「やっやめてくださっ!」 大きな悲鳴を挙げても誰も来ない。 それも当然だ。 此処は王宮の一番端にある離宮なのだから。 それでも普段はちゃんと警備が行き届いていた。 だが,今日に限っては誰もいない。 大国・リーダルス帝国の皇帝が訪れているために,奥宮の警備へほとんどの人員が割かれているのだ。 ・・・こんな出来損ないの皇女を守るよりも大国の皇帝を守る方が遥かに大事ということなのだろう。 こうしていつも絶望と共に思い知らされる。 どこまでいっても自分は『誰からも必要とされない存在』なのだと。
「怖がるな。我は其方が愛しいだけだ」 いきなり身も知らない男にそんな事を云われて誰が信じれよう。 そんな事を云ってもいざ私の秘密を知れば去っていくくせに。 そう,父王が無くなった後の家臣達の様にそれまでの態度をころりと変えて冷たい仕打ちをしてくるに違いない。 そう思うと態々抵抗するのも莫迦らしいような気がしてきた。 だから,私は抵抗するのを止めた。 突然大人しくなった私に男は自分が受け入れられたと思ったのか,かすかに口元に笑みを浮かべると再び私の衣服を脱がし始める。 だが,その笑みも私の秘密を知るまでだった。
夜着を剥がされ全裸になった私の肢体に男は愛撫を施す。 それは接吻けから始まり,耳の裏、首筋と段々下へと下がっていく。 そして秘処まで届くとやっと男は訝しげな顔になった。 「これは・・・?」 ・・・他の女人と比べて明らかに胸が小さすぎるとは思わなかったのだろうか。 私の胸は普通の女人と比べて明らかに異常なほど平べったい。 この時点で私が女性でないと覚るかと思ったのだが。 男は聡明そうな見た目に反してとても鈍感な質らしい。 でもまぁ,これで男も去っていくだろう。
「其方,男だったのか!?」 目を見張ったまま,男が尋ねてくる。 「いつ私が自分の事を女だと言いましたか。勝手に勘違いしたのは其方の方でしょう。」 その問いに私はそっけなく返した。 「だが、それなら何故,女性物の服を着ているのだ?」 「ほっといて下さい!貴方には関係のない事です。それよりも,女ではない私にはもう用はないでしょう?とっととお帰り下さいませ。」 訝しげな男の問いに私は突き放した返答を返す。 もう,いい加減立ち去ってほしかった。 影口で聞くのには慣れているとはいえ,さすがに面と向かって化け物だと言われるのは辛い。 その言葉を聞く度に私の心は凍り付いていくのだから。
「別に我は其方が男でもかまわない。どんな其方でも我には愛しくてならないのだ。」 だが,男は今までの人々とは全く違う反応を示した。 両親以外でこんな自分を愛してると言われたのはこれが初めてだ。 「・・・それは本心から云ってるのですか?」 私には彼の言葉は到底信じられるものではなかった。 だから,私に口からは彼の台詞を疑う言葉しか出てこない。 「当たり前だ。我は其方だから愛しいのだ。お願いだから我を受け入れてくれ。」 だが,男はじっと真剣な眼差しで私を見つめて言い募ってくる。 「本当に・・・?私が普通の人でなくても・・・愛してくれる?」 「ああ。」 はっきりとそう肯く男の姿に、私の心の中の頑なだった部分が少しだけ熔けた様な気がした。
そうは云っても,私は男の睦言を完全に信じたわけでもない。 だから,私は羞恥に耐えつつも男に秘処がよく見えるようにそっと閉じていた下肢を拡げる。 「これでも・・・ですか・・・・・・」 言葉では何とも云えるが,視覚で見ればもしかしたら生理的に受け付けないかもしれない。 そう思った私の予想を男はあっさりと覆したのだった。
食い入る様に下肢の間を見つめていた男は次の瞬間,私の下肢を思い切り開くと指で秘処を愛撫し始める。 男の左手は既に私の花芯を握り締めており,指でやわやわと刺激を加えていた。 そして彼は右手を私の先走りの汁で濡らすと,指を一本前蕾に含ませてくる。 「うっ・・・やっ・・痛っ・・・・・・」 まだ誰にも侵されたことのない膣内はとても狭く,指一本とはいえ中で蠢かれるととても苦しい。 だが,男は膣内で指を自分の思いのままに動かしてくる。 初めは確かに今まで誰にも蹂躙されたことの無い前蕾を犯されることへの嫌悪感が強かったはずなのに,私は今では快感の方が優って何も考えられなくなっていた。 男もそれを見て取ったのだろう。 その内に膣に含まされた指の数は三本にまで増え,男の左手は相変わらず激しく上下に動いている。
やがて私の吐息に嬌声が混じり始める頃には既に男の分身も準備万端の状態になっていた。 それを男は容赦なく一気に前蕾に突き刺した。 「あっ・・・ああ~~~~っ」 先ほどまでとは比べ物にならないほどの衝撃で私の目の前は真っ白になる。 そのまま気を失いそうだったが,男が突き上げを始めた振動のせいでそれは叶わなかった。 「あっ・・あっ・・・あぁんっ・・・・・」 ジュクジュクッと音を立てながら男の灼熱が私の膣を奥まで犯してくる。 そのせいで前蕾の中は火傷するほどに熱くなっていた。 もう私には素直に快感を感じることしか出来ない。 そんな私を男はさらに煽ってきた。 空いている右手で私の腰を彼の身体と密着させるように掴みながら,左手で胸の突起を愛撫し始める。 そしてもう片方の突起を口に含んで甘噛みしてきたのだ。 自分の弱いとこばかりを狙って刺激され,私はもう限界だった。 自分でもわけの分からないまま,感情にまかせて腰を振りまくっていた。 自分の感じるポイントに男の肉棒を擦りつけ,感じるままに嬌声を上げていたのだ。 「あ~~~~~~っ」 そして一際強い突き上げがくると,私は自身の欲望をあっさりと解き放ったのだった。 私の未熟な花芯からは大量の白濁の蜜汁が飛び散る。 その衝撃から私は思わず中の男の欲望を締め付けていた。 「くっ・・・」 「あっ・・あぁんっ・・・」 それに耐え切れなかったのか,男は低くうめき声を漏らすと,自身の欲望を膣の奥に吐き出したのだった。
私はゼイゼイと浅い呼吸を繰り返しなから,覆い被さってきた男の項を見つめる。 「一生其方を大事にすると誓う。だから我の妻になってくれ」 そのまま男は私の顔を見ないで訊いて来た。 そんな彼の耳はほんのりと紅く染まっている。 まだ快感で頭が痺れて動かなかったが,私の胸の奥には何か暖かいものが溢れてきていた。 今まで誰からも云われた事のない言葉を男は私にくれた。 そんな彼の気持ちが私にはとても嬉しかったのだ。 だから私はその求婚を受けた。 そう,お返しに今まで誰にも囁いたことのない『愛している』と云う言葉も添えて・・・。
男がリーダルス帝国の皇帝その人だと知ったのはその翌日のこと。 だが,そんな事は私にとっては瑣末なことでしかなかった。 大事なことは彼が私を愛してくれているという事。 ただそれだけだ。 そして彼は約束通り,私を自分の妻として誰よりも大切にしてくれている。 まぁ,夫がとても嫉妬ぶかいのは予想外だったが,それは私が夫にとても愛されているという実感にもなるので良しとしよう。
だって私は今,とても幸せなのだから。
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