無断転載禁止 / reproduction prohibited.
 (アイドル 羽 甘甘 切ない 夢/15禁)
HEAVEN’S DREAM


ちょっと欲求不満なのかな。

オレは加納広海。16歳。水無月陸人というヤツと一緒に

「HEAVEN」というアイドルを二人でやっている。

陸人に最初に会ったときから、オレは恋していたと思うし、

それは陸人も同じだったらしい。

まあ、色々とあって「同居もしているが顔を合わせることがない」

(同じアイドルユニットなのに!)

両思いなのだが、顔も合わせなければ、

話も出来ない、事情が複雑すぎてここではスペースが足りないけど、

そっちはゆっくりいつか共感してくれればいいかな。ってカンジ。


話がすっかり横に逸れた。ごめん。

昨日、2時間ドラマの打ち上げて初めて「バー」に連れていって

もらったのね。

もちろんオレは未成年だからって断ったけど、あまりに周囲が大御所すぎて、

マネージャーが断ることも出来ずに「付き添い」って形で

ついてきたんだけど。

オレのマネージャー、使えないんだよね。

すぐに売りだし中のアイドルと仲良しになっちゃって、

オレのことなんて放りっばなし。

だから、大御所の間で小さくなってたんだけどさ、

こういう時のお約束に漏れず

「飲んでみろよ~」ってことになったわけ。

まあ、飲んだこと無い。なんて嘘はついているけど、

興味がないわけじゃないから、

ちょっと飲んでみたわけだ。それが何かもわからないで。

だいたい、未成年に初めて飲ませる定番なんて「甘いカクテル」とかだろ?

誰だよ!スピリットなんて生で飲ませたのは!

って、今なら言えるけど、そのときは、

そのままブラック・アウトしちゃったわけだ。

ホント、カッコわるぃ。

====

「ちょ、ちょっと待ってくれよ。くすぐったいって」

裸足の足にサワサワと触れる柔らかい物体に、くすぐったさで目が覚めた。

「広海、起きた?」

「えっ?陸?」

ビックリして飛び起きようかと思ったが、なぜかオレの上には陸人の身体が

乗っていて起きることが出来ない。

「なんでここにいんだよ。ヤバイって。おい、どけよ」

オレは視線だけあちこちに動かして、自室についているカメラの存在を

陸人に伝えようとしたが、

「あれ・・・ここ、どこだよ。なんで海にいるんだよ」

「だって約束したでしょう?忘れたの?」

「そう・・・だっけ?」

まったく記憶に無い。第1、陸人と最後に話したのは、もう2ヶ月ぐらい前に

なるというのに約束などしたのだろうか。

「・・・っていうかさ、これ、なに?なんで、陸に羽が生えているわけ?」

「あっ・・・ダメ」

ブルリと身を震わせて、陸人の額がそのまま、オレの鎖骨に落ちた。

「え?なに?どういうこと?」

オレは慌てて手を離した。陸人の背中に生えた羽は、大きくて漆黒。

月の光を反射して、濡れて涙のようにキレイな筋が流星のごとく落ちていく。

「広海、キスしたいよ」

「どうしっ・・・んっ!」

オレの丹花には、陸人の丹花のサイズが1番合っているんじゃないかと

思うぐらい、いつもの気持ちがいいキスが舞い降りてきた。

「あっ・・・広海、ズルイ」

「ん・・・だけど、キモチイイ」

陸人の背中に両腕を回し、羽が生えている付け根の部分をそっと撫でると

陸人の息が上がるのがわかった。さわっているオレも産毛のような触感が

気持ちよくて、手が止まらなくなってしまう。

「これって天使なわけ?それとも悪魔?」

「僕は・・・ぼく、だよ」

「なんだろうな、これって。深く考えるなってことだよな。羽があるのに

陸、パジャマだしな。つまり夢?」

羽はオレの願望なんだろうか。確かに、気持ちは通じているけれど、会えない

話せない、こうして身体を触れ合わせることなんて数えるほどしかない陸人と

こうしているのは、願望、夢だとしか思えなかった。

「夢・・・じゃ、イヤだな」

夢だと指摘されて、陸人がしょんぼりとうなだれた。

「なんで?いいじゃん。夢。オレは賛成だね」

「どうして?・・・あんっ・・・」

「ちょっと大胆に予行演習が出来るじゃん。こうしてベタベタしてても、

誰にも怒られないし。見られることも無い。

ついでに陸は知らないから、オレ、割と好き放題に出来るはずじゃん?」

「あっ・・・」

うなだれた陸人の目が丸くなり、それから嬉しそうに笑った。

「恥じらい」っていうものが徹底的に欠けている陸人に、実生活でオレが

仕掛けるのは、案外と勇気が要るのだ。

「だから、もう一回、キスしよう」

「ん」

軽いキス。視線を合わせて微笑む瞬間が、ものすごく幸せだと思えて、

オレは何度も同じコトを繰り返した。

キスの合間に二の腕やら、背中やらをまさぐっていると、陸人の肌に

スッと鳥肌の波が打つ。

「脱がせても・・・いい?」

なんて大胆なことを言えるのだろう。と、言った自分に驚いてしまうが、

これは夢だからいいんだ。と、再度、自分に言い聞かせ、

そっと陸人を仰ぎ見た。

「ぼくが・・・しなくて、いいの?」

「いいの!」

きゅっと胸が痛んだ。やっぱり都合のいいことばかりじゃない。自分から

身体を開いて当然。といった生活をしてきた陸人が、

改めて垣間見れてしまって、

オレは急いでパジャマのボタンに手をかけた。

「広海ぃ・・・」

陸人の熱い額が、オレの額にぶつけられた。

「ん・・・陸のスキにしてていいよ」

「ホント?」

「いいよ、もちろん」

陸人は一瞬、泣き出しそうな顔をすると、両手をオレの頭につけて、

髪の地肌や、目の際、額、耳、頬、丹花に、小さなキスを幾つも落し始めた。

「くすぐったいって」

睫の間をなぞるように小さな舌でなぞられると、その度に背筋が震えた。

羽が生えているので、完全に脱がすことは出来なかったが、

ようやくはだけられた陸人の背中に腕を回して、自分の方に引き寄せた。

「んっ!・・・あっ・・・」

細い首筋、浮き出た鎖骨、まるで飾りのような薄い乳首を思いきって、嘗め

そっと吸うと、陸人の身体が小刻みに震え、押しつけるように身体を

密着させてきた。

オレの足と陸人の足が、止まることなく揺れて絡み合う。

「陸、もっと聞かせて」

「・・・え?」

「声。ここで聞かせて」

上気した陸人の頬をそっと両手で包み、オレの耳元に導く。頭上では声が

拡散してしまって、もったいない気がしたのだ。もっと側で声が聞きたい。

「ん・・・キス、してからでもいい?」

「断らなくてもいいけど?」

陸人が嬉しそうに笑う。オレがわざとベッと舌を出すと、

同じように舌を出し、ちょんと触れ合わせてから、おずおずと絡み出す。

互いの口腔を侵す、のではなく味わう。

それでも余裕があるわけじゃないから、陸人の身体をまさぐる手に力が入って

しまう。

陸人の丹花が、オレから離れることなく耳に到達し、喘いだ息と濡れた舌が

差しこまれるに至って、どんどん興奮が止まらなくなってきてしまった。

好きだから、いいよな。の一言が出ない。肝心の一言は出ないのに、

オレの手は勝手に、陸人のパジャマのズボンにかかっている。

「抵抗、してもいいんだぞ」

グッと理性を総動員して、身体から力を抜き陸人に尋ねた。陸人の重みが

感じられるだけで気持ち良さがどんどん膨らんでいく。

「・・・どうして?ぼくは、広海が好きだから・・・いつでもシて欲しいよ」

陸人はビックリした顔をして当たり前のように返してきた。

「オレも・・・欲しいよ」

口に出した瞬間に理性がスパークした。いくら好きでも「欲しい」なんて、

オレは言ったことがなかったんだ。

言って初めて、自分がどんなに陸人を欲しているのか、その気持ちが膨れ

破れ、襲いかかってきた。

「今日はもうゼッタイに止めないから」

「うん」

止めないではなく、止まらない、のだ。

もう後戻りしたくない。後悔もしない。だから・・・



=========


「うわあああ!!!」

ビックリして飛び起きたら、当たり前だけど自分の部屋だった。昨日のことは

ブラック・アウト直前までしか記憶が無い。

幾ら使えないマネージャーとは言っても、

家まで送るぐらいはしてくれたのだと思う。

「なんだよー・・・」

自分の頬が熱を持ったように赤いのがよくわかる。

慌てて布団をめくらなくても昨日と同じ服のまま寝てしまったことは

一目瞭然だ。

「欲求不満なのかなあ・・・だろうなあ・・・」

幸いにして二日酔いにはなっていないようだし、

酒が身体に残っている感じはしなかった。

オレはベッドから起きて、そのまま洗面所に向う。

「うわあっ!陸!!なんでいるんだよっ」

部屋の中を窺っていたのだろうか。部屋を出た瞬間に陸人が立っていて、

オレはまたもや叫び声をあげてしまった。

「あの・・・大丈夫、ですか?」

「えっ、なに!?平気だよ、オレは平気・・・多分」

平気なんてもんじゃなかったが、細部まで覚えている夢の記憶がありありと

陸人に重なり、思わず目を背けてしまった。

「酔ってた・・・みたいだから・・・あの・・・」

「陸、仕事は?」

「撮影が雨で流れて・・・それで、ずっと、家にいて・・・そろそろ出掛ける

支度しなくちゃいけなくて・・・」

「ああ、そうなんだ」

極力、陸人から身体を遠ざけるようにして足早に洗面所に入った。陸人が

オレのことを心配してくれているのはよくわかったけど、

今はちょっと無理っぽい。

「あー・・・もうっ、なんだよー・・・」

ザフザブと顔を洗いながら、火照った頬を冷やす。洗っている途中に、

突然バカみたいに気がついた。

「そうだ・・・オレ、陸に会うのどれぐらいだ?」

もちろんこの場合は「本体」だ。羽が生えている。

なんて非現実的だけど生々しい夢ではない。

指折り数えるが、もう覚えていない。

「アイツ・・・もう出掛けるって言ってたよな。ヤバイな」

慌てて使用済みタオルを洗濯機に突っ込み、オレはちょっと思案してから、

腹に力を溜めて叫んだ。

「りくーっ!!水、持ってきてーっ。気持ちわりーっ!」

洗面所のすぐ外に設置してある監視カメラに音が入るように

両手でメガホンを作って思いきった。

廊下をバタバタと走る音がする。もちろん陸人だろう。

「ひ、広海?大丈夫?」

コップの水を零さないように両手で持ち、陸人が洗面所に入ってきた。

「オエッ、気持ちわりーっ!」

もう一回、カメラに向って叫び、入ってもいないトイレの水を流した。

パタンと音がしてドアが閉まる。

「・・・え?」

陸人が手に持っていたコップを取り上げ、それは洗面所にそのまま捨てた。

「陸、久しぶり」

一応、自分の全身をくまなくチェックしてから、オレは大きく両手を広げた。

「広海・・・その、平気、なの?」

「全然。まあ・・・早く来てくれないと、ちょっとカッコ悪いかな、

とは思うけど」

「あっ・・・」

陸人がオズオズとオレの手の中に飛び込んできた。

オレはぎゅうっと抱きしめ、

頭越しに陸人の背中には、やっぱり羽なんかないことをバカみたいに確認して

ちょっと笑った。

「広海?」

「ごめん、ごめん」

会いたかった。と、陸人が胸の中で呟いた。オレは陸人の髪の中に丹花を

落とすことでしか答えることが出来なかった。

短すぎる逢瀬は、大切な言葉を次々と生み出すけれど、伝えるには時間も

距離もまだまだ足りないことが、オレも陸人もわかっているから。



好きでごめんな。とは、さすがに言えなかった。

あー・・・やっぱり欲求不満かも。
「サイトでは本編や短編もあり。上記「陸人版」を更新!拍手ではラジオ風に広海もお待ちしています。」
...2004/10/27(水) [No.142]
未来淳良
No. Pass
>>back

無断転載禁止 / Korea The ban on unapproved reproduction.
著作権はそれぞれの作者に帰属します

* Rainbow's xxx v1.1201 *