天界メインストリートの一つ、カスタティア通りには夕方近くなると霞がかったような灯がともり、綺麗に着飾った女達が男を誘う。天界公認の花街である。
 
 そしてその裏にシェリスタ通り、通称・紅蝶街とよばれる通りがある。平たく言えば、男娼街だ。こちらは非公認……但し黙認されている。
 男子の出生率が異様に高く、反比例するように女子の出生率が異様に低い天界では、同性愛はごく自然なことだ。それを売り物に生活費を稼ごうと言う人々が居てもなんら不思議は無い。
 
 その紅蝶街の中央よりは少し外れて、「愛猫亭」という店がある。紅蝶街の一番亭、「蒼月亭」には及ばないが、それなりの広さを持ち、洒落た、上品な造りの店だ。
ここには5人の猫達……基、少年達がいる。
その中でもトップの2人をご紹介しよう。 
 
 一番人気は、曖廉(あいれん)。
 鮮やかな空色で、さらりと流れる背中の中ほどまでの髪に、海の底に似た深い蒼の瞳。女物の着物を着せれば、どんな女も及ばないほど美しい中性的な顔。細い腕に白く長い脚、綺麗な傷のない指。おおよそ、女が望むものを全て持ち合わせている。
 勿論、一番人気の理由は顔だけではない。
 生まれつき持つ特殊能力、「身長を最大12cm縮められる」。 元々の身長は170cm。つまり、158〜170まで身長を変えられるのである。
 客の好みに合わせて自由自在。性格までも客の好みにぴたりと合わせて変幻自在。
 曖廉一人で、「愛猫亭」がもう三軒建つほどの稼ぎをしている。
 
 
 そして二番人気は、李黒(りこく)。
 くせのある、ふわふわとした黒髪に、漆黒の闇に似た瞳。中性的とまでは言わないが、男にしては線の細い、目元の涼しい整った顔立ちをしている。
 曖廉ほどではないにしても割と細身な方だ。身長は177cmとそこそこ高いのだが、人見知りでおっとりした性格のためか、そんな気がしない。
 普段はあまり喋らず、ストイックな雰囲気を漂わせている。媚を売らない、気高さがいいのだとか。
 
 
 「愛猫亭」には持ち帰り、という制度がある。1泊2日から最大3泊4日まで、自宅に連れ帰ることが出来る。勿論相当値は張るが、他には見られない制度だけにかなりの人気だ。
 しかし一番人気の曖廉がなかなか持ち帰られないのは、予約が隙間無く入っていること、そして曖廉が持ち帰りは嫌いだ、ということによる。
 
 予約も、持ち帰りほどではないにしても相当な値がかかるのだが、生憎「愛猫亭」は予約のない客はほとんどいれてくれない。 入れてくれるのは、初回の下見の時だけだ。
 時々、本当に滅多にないことだが、もしも運良く空いていればしめたものだ。予約の半額くらいで楽しめる。
 
 ちなみに、曖廉にも李黒にも気に入りの客が居る。曖廉には燈刃(とうは)、李黒には詩図(しと)。二人とも相当の金持ちなのか週に一度は来て一日占有している。
 それでも身請けはしていない。曖廉と李黒がいらない、というからだ。女将である倭(やまと)への恩返しをしなくちゃいけないから、という。倭がどんなに、もう十分だといっても聞かない。
 
 「愛猫亭」の猫達の処遇は、他の店とは比較にならないくらい良い。倭は彼らを自分の息子のように扱い、常に客より少年を優先する。ここに変な客がいないのはそういうわけだ。
 勿論、多少の「苛め」は認められるが、少年が本気で嫌がることをすれば、即刻店からたたき出される。
 
 そんな風にしてもう何十年も、「愛猫亭」は紅蝶街二番手を負っている。その間、女将も少年達も一度も変わっていない。
そう、彼らは不老不死の身であるのだ。詳しく説明するのはこの話にかかわりない、つまり野暮というものなのでやめておくが、少年達の場合その親が、女将は夫が十六神に仕える身であるからだ。
日が暮れかける夕刻、「愛猫亭」にゆっくりと灯がともる。


愛猫亭注意書

一、冷やかしの者立入るべからず

一、猫を物として扱うべからず

一、女将に逆らうべからず

一、規律を守り、良識を持って行動するべし

一、予約変更の願を断るべからず

以上を守れぬ者は愛猫亭への入店を禁ずる


何してんのこの人、とは思っても言わないであげてください……。
何だか思いついてしまって、勢い余って設定とか看板を作ってしまいました(痛)
勿体無いのでUPしてみました……すいません(土下座)
むしろまず相方に謝った方がいいんだろうな、きっと。
うん、ごめん!(反省してないだろ……)
いえ、そんなことはありませんとも……ええ。

「Untitled」をご存知の方は、貂嵐=曖廉、燈刃=龍巴、李黒=黒斗、詩図=葵に置き換えても可。設定はほとんどそのまま流用しているので(苦笑)

ちなみに、愛猫亭の名は、友人・刹から頂きましたvありがとうっvv

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