそうに、ほんの少し
手に力を込め、名残惜しそうにそっと外す。
潤んだ目の中に、微かに浮かぶ包容力に、オレは胸が一瞬で満たされ、
照れ隠しに、わざとふざけて陸人の肩を抱いた。
「そんなことすると、あの日が盛り上がってきちゃうだろ。バーカ」
「ぼくも・・・なりそうです」
「あの日?」
「はい。だけど、そういう時は・・・その、どうしたらいいんでしょうか?」
「さあ。もうベッタベタなだけじゃん?」
腹の底から暖かいクスクス笑いが漏れてくる。
オレと陸人は、手も繋がない、肩も抱かないのに、いつまでもふざけ
あいつつ、在原美月センパイの住むマンションに向った。
「おや。荷物もちが一緒なんて、陸は気が利くね」
チャイムを押して出てきた在原センパイは、陸人とオレが一緒にいるのを
見て、まっさきにそう言った。
「おじゃまします」
「はい、どうぞ」
部活のセンパイでもある、在原センパイに丁寧に頭を下げてから靴を
脱いだ。
在原センパイが1人暮しをしているというマンションは、陸人のアパート
から、たった歩いて10分程度の距離だった。
小高い丘のてっぺんに立つ瀟洒なマンション。どういう商売を親がしていたら
こんなところに住めるのか、というセキュリティの高さだった。
「あ、陸、悪ぃ」
「え?いいえ」
脱ぎ散らかしたオレの靴を陸人は丁寧に、玄関に向かって足先を
揃えると、なんでもない顔で、オレの後をついてきた。
「育ちの良さが伺えるだろう?」
「え、はい」
先導する在原センパイに言われ、オレは頷いた。確かにその通りだと
思ったからだ。
「自分には、ちょっともったいないなあ。って思わなかった?」
「えっ、そんなこと思わないですよ」
「思った方がいいんじゃないかなあ」
クスクスとからかうように言われ、オレは思わず俯いてしまった。
あとから聞けば、在原センパイは、陸人がオレを想っている気持ちを
手助けしてあげようと、孤軍奮闘したらしい。
確かに、それは当たっていない。とは言えないだけに、出だしから
どうも在原センパイには頭が上がらないオレだ。
「あ、桜井部長も来てたんですか?」
大きなリビング。もう自分の家と比べるのが恥ずかしくなるほど、
デカい、リビングに、それでもデカい桜井部長を見つけて、オレは
地獄に仏とばかり歩み寄った。
「おう、広海。陸人も一緒なのか?」
「もちろん一緒ですよ」
「仲いいなあ、おまえ等」
少々、やっかみも混じっているのだろう。桜井部長はチラリと
在原センパイに視線を流して「はあ」とため息をついた。
桜井部長の足元には丁寧に畳まれた毛布が置いてあった。
「センパイ、それ、なんスか?昼寝でもしていたんですか?」
「いや。オレは昨日ここで寝たから」
「床で?」
「まあ、その・・・そういうことだ」
ああ。と、オレは無言で頷いた。
どうやら、現場を見たことは無いが(見たくも無いが)、桜井部長と
在原センパイは「デキて」いるらしい。
どうも、オレには想像が出来ないのだが、そういう雰囲気はあるし、
昨日は実際、ここでヤッたのだろう。という証拠のような毛布を
見ると、有無も唱えられなくなってしまう。
「さあ、陸人はこっちだよ。おいで」
「あ、はい」
在原センパイの家に入り、陸人は真っ先に台所に向かった。
陸人は在原センパイの家で家事のアルバイトをしているのだ。約束は
週に3日。今日は約束のアルバイトの日ではないのだが、真っ先に
身体が台所に動いてしまうあたり、陸人らしい。と、オレは密かに
笑ってしまった。
「えっ・・・なに、コレ。あ、在原センパイ、凄いベッドッスね」
リビングとキッチンと寝室には仕切りが無い。在原センパイは、
マンションの一室をワンルームのように使っていた。
陸人と一緒に、在原センパイにベッドがあるところまで誘われ、
オレは、またもや仰天してしまった。
「そう?これぐらいは必要だと思うけど」
「いやあ・・・こんなに大きいベッド見たの、オレ、初めてッスよ」
「陸のベッドはシングルだもんねえ。しかもパイプベッド。あれだと
音が漏れて大変でしょう」
「えっ・・・いやー・・・」
何と答えていいかわからない。オレが黙ってしまうと、在原センパイは
心底、同情した目で陸人を見た。
「陸も我慢できなくなったら、僕のところに来ればいいからね」
「えっ、なに、在原センパイ、それどういう意味っスか!?」
慌ててオレが聞くと、在原センパイはしれっと、
「狭くて眠れないようだったら、ベッドを提供してあげるよ、って
意味だけど」
「それはちょっと・・・」
「おや。悪い誘いに聞こえた?陸?」
「え?いいえ。あの、お心遣いありがとうございます」
「だってさ」
ペコリと陸人が素直に頭を下げると、在原センパイがニヤリと意地悪
そうに笑った。
ここでも、陸人とオレの在原センパイに対する見識が大きく違うことを
意識せずにいられなかった。
もちろん、オレはオレが正しいと思っているのだけど。
「さあ、広海は出ていって」
「は?出ていく?」
ワンルームで使っているマンションで、出ていくと言えば家の外
以外に有り得ない。オレは首を傾げた。
「そうだよ、邪魔。陸のヌードが見たい?それとも僕の?」
「は!?」
「オレは見たい!美月のヌードが見たいぞっ!」
「はあ。気がきかないヤツラばっかりで参るね」
リビングからダッシュしてきた桜井部長をチラリと見ると、
在原センパイはオレの目の前で思いきり、ベッドサイドに吊るしてあった
カーテンを引いた。
天蓋から零れるカーテンは中が見えないたっぷりとしたレースが
縁取られている。
「なんた、これ・・・」
オンナノコのスカートをめくるように、オレがちょっとだけレースを
まくると、中から在原センパイが思いきりオレの手を叩いた。
「いってー・・・センパイ、スナップ利かせ過ぎ」
「広海がエッチなことするからだろ」
「だ、誰がっ、エッチなことするんですか」
「広海だろ。あーあ・・・可愛そうに。陸、こんなところに痕つけ
られちゃって」
「うっ・・・」
何処の部位のことを差しているのか、咄嗟にはわからず、オレは
思わず、すごすごと身を引いてしまった。
結局、ベッドまでも辿りつけずに、リビングで座り込んでいる
桜井部長の元に戻る。
「桜井部長、あれ、在原センパイ、なにしているんスか」
さすがにオレがいる前で陸人に悪さはしないだろう。と、頭では
わかっていつつもオレは聞いた。
「着せ替えごっこだよ」
「・・・・・・は?」
オレは、一瞬、文化祭で陸人が女装をした時のことを思い出し、
目の前が真っ暗になった。
「恒例なんだよ。美月の趣味だな。陸人に自分のお下がりの服を
あげるのが好きなんだ」
「あ、そういう意味・・・」
オレはホッと胸を撫で下ろした。もし、あのカーテンの向こうから
陸人が看護婦さんだったり、スチュワーデスだったりして、出てきたら
どうしようかと思ったのだ。
特に変態趣味があるわけではないけれど、あの文化祭のときとは
気持ちが全然違うだけに、自分がどんな感想を抱いてしまうのか、
ちょっと考えて怖くなったからだ。
「ん。陸、かわいい・・・こっち向いて」
「あ、美月さん、あの・・・自分で出来ますから・・・・」
「いいの。僕にさせて、ね?」
「え、あっ・・・そこ・・・」
「うん。ここが大事なんだよ。ほら、こうして御覧。ね、凄いだろ」
「は、い。あ、ホントに凄いです・・・」
「立てる?キツくない?いいよ、僕に捕まって。力を抜いて。ちゃんと
見せて」
「へい、き、です。だけど、そこっ・・・」
「ん、わかってる。僕に任せて」
ベッドの向こうから漏れてくる会話に、オレも桜井部長も思わず、
言葉を失ってしまった。
カーテンの下りたベッドでは二人の様子は全くここからでは見えない。
だた、ぼんやりとしたシルエットて、二人が絡み合っているような
姿が映し出されるだけだ。
「ああっ、美月さんっ、そこはダメですっ・・・」
「うん、僕も良くない。ちょっと形を変えてみようか。うん、こっち
来て。この方がラクでしょう」
「え、ええ。ずっと・・・あ、んっ」
「動いたら痛いから。じっとしてて。うん、そう、こうして。
すごくいいよ・・陸」
なぜか聞くに耐えない言葉ばかりが並ぶ。今、陸人はどうしているか
想像も出来ない。だけどイヤがっていないことだけは確かだと思うと
飛び込んでもいけなかった。
「桜井部長、アレ、ホントに着替えなんスか・・・」
「あ、ああ。美月は陸人のために、自分の着なくなった洋服。と
言っても、一度しか着なかった洋服とかな。そういうの、わざわざ
手直しさせているんだ」
「手直しまで!?」
「そう。新しく買ってあげると陸人が気を使うから、だってさ」
「へえ・・・」
はあ、と、オレも桜井部長も大きなため息をついた。こんな会話
では、とても気が紛れない。
それぐらいどう聞いても喘いでいるような声に、オレも桜井部長も
正直、撃沈していた。
「陸人はいいよな・・・」
ボソッと桜井部長が言った。
「え?どこがッスか?全然、その、オレ的には良くないですけど」
「だってさ、美月のベッドに入れるじゃないか」
「・・・・は?桜井部長、それってどういう意味で?」
「オレはあのベッドで寝たことが無いぞ」
「へ!?」
「完全なる眠りは美の象徴らしいからな。オレは対象外という
わけだ」
「・・・意味わかんねー・・・え?じゃあ、あそこにあった毛布は?」
「だからオレが寝てたって言ってだろうが」
ぶすっとした顔で言われ、さすがにオレは絶句した。この二人本当に
付き合っているのだろうか。
昨日、桜井部長は泊まった。というからには、昨日がもちろん初めて
ではないのだろうし、ならば、何処でヤッているのか、と、妙な勘ぐり
をしたくなってしまう。
「部長たちってさ・・・」
「なんだ」
「そのう・・・」
本当に付き合っているんですか。と、聞きかけたオレの言葉を、
一瞬にしてベッドから在原センパイが奪い取った。
「陸っ、いいっ・・・すごくいいよっ・・・もっと楽しもう」
「え、あ、はい」
「ほら、今度はこうしよう。そう、後ろを向いて。膝をついて。
うん、この方が手が届き易い」
「美月、さん・・・」
ダメだ。話に全然集中出来ない。オレは妙に火照った頬を押さえようと
手近にあったクッションを取った。顔は覆うことが出来るが、耳だけは
塞ぐことが出来ない。
もうとっくに「あの日」という気持ちなど吹き飛んでしまっていて、
出来ることなら、今すぐ陸人を連れてアパートに走りたいぐらいだ。
「ヤッベー・・・なんか、オレ、限界。あれって反則だよなー・・・」
「オレもだ」
桜井部長が同意してくれるが、簡単には気持ちも身体も収まって
くれそうにない。
オレも桜井部長も、不自然に身体を揺すりながら、耳をそばだてて
しまっているという、情けない格好なってしまった。
それから30分後。
ようやくカーテンが開かれ、在原センパイと陸人が出てきたときには、
オレも桜井部長もグッタリとうつぶせになって脱力していた。
桜井部長は2度、トイレに立ち、さすがにオレは在原センパイの家で
そういうことに気後れを感じて行かなかったけれど、身体中が、
ものすごく憤懣で膨れ上がっていた。
「邪魔だネエ、こんなところでデカい男が二人も寝ていると」
「広海?待たせてごめんね」
「ん、いや・・・」
オレは、顔をあげた。股間のほてりが収まったわけではないが、そこは
根性で何度か息継ぎを繰り返してから起きあがった。
「あ、陸、それ、似合うな」
Vネックのセーターにパンツというラフな格好が貧しく見えない。
首筋から鎖骨までのラインがキレイに出ていて、オレは感嘆した。
「美月さんが着ていたものですから・・・」
「うん。だけど似合うよ、ホント」
とてもじゃないがお下がりになど見えない。陸人のためにわざわさ
仕立て直すぐらいだから、在原センパイ自身も、そんなに着込んで
いたものでもないのだろう。ちっとも古びたものではないことが一目で
わかる。
「可愛いだろう、陸人」
「ええ、ホント、いいですよ。さすが在原センパイ」
オレが誉めると、在原センパイは当然。という顔をして頷いた。
「僕の可愛い子だからね。これぐらいのセンスを磨いておかないと、
愛してあげていないみたいじゃないか」
在原センパイが胸を張る。シルクのような白いシャツから、在原センパイの
胸元がチラリと見えたが、そこに情事の痕も見られなかった。
やはり桜井部長は昨日、本当にここで寝ただけなのだろうか。
本当に二人はデキているのか、どうしても疑問が残ってしまう。
「このまま、ご飯食べに行こうよ」
「えっ、これから、ッスか?」
ご機嫌な在原センパイの提案に、オレは一歩引いてしまった。
出来れば、このまま陸人のアパートに行って、エッチになだれ込んで
しまいたいのだ。だが、それをバカ正直に答えるわけにもいかず、
オレは黙り込んでしまった。
「せっかく、陸がこんなに可愛い格好しているんだからさ、いい店に
したいよね」
「はあ・・・」
ビストロか、カジュアルイタリアンもいいね。などと、頭の中で店の
選定をしているのだろう、在原センパイを横目に、オレはチラリと
陸人を見た。
「あの・・・美月さん、ぼくは・・・」
オレの気持ちを察してくれたのだろう、陸人がオズオズと切り出した。
在原センパイは、ああ、と、たったそれだけで納得してくれたように、
ニコリと笑うと、陸人の髪をサラリと撫でた。
「夜には二人きりにさせてあげるからね。明日は朝練だから、広海を
遅刻させないようにして」
「え、はい」
「じゃあ、行こうか。臭気が消えるまで。うーん、夕方ぐらいまでは
陸人を鑑賞させてね、広海」
「あ、はい」
思わず同意してしまった。在原センパイの極上の笑みをもって言われたら、
そこに否という言葉は全くこの世には存在しなくなってしまうのではないか、
と、そう思わずにはいられない威力だった。
「え?だけど、在原センパイ、臭気ってなんですか?」
「あ。ぼく、何処か掃除していなかったですか?」
オレと陸人が同時に聞いた。
「陸は悪くないよ。もちろん」
在原センパイは天女のような笑みで微笑み、自分の落ち度があったのかと、
心配する陸人を、たったそれだけで安心させた。
「一週間ぶん、溜まっていると濃いし、臭うよ。ねえ、桜井!」
えっ、と、オレは思わず振り向いてしまった。桜井部長は、在原センパイの
その言葉で床に撃沈していた。
「僕たち、先に、ビストロ・オマージュに行っているから」
「お、おう」
床に撃沈したまま、桜井部長は答えた。その弱弱しさに、オレですら、
同情を覚えたほどだ。
「トイレ掃除したら、ちゃんと手を消毒してからこいよ。じゃなかったら
今日は叩き出すからな」
「・・・・お、おう」
じゃあ、行こうか。と、在原センパイが陸人の肩を抱いた。振りかえろうと
する陸人を、そっと覗き込み、靴もあるんだよ。と、ニコやかに話しかけて
いる。
「さ、桜井部長、だ、大丈夫ッスか?」
「大丈夫に見えるか?」
「いえ、全然」
「・・・今日、ヤラせてもらえなかったら、オマエ、明日は朝から倒れる
ぐらいシゴくからな」
「えっ!ちょっと待ってくださいよ。そりゃないッスよ。ヤツあたり
じゃないですか!」
「なにが悪い。オマエは夜になったらいい想いするんだろうが。オレに
そんな保証はくれなかったぞ、美月」
そう言われればそうだ。泊めてくれる。とは言ったが、そこから先は
完全に予測できる安易なものではない。
昨日も、ヤれなかったのだから。
オレは既に玄関を出た在原センパイの背中に向って、強く合掌した。
今日はどうか桜井センパイと上手くいきますように。
陸人とオレを本当に夜には解放してくれますように。
在原センパイの優しさには、どうも毎回、罠が仕掛けられているような
気がする。
本当に夜になったら二人きりになれるのかなあ。
もう、すっかり「あの日」ではなくなってしまったオレは、呟かずに
いられなかった。
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